新年のご挨拶 – 会長理事 河野 洋平
会員のみなさま、明けましておめでとうございます。年頭にあたり一言ご挨拶を申し上げます。
昨年は、新型コロナウイルスの感染が拡大し、日本のみならず世界各国、各地で人々が生命の深刻な危機に直面するという未曽有の事態となりました。
年が明けた現在も終息が見えない中、一人ひとりが感染拡大防止に努めるとともに、人類全体として、ワクチンの開発とその早期実用化に期待を寄せるという状況にあると思います。
そうした中、競馬界および軽種馬生産界の業績はともに前年を上回ることができました。これは何よりも競馬や競走馬を支えてくださった人々のおかげであり、まずはそうした方々に感謝申し上げたいと思います。また、このようなすばらしい成績を残すことが出来たのは、中央・地方競馬の主催者やせり市場主催者のみなさまが心を一つに創意工夫をして立ち向かった努力の結果だと思います。
感染拡大防止に最善を尽くし、無観客でも競馬を着実に実施し続けた中央、地方競馬の英断と努力は、インターネット投票の伸展もあって、前年を上回る売れ行きになったことは、何よりも嬉しいことです。そればかりか、牡馬、牝馬ともに3歳の無敗の三冠馬が誕生し、また、GⅠ8勝という最多勝記録を更新する牝馬のチャンピオンも現れました。更に、その三冠馬3頭が揃ってジャパンC(GⅠ)に出走し、白熱したレースを繰り広げて1~3着を占め、GⅠ9勝の偉業が達成されるという夢のようなレースも経験することが出来ました。
生産界においては、生産頭数、種付牝馬頭数とも数字を伸ばし、緩やかに順調に前進を続けているように思います。
せり市場に関しては、春の2歳トレーニングセールの開催を中止するなど、一時的には暗雲低迷の状況となりましたが、生産界は強い危機感を抱き、インターネットを活用したオンライン市場システムの開発と通信環境整備等にスピード感を持って取り組みました。その結果、6月以降の1歳市場はインターネットオークション及び通常せりでの開催、10月の市場では通常せりとオンラインビッドの並行運用を試行することもできました。
せり市場の売り上げは、1歳市場が大変に好調で243億円を超えて、過去最高となりました。当歳市場と1歳市場の合計では、前年比プラスを記録することが出来ました。
今後も国内にとどまらず、海外も視野に入れて、新しい方式なども活用し、購買者のニーズに応えた市場運営を心がけてゆくべきと考えます。
本協会の種牡馬事業はここ数年、種牡馬の世代交代を積極的に行い、また、種付料の割引や種付権利を無償贈呈する制度などを設けて運営し、一定の効果をあげていますが、まだまだ厳しい状況にあります。本年から供用する新種牡馬には世界的競走馬であり種牡馬でもあるフランケルの全弟のノーブルミッション(GB)を導入しています。
昨年もバゴ(FR)産駒のクロノジェネシスが宝塚記念(GⅠ)に優勝、マクフィ(GB)の初年度産駒が2歳戦で活躍するなど、本協会種牡馬産駒の成績は上がってきています。これからもみなさまのご要望に応えられるよう本事業の活性化に引き続き努力して参ります。
本年も本協会は、自らは新型コロナウイルスの感染拡大防止に努め、医療に従事する方々の命を懸けた医療と患者への献身に感謝するとともに、国及び関係団体、地域社会とも連携し、軽種馬生産界の発展に資するという公益の役目を果たして参ります。
新しい年がみなさまにとって、人類にとって良い年になるよう祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。
会長理事