JBBA NEWS

2020年1月号(VOL.564)

最新の第301便は けやきの下で 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 東京競馬場に着くと、第4R3歳以上1勝クラス、ダート1600に出走する16頭がパドックを歩いていた。パドックで見ても何も分からない私なのだが、競馬場へ来たら殆どのレースのパドックを見ている。パドックで馬を見ているのが好きなのだ。すばらしい景色で、好きな絵で、それを見ているのが幸せなのだ。着いてすぐのレースは、1番人気馬から上位4頭への馬単を4点買うのが、この数年の私の決めごとである。1階スタンドのゴールポストが真正面の位置に立ってレースを見る。1番人気のクリストフ・スミヨン騎乗のリンガスビンゴがしっかり追いこんで勝ち、2着は5番人気の横山典弘騎乗のヨクエロマンボ。「おい、当たっちまったぞ」と自分に言う。それも4点買ったうち、いちばん配当の高いやつ。まいったなあ。おれがこんなに幸運でいいのか。フィッと、口笛が出た。(中略)「死んじまったのよ、息子が」言って老人は空を見上げるようにした。何か言わぬほうがいい。老人が何か言いだすのを待ったほうがいいと、私も空を見上げた。「去年の暮れに身体が変だって言って、入院して、今年の2月に死んじまった。大腸ガン。息子はおれと同じ大工で、遊びは競馬と酒だけ。おれは競馬も酒もダメで、変なもんだった。息子がよく行ってた飲み屋に行ってみたのさ。息子のことを話したくて。そしたら、息子と、休みっていうと中山競馬場へいっしょに行ってたという人が、息子がね、ダービーとジャパンCだけは府中まで行ってたと言うのよ。で、今日、来たってわけさ」(略)

第118回は「ホソジュンのウマなりトーク今年も続きます ~仕事と子育てそして家庭も築きながら~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 2019年、我が家は持ち乗り助手をしている夫が、函館開催前に北海道入り、札幌の最終まで滞在。戻ってきた直後には調教師試験もあり、試験を終えると同時に担当馬であるスズカデヴィアスと共にオーストラリア遠征へと旅立ち、帰国は年を越えることになり7ヵ月以上の別居生活だったと筆者。元厩務員で競馬学校時代も共に過ごした知人女性の旦那さんが調教師試験に8回目で合格。お祝いの言葉をかけると、「この8年、家の中は旦那さんの勉強を中心に動いていたから、物音をたてないようにとか、邪魔にならないようにと、とにかく気を遣っての日々だった。育児もほぼ1人。解放されて本当に嬉しい」と、実は我が家も8度目の調教師試験とあって、小さな子を抱えながら受験生を持つ身の苦労は痛いほど理解でき、うらやましさも。調教師試験を受けている旦那さんを持つ多くの奥本当に大変だと筆者。改めて、この約20年、取材を通して感じてきたことは、旦那さんも含め、馬の心身のバランスに長い時間を費やしてきた方々が厩舎を開業した姿をみたいという思い。今年、もう1年だけ今のまま、踏ん張ってみようと思います。よってこのコラムにつきましても、今年も続けさせていただきますと筆者。

第106回は「知命」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 2019年11月23日、京都競馬場で行われた第8レース「3歳以上2勝クラス」(ダート1400メートル)は、武豊騎手(50)が手綱を取ったスマートアルタイル(牡4歳、栗東・小崎憲厩舎)が優勝した。この勝利は武豊騎手の2019年JRA100勝目だった。通算4,000勝以上を挙げている生きるレジェンドだが、JRAの年間100勝は4年ぶりのことだった。1969年生まれの武豊騎手は1987年に17歳でデビュー、1年目は69勝を挙げ、加賀武見元騎手が1960年にマークした58勝を抜いてルーキーの最多勝記録を更新した。翌年、2年目の騎手としては史上初となる100勝を超え、113勝をマーク。2003年には204勝をマーク、初めて「200勝超え」を果たすと、3年連続で200勝を上回った。2019年で騎手生活33年目の武豊騎手が年間100勝を記録したのは22回目で歴代1位の回数。3月15日に50歳の誕生日を迎えた武豊騎手にとっては50代初の100勝超えともなった。50代での年間100勝は増沢末夫元騎手が1回、岡部幸雄元騎手が3回。武豊騎手は11月30日、阪神競馬場で3勝の固め打ちで2019年の勝ち星を104勝とし、50代騎手の年間最多勝記録も記録した。また、11月4日には浦和競馬場で行われたJBC競走のJBCレディスクラシックでヤマニンアンプリメ(牝5歳、栗東・長谷川浩大厩舎)に騎乗して優勝。地方で行われるダート交流G1・Jpn1レース完全制覇という偉業も達成した。孔子は論語の中で「五十にして天命を知り」と書いており天才武豊騎手も50歳になって、天が自らに与えた使命がジョッキーである「知命」を知ったのだろうかと筆者。

