新年のご挨拶 – 会長理事 河野 洋平
会員のみなさま、明けましておめでとうございます。年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。
公益社団法人日本軽種馬協会は本年9月に創立70周年を迎えます。本協会は1955(昭和30)年9月7日に社団法人日本軽種馬協会として設立されました。70周年の記念の日を迎えることが出来ますことは、設立以降、一日にとしてたゆまぬ、生産者のみなさまが競走馬生産への情熱を持って努力された結果であるとともに、諸先輩方、競馬サークルをはじめ関係各位のご協力ご支援の賜物であり、みなさまに深く感謝を申し上げます。
昨年も、中央競馬、地方競馬の売り上げは大変堅調に推移いたしました。これは何よりも競馬や競走馬を支えてくださった人々のおかげであり、競馬の発展のためにご尽力されている方々に感謝申し上げたいと思います。
せり市場を見ると、当歳、1歳、2歳の市場全体での上場頭数は3,260頭、売却頭数は2,757頭で、売却率84.6%。売却頭数は過去最高を記録し、年間総売上額も昨年を大きく上回る561億9,350万円と過去最高の成績を収めました。これには、競馬の好調な売り上げを背景とした賞金、ダート三冠競走の新設などのレース体系整備、新規馬主層の拡大、地方競馬の馬主会による団体購買、補助購買制度の充実などの後押しも大きいと思います。
このように活況を呈している生産界ではありますが、生産地の多くの牧場において担い手や労働力の確保が大きな問題となってきています。その対策の一つとして、本協会は生産育成技術者研修の受講枠の拡大と研修費の減額などで修了生を増やすこととしています。担い手不足の問題は、競馬産業全体の大きな課題となっていますので、今後も競馬主催者とも連携しながら、馬に携わる若者の確保と育成について努めていきたいと思います。また、好調な市場成績を受けて数字を伸ばし続けている生産頭数についても私は少なからず懸念をもっております。国内の軽種馬の需要には限りがあります。さらに、昨今のアニマルウェルフェアに関する世界的な意識の高まりもあり、われわれ生産者も競走馬のセカンドキャリアに無関心ではいられない時代となりました。したがいまして、われわれの業界が永続的に成長していくためには、軽種馬の需要と供給のバランスのとれた生産規模と競馬ファンのみならず一般国民からも支持されるアニマルウェルフェアに則った生産活動が、なによりも大切となってきております。われわれ生産者は競馬産業を支える一員として、軽種馬の適正な生産頭数の維持と競走馬の余生について一定の責任が求められることを肝に銘じる必要があると考えます。
一方、日本の競走馬は、海外ですばらしい成績を上げて、国際的にも日本の生産界が最高の水準に達していることが立証されています。このような状況下では、海外に向けての販路展開をより積極的に行うことも大切かと思います。
本協会においても、種牡馬カラヴァッジオ(USA)産駒が昨年、欧州競馬の年度表彰であるカルティエ賞の最優秀3歳牝馬を受賞しています。
そして、本年供用の新種牡馬として、海外から凱旋門賞馬ソットサス(FR)を導入しました。同馬はフランスダービーをコースレコードで優勝するなどスピードも有しており、わが国の競馬に適応し、種牡馬として多くの活躍馬を輩出すると思っています。加えて、東北および九州の会員のみなさまの要望に応え新進の内国産種牡馬を導入し、七戸・九州種馬場のラインナップを充実させました。今シーズンも、これまで以上に本協会の種牡馬をご活用いただくことをお願いします。
新しい年がみなさまにとって素晴らしい年になることを祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
会長理事