JBBA NEWS

2023年8月号(VOL.607)

最新の第344便は ボロ拾い烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 昔は松竹大船撮影所だった土地に、ホールや画廊や集会室などが並ぶ鎌倉芸術館がある。酒場友だちの画家の個展とかグループ展とか、ピアノコンサートなどによく出かけるのだが、そこへ行くと私は、そこの近くのスーパーマーケットの中にあるフードセンターで、たこ焼きを食べるのが、どうしてか私の幸せな習慣なのだ。最近、気になっていることがある。注文をして、「できました。取りにきてください」というブザーの音をテーブルで待つのだが、なかなか鳴らない。たこ焼きを作る現場に目が向く。そうだよなあ、そこの窓口はたこ焼きとラーメンを受け付けるのだが、前は4人ぐらいが働いていたのに、今は2人だから、ブザーが遅いのも仕方ないか。(中略)親父はあんまり喋らない男だったが、酒をのみながら、「マコト(私の名)は勉強が嫌いらしいな。だったら、人一倍、身体を使え」とか、「はたらき者と怠け者がいるが、せっかく生まれてきたんだから、はたらき者になれ」とか言った。(中略)ああ、人手不足。私は去年の夏に馬産地を歩きまわって、牧場での人手不足の現実を知っている。牧場で働く人と会話したい。身体を使いながら頭を使う。真剣と発見。そういうこと、もっと書きたいなあ。

第149回は「3冠」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 2023年7月12日、東京・大井競馬場で第25回ジャパンダートダービーが行われ、1番人気のミックファイア(牡3歳、大井・渡邉和雄厩舎)が優勝。デビューからの6連勝で、羽田盃、東京ダービーに続く南関東3冠制覇を果たした。地方競馬全国協会(NAR)と日本中央競馬会(JRA)は全日本的なダート競走の体系整備の一環として、来年2024年に3歳ダート3冠レースを創設すると発表している。これまで地方・南関東の3冠レースのうち羽田盃と東京ダービーは南関東(船橋、浦和、大井、川崎)所属馬限定戦だったが、これをダートグレード競走とし、JRA所属馬、地方の他地区所属馬にも開放する。重ねてジャパンダートダービーはジャパンダートクラシックと名称を変更した上、10月に移設する。ダート3冠路線が大きく変わることになる最後の年にミックファイアという無敗の3冠馬が誕生したことは時代の変わり目を象徴する出来事だったと筆者。ミックファイアの母系をさかのぼると凱旋門賞馬オールアロングにたどり着く。母マリアージュ、その母アーミールージュ(USA)、その母がオールアロングである。オールアロングが本格化したのはジャパンカップに出走した翌年の1983年だ。凱旋門賞で優勝を果たすと、カナダに遠征してロスマンズインターナショナル、米国のターフクラシックS、ワシントンDCインターナショナルとGⅠレース4連勝を飾り、米国の表彰制度であるエクリプス賞で年度代表馬の栄誉に浴した。凱旋門賞馬と日本の3冠馬。ミックファイア以外に、そんな血統背景を持つ馬がいないかと調べてみたところ、牝馬で唯一南関東3冠馬となったロジータが該当した。父はミルジョージ(USA)。その父ミルリーフMill Reef(USA)は1971年に英ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、凱旋門賞という近代欧州3冠と呼ばれるレースを制した名馬。ミルジョージは母方にリボーRibot(GB)の血も受け継いでいた。リボーは1955年と1956年に凱旋門賞を2連覇した16戦16勝の無敗馬である。中央競馬の3冠馬ナリタブライアンにも、父ブライアンズタイム(USA)の母系にリボーの名前が見られると筆者。

第161回は「今の常識を鵜呑みにしない ~自分で考え決定し、後悔をしない歩みを~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 今では常識となった、こまめな水分補給。喉が渇いた時には実はもう遅く、身体が要求する前に水分を体内に取り込むのがベストとされていますが、一昔前は、運動中に水分を取ることはタブーとされ、体育や部活動においては、「水を飲むとお腹が痛くなる」とか、「水を欲しがるのは甘えだ」と指導する方も存在。今も夏になると思い出されるのが、中学時代の同級生の死。校内一の運動神経の持ち主で、見た目、日本人離れした容姿だった彼。いろんな意味で可能性しかなく、将来、どういった進路に進むのか?皆が注目する存在でした。しかし夏休み中のハンドボールの部活動時に脱水症状を起こし、そのまま息をひきとったのです。まさにあの頃は、運動中の水分補給はNGとされていた時代。
 私自身、あの時に強く感じたことは、今の常識が実は正反対、もしくは間違っていることが世の中には多数存在するのではないかということ。だからこそ、大人が言う全てのことを鵜呑みにするのではなく、物事の判断や選択は自分で決めることが重要であると脳裏に刻まれました。
 そして自分で決めると言えば、最終的な馬券の買い方もそう。私も毎週の競馬予想の際、気づけば、いろいろな方の意見を取り入れてしまい、最終的に買い目が増え、後悔すること度々。シンプルに自分の決めた馬の単複で良かったのに…と。よって今年の夏以降は、自分に問い、後悔しない歩みをいろんな意味でしていきたいと感じていると筆者。

