JBBA NEWS

2024年8月号(VOL.619)

最新の第356便は「とことん」烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 NHKの番組、「チコちゃんに叱られる」を見ていたら、「とことん」という言葉、何?という質問が出た。答えは日本舞踊の仕ぐさから生まれた言葉だった。意味は、最後まで、徹底して。おう、と私は声を出しそうになった。シンザンという名馬を手がけた武田文吾さんの顔と声が思い浮かんだのだった。「とことん」という言葉と武田文吾。私には思い出深いのである。1986(昭和61)年に文吾さんが79歳で亡くなったあと、栗東トレセンで取材仕事をしていた私は、武田文吾の弟子の渡辺栄調教師と食事をした。「ヨシカワサンいう人から教えてもらったんやが、とことんいう言葉は深い言葉やな。誰か、トコトンいう名前の馬を走らせてくれんかなあって、ヨシカワさん言うてた」と渡辺栄さんが言う。(中略) 「ド貧乏の育ちで、口べらしみたいに、10歳ぐらいで薬店の小僧に売られてしまったので、ともかく、人間は働いて食うというのが、ちゃんと食うというのが、何よりも大切なこと。というわけで、がんばって小さな薬品問屋で独立したけど、あんまり口をきかない父親でしたが、人間はとことん働くのが値打ちのあること。とことん働けと、それだけ言って、大好きな酒を楽しみにして、とことん働く父親でした」と私が返事したのも、シンザンの調教師の武田文吾に聞かれたことというので、私も忘れられないひとときになった。(略)

第161回は「北賛」第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 7月8、9日の両日、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで行われた日本競走馬協会(JRHA)主催のセレクトセール2024は今年も盛況のうちに幕を閉じた。セレクトセールには2日間で1歳馬、当歳馬合わせて472頭が上場され、96.4%に当たる455頭が売却された。売上総額は289億1,800万円に達し、4年連続でレコード記録を更新、売却率も過去最高となった。(金額はすべて税抜き)好調なセールを牽引したのはキタサンブラック産駒だった。1歳セッションの牡牝、当歳セッションの牡牝とも最高価格をつけたのは、すべてキタサンブラック産駒だった。今回のようにすべてのセッションで牡牝ともに1頭の種牡馬の産駒が最高価格をマークした例はディープインパクトが3度記録した以外はない。
 初日の1歳セッションで牡馬の最高額5億9,000万円をマークしたのは「デルフィニアⅡの2023」だ。母デルフィニアⅡ(IRE)はアイルランド産で、母の父は名種牡馬Galileo(IRE)。祖母のAgain(IRE)はアイルランド1000ギニーの勝ち馬である。7,000万円からスタートした競りは3分ほど続き、5億9,000万円に達したところで落札を知らせるハンマーが落ちた。落札したのはロデオジャパン。これまでの記録だった20年ショウナンアデイブ(父ディープインパクト、母シーヴ(USA))の5億1,000万円を8,000万円上回るセレクトセール1歳セッションの最高額となった。1歳牝馬の最高価格は「アスコルティの2023」だった。半姉のアスコリピチェーノ(父ダイワメジャー)は今年の桜花賞とNHKマイルCでいずれも2着になった。4億円の価格は牡馬も含めた1歳馬でも2番目の高額で、11年にラストグルーヴ(父ディープインパクト、母エアグルーヴ)がマークした3億6,000万円を更新する1歳牝馬の史上最高価格となったと筆者。

第173回は 「女性の選択肢の変化 ~食の大切さ~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 今の世の中は核家族が主流となり、共働きもあたりまえの状況に。私もできることならば、外食中心の生活でありたいと願うものの、体調面や肌、そして息子のことも考えると、できるだけ作るように努めていますし、基本となる塩・砂糖・油においては、天日塩・キビやテンサイの砂糖・グレープシードやオリーブオイルなどを取り入れ、野菜とタンパク質中心を心がけています。日々の小さなことですが、この小さな積み重ねこそが、馬作りにおいても何においても大事なのかもしれませんね。さて話は変わり、先月、藤田菜七子騎手の結婚が発表され、祝福の声が多く聞こえました。と、同時に今後も騎手を続けるとのことで、これまで大事にしてきたキャリアを失わない形で結婚という形と祝福に、嬉しくまた時代の変化を感じました。確実に一昔前であれば、「結婚か?仕事か?」のどちらかを選択しなければならない空気感が存在していましたし、若くしての結婚においては、男女問わず、「今はその時ではないだろう」という意見も聞こえていました。それが、自分自身の選択によって歩め、尊重される状況へと変化しており、競馬の世界も発展しているように感じましたし、男女関係なく、自然体に日々の生活を過ごせることが、キャリアの持続性という意味でも、1番の要因な気がしますと筆者。