第133回は『ブエノスアイレス午後1時』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 羽田国際空港を発ってから約31時間。日本のほぼ真裏、時差で言うとマイナス12時間というアルゼンチンの首都、ブエノスアイレスのエセイサ国際空港に降り立つことができたのは、現地時間の10月24日の午後1時だったと筆者。HBAトレーニングセールの前日、「村本さん、アルゼンチンに行きませんか?」と話を持ちかけられた。「近年、アルゼンチン産馬はサトノダイヤモンドの母であるマルペンサ(ARG)など、多くの繁殖牝馬が日本に来ていますし、馬産地であるアルゼンチンを紹介するというロケに、村本さんも同行していただきたいのですが…」と。数か月後「村本さん、正式にアルゼンチン行きのロケが決まりました!」との電話があり、驚天動地かつ青天の霹靂。スマートフォンを片手に周章狼狽しながら、周りを右往左往した自分は、まず一呼吸置いてから、スマホに向けて話し出していた。あの時のことを思うと、約31時間前に羽田国際空港を出たのが嘘のようであると筆者。
 (次号に続く) 

第133回は『強い馬づくり』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 2019年で39回目を迎えたジャパンカップ。ついに外国馬の参戦が「ゼロ」となってしまった。1981年に国際招待競走として創設され、アメリカ3頭、カナダ3頭、インド1頭、トルコ1頭(来日後故障し出走出来なかった)が参戦。迎え撃つ日本勢は、天皇賞(秋)1~3着馬ホウヨウボーイ、モンテプリンス、ゴールドスペンサーなど、古馬のトップクラスが参戦。当時世界でも屈指の1着賞金6,500万円だったが、初年は手探り状態で、外国馬の出走はザベリワンThe Very One(USA)(アメリカ)が目玉。しかし結果は衝撃的だった。サクラシンゲキが1000m57秒8のハイペースで飛ばすが、それを難なく追走し交わすカナダのフロストキング(Frost King(CAN))。それを外から伸びて叩き合いを制したのがC・アスムッセン騎手が乗るアメリカの5歳牝馬メアジードーツ(Mairzy Doates(USA))。2分25秒3、当時の日本レコードを0秒5、コースレコードを1秒更新する、驚異的なタイムで制したのだから、当時の競馬関係者やファンには相当衝撃的であったであろうことは、想像に難くない。当時の新聞や記念誌にも書かれた「(日本馬は)永遠に勝てないのではないか」という有名なフレーズが端的に表していると筆者。外国馬の出走数は14年以降も3→4→3→4→2頭と減少傾向にあった。その本当の理由は、海外の競馬関係者にヒアリングするしかないだろうし、逆になぜ日本馬は凱旋門賞を目指すのか、そこをよく考えれば自ずと答えが出るのではないかと筆者。「ゼロ」ではないが、地方馬の中央挑戦も減りつつある。ピークは2001年の743頭で、2000年代後半は200頭前後、JRA認定のルールが変更された2012年以降は100頭前後、さらに減少傾向が続いていると筆者。

協会会議

・2019年度第7回理事会
・2019年度第1回軽種馬生産育成総合対策事業運営委員会

せり市場成績

2019年せり市場成績総括 サラ当歳・1歳・2歳総括

海外情報

2019 カルティエ賞(ヨーロッパ競馬年度表彰)
2019 欧5か国 2歳サイアーズランキング(獲得賞金順)
2019 米加 2歳サイアーズランキング(獲得賞金順)

トピックス

・JBBA 静内種馬場 研修施設の改修を行いました
・JRA2020年度競馬番組等について
・JRA2020年度の開催日割および重賞競走等の変更について
・年次別サラブレッドせり市場成績
・グラフで見るサラブレッドせり市場この25年
・2020年(1~12月)ダートグレード競走一覧

地方競馬ニュース

2019年11月・地方競馬場の売り上げ
2020年度南関東地方競馬開催日程
2020年度南関東地方競馬重賞競走の日程(予定)

生産関連ランキング

・今月号は休載いたします。
・2019年の各種最終ランキングは、2020年2月号に掲載予定

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2019.11.8 ~ 2019.12.8)

2019できごと

表紙

・第39回ジャパンカップ(G1)優勝 スワーヴリチャード
・JBBA新種牡馬アニマルキングダム(USA)
・JBBA種牡馬マクフィ(GB)

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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