第176回は『観光とせり』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 毎年、7月上旬に開催されている八戸市場に行くのが楽しみになっている。北海道の道南に住んでいた筆者ではあったが、海を越えて行かなければならない青森は、近くて遠い場所だった。それでも故松橋康彦さんの案内もあって、青森の生産牧場に足を運ばせてもらうようになった数年後には、八戸市場にも足を運ぶようになり、今ではプライベートな旅行でも、八戸や東北地方を訪れるようにもなった。ある時、ローカル線の青い森鉄道に乗りたいがばかりに青森で下車。乗り換えの関係で青森市内を探索したのだが、青森もまた魅力的(主にグルメ関係)な街であり、そうしているうちに、近郊の弘前にも足を延ばすようにもなった。こうした八戸の街探訪の広がりが、せりの結果に反映されて欲しいと願うばかりで、これをお読みになった馬主の中には、八戸市場というか、八戸に興味を持たれた方もいらっしゃるはず。来年は観光とせりの両狙いで、是非とも購買登録をされ、お買い上げをお願いしたい。いずれにしても、せりに足を運びたくなるようなきっかけを、自分自身も探し出していきたい。

第176回は『最後のジャパンダートダービー』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 7月12日(水)、大井競馬場で第25回ジャパンダートダービー(JpnⅠ)が行われた。ダートレースの体系見直しにより、来年から10月上旬に移動し、「ジャパンダートクラシック」と改称することが決まっており、これが最後のジャパンダートダービーとなる。1番人気は無敗の東京ダービー馬ミックファイア。大井生え抜きとしては96年のセントリック以来となる東京ダービー馬で、2000mに距離短縮された99年以降最速となる2分4秒8の好タイムで制している。2番人気はJRAのユティタム。21年セレクトセールで2億円の高額馬で、新馬戦2着のあと3連勝で前走の青竜Sを制している。3番人気はミトノオー。前走の兵庫チャンピオンシップ(JpnⅡ)に勝ち5戦4勝。2着に6馬身の差を付ける圧勝でここに臨んできた。ミトノオー騎乗の武豊騎手は勝負所まで後続を引き付けつつ、4コーナーで一気に後続を引き離しにかかる。2馬身~3馬身と開いて残り400mを過ぎて直線に。外からユティタムとミックファイアが迫るが、残り200mでユティタムの脚色が鈍り、ミックファイアが一気に迫る。さらに外からキリンジが道中7番手の位置から直線勝負に出た。残り100mを切ったところで、ミトノオーが苦しくなり、50mでついにミックファイアが一気に交わしてゴール。大井所属馬の勝利は99年のオリオンザサンクス以来、また無敗の南関東三冠馬は2001年のトーシンブリザード以来。「秋はここでJBCがあるので、JBCクラシックで結果を残すようであれば、チャンピオンズカップに行けたらと思います」と、どこかホッとした様子にもみえた渡邉和雄調教師。夏場を休養にあて、この秋さらに成長したミックファイアに期待したいと筆者。

トピックス

・JBBAからのお知らせ 会員の皆様へ 2023年(令和5)年10月から消費税のインボイス制度(適格請求書保存方式)が始まります
・BOKUJOB 2023メインフェア
・実践研修プログラムのご案内
・2024年度(第46期)生産育成技術者研修生募集案内
・ノーブルミッション(GB)産駒 セレクションセール取引馬

せり市場成績

・セレクトセール サラ1歳
・北海道セレクションセール サラ1歳
・八戸市場 サラ1歳
・セレクトセール サラ当歳

海外ステークスウイナーズ

ディアヌ賞 Blue Rose Cen(IRE)が好位から直線早目抜け出し、名牝トレヴに次ぐ好タイムで2冠達成
クイーンアンS 残り2Fからゴールまで続いたFrankel(GB)産駒2頭での叩き合い、クビ差でTriple Time(IRE)に凱歌
セントジェームズパレスS 英愛2000ギニー馬対決、先行したChaldean(GB)には厳しい流れ、好位で競馬進めたPaddington(GB)がゴール前突き放して完勝
プリンスオブウェールズS ドバイSCでイクイノックス(JPN)の4着Mostahdaf(IRE)が、直線入口で外から先頭に並び、残り2Fで先頭に立つと最後突き放して圧勝
愛ダービー ディープインパクト(JPN)産駒Auguste Rodin(IRE)、好位から早目先頭で押し切る横綱相撲で英愛ダービー制覇
エクリプスS 2番手でレース進めたPaddington(GB)が、ゴール前2FからのEmily Upjohn(GB)との一騎打ちを制し、6週間でGⅠ3連勝

JBBAスタリオントピックス

・カラヴァッジオ(USA)産駒 Porta Fortuna(IRE)がロイヤルアスコット開催で2歳GⅢを勝利、デビューから3戦無敗!

地方競馬ニュース

・2023年6月 地方競馬場の売り上げ
・2023ダービーシリーズ開催成績

生産関連ランキング

・2023年7月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振案内所(連絡センター)・十勝案内所(連絡センター)・東北案内所(連絡センター)・千葉案内所(連絡センター)・南九州案内所(連絡センター))

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2023.6.15 ~ 2023.7.19)

表紙

・第64回宝塚記念(GⅠ) イクイノックス
・イクイノックス紹介
・1歳ファーストシーズンサイアー紹介 ノーブルミッション(GB)
・北海道市場サマーセールポスター

カラーグラビア

・JBIS Live中継 北海道市場サマーセール
・JBIS スマホで!! せりカタログを持ち歩こう!

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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