第188回は『1歳馬品評会』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 4月中旬、平取町軽種馬生産振興会の船越伸也会長から、「6月17日に品評会を開催する予定です。審査員を依頼したいと思っているのですが、その日の予定はどうですか?」とのMessageが届いた。すると4月下旬には三石軽種馬生産振興会の平野謙二会長からも、「三石地区の軽種馬1歳馬育成管理品評会を6月3日に予定しています。もし良かったら審査員をやりませんか?」とのショートメールが届いた。以前は各地区で開催されていた1歳馬の品評会だが、現在は平取地区と三石地区だけとなっている。平野会長からは昨年も、「三石地区の品評会に来ませんか?」と声をかけていただいたものの、父親の百箇日法要と重なっていたこともあり、参加を辞退させていただいた。それが今年、再び平野会長から品評会参加への話をいただいただけでなく、船越会長からも声をかけてもらったのには驚いた。しかも、2つの品評会ともに審査員としての参加だという。船越会長の電話には、「審査員が自分でいいのですか?」と聞き返したのだが、平野会長からの申し出に対しては、「船越会長と事前に打ち合わせをして、今年はお互いに村本を審査員にして、あいつがどんな審査をするか確かめてやろうか、なんてことは無かったですよね?」との言葉が喉まで出かかったと筆者。

第188回は『ダブル開催』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 南関東地方競馬の日程が、だいたい今の形になったのが2007年あたりから。正月は川崎開催、ゴールデンウィークは船橋開催、お盆と年末が大井開催、というふうにおおよその開催が固定された。一因にダートグレード競走の日程固定化があって、5月5日はかしわ記念、12月29日は東京大賞典というように、目標となるレースの日程を固定化することにより、参戦しやすくなるとともに、集客面でも大きなメリットがある。開催日程も月~金の5日開催、または日~金の6日開催と分かりやすい日程で組まれるようになった。売上が振るわない時期の策だった。近年は「協同開催」が年間10日前後組まれている。いわゆる「ダブル開催」で、浦和競馬×大井競馬のリレー開催や船橋競馬×大井競馬のWナイター開催として行われていて、2023(令和5)年度が10日間、2024(令和6)年度は13日間組まれていると筆者。

トピックス

・実践研修プログラムのご案内

せり市場成績

・八戸市場 サラ1歳
・セレクトセール サラ1歳
・北海道セレクションセール サラ1歳
・セレクトセール サラ当歳

海外ステークスウイナーズ

ディアヌ賞 後方待機のKingman(GB)産駒Sparkling Plenty(FR)が父譲りの末脚で仏オークスを制す!
クイーンアンS Dark Angel(IRE)産駒Charyn(IRE)が残り1Fで抜け出して完勝、カラヴァッジオ(USA)産駒Maljoom(IRE)は3着
セントジェームスパレスS 英愛仏2000ギニー馬含む5頭のGI馬が出走した豪華メンバー、愛ギニー馬Rosallion(IRE)が制しGI3勝目
プリンスオブウェールズS 残り2Fで先頭に立ったAuguste Rodin(IRE)がそのまま押し切り6度目のGI制覇、エイダン・オブライエン師はGI競走400勝達成
コロネーションS Scat Daddy(USA)系のワンツースリー、カラヴァッジオ(USA)産駒Porta Fortuna(IRE)が英1000ギニー2着からの雪辱を果たす!
愛ダービー 直線一度は先頭を許したLos Angeles(IRE)がファイトバック!エイダン・オブライエン師16度目の愛ダービー制覇

JBBAスタリオントピックス

・ミスチヴィアスアレックス(USA)産駒が市場に初登場!

地方競馬ニュース

・2024年6月 地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

・2024年7月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・南九州案内所(連絡センター))

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2024.6.17 ~ 2024.7.16)

表紙

・第65回宝塚記念(GⅠ) ブローザホーン
・ブローザホーン紹介
・2025年度(第47期)生産育成技術者研修生募集案内
・北海道市場サマーセールポスター

カラーグラビア

・JBIS 生中継 北海道市場サマーセール
・JBIS せりカタログをスマホで持ち歩こう!

刊行物注文へ

※ JBBA NEWSのほかに、全国馬名簿、軽種馬統計などの定期刊行物のご注文もできます。