新年のご挨拶 – 会長理事 河野 洋平

 会員のみなさま、明けましておめでとうございます。年頭にあたり一言ご挨拶を申し上げます。

 一昨年来、新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界各国、各地で人々の生命が深刻な危機に晒されています。幸い昨年には、ワクチンが実用化され過半の日本国民が接種を受けることができました。しかし、厄介なことにこのウイルスは変異を繰り返し、新たな流行を生み出します。終息に至るまでは、今しばらくウイルスと戦う覚悟が必要だと思います。

 この2年間、経済的活動や文化的活動など多くの事柄が制限される苦境の中、競馬界および軽種馬生産界の業績はともに連続して前年を上回ることができました。これは何よりも競馬や競走馬を支えてくださった人々のおかげであり、まずはそうした方々に感謝申し上げたいと思います。

 このようなすばらしい成績を残すことが出来たのは、中央・地方競馬の主催者やせり市場主催者のみなさまが心を一つにして、創意工夫をして真摯に取り組んだ結果だと思います。

 感染拡大防止のために最善を尽くし、無観客や制限を設けた中でも競馬の開催を着実に実施し続けた中央、地方競馬の英断と努力は、競馬ファンの支持を受け、インターネット投票の伸展もあって、前年を超える売り上げで推移したことは、何よりも嬉しいことです。

 生産頭数は、せり市場が活況を呈していることを受けて、ここ数年、数字を徐々に伸ばし続けています。今後は需給のバランスを的確に把握することも大切になると思います。

 せり市場の売り上げは、当歳・1歳・2歳市場いずれも大変に好調で、全体で2,519頭が購買され、売上額が410億円を超えるというこれまでの記録を大きく塗り替える結果となりました。

 この背景には、自然災害の発生や感染拡大等の不測の事態が生じた場合においても、予定したせり市場を確実に開催するために、インターネットを活用したせり開催が実用化されたこともありました。オンラインビッド方式、インターネットオークション方式など多様な形式と運用方法の改善に努め、より一層、「補完的手段」として購買者の方々の市場参加やニーズに応えられるようなシステムにする必要があると考えます。

 種牡馬事業においては、ここ数年、本協会種牡馬産駒の成績が着実に上がってきています。昨年もバゴ(FR)産駒のクロノジェネシスが宝塚記念(GⅠ)に優勝、凱旋門賞(GⅠ)への挑戦も現実のものとなりました。また、マクフィ(GB)のわが国での初年度産駒からは早くも重賞やオープン勝馬が出ており、さらに今年産駒がデビューするデクラレーションオブウォー(USA)は海外ですでにGⅠ勝馬を7頭輩出しており、期待が膨らみます。

 種牡馬の世代交代を積極的に継続して推し進めており、徐々にその成果が出つつあると思っています。本年から供用する新種牡馬はアメリカの3年連続チャンピオンサイアーのイントゥミスチーフ産駒のミスチヴィアスアレックス(USA)、ヨハネスブルグ(USA)の後継種牡馬ネロの2頭です。これからもみなさまのご要望に応えられるよう本事業に全力で取り組んで参ります。

 本協会は引き続き、国及び関係団体、地域社会と連携し、軽種馬生産界の発展に資するという公益の役目を果たして参ります。

 新しい年がみなさまにとって、人類にとってすばらしい年になるよう祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

会長理事
河野洋平