JBBA NEWS

2024年7月号(VOL.618)

最新の第355便は「ばんば恋しや」烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 ときどき私は、公園のベンチに腰かけて樹木を見上げたり、足もとの小石に気を取られたりしながら、帯広の競馬場でばんえい競馬を見ている自分を夢見ていることがある。どうしたってジイさん、人生をふりかえる。ふりかえってばかりいるなよ、と自分で自分を叱ったりもするのだが、どうやら、ふりかえるのが人生の仕事、日常になったような気もする。おれ、どうして、ふと、ばんえい競馬を見ていたときの自分を思いだしているのかなあ。とても幸せなひとときとして思いだしているのかなあ、と私は考えるのだ。私は1965(昭和40)年から3年ほど、東京に本社のある貴金属会社の札幌営業所勤務で、札幌市中央区南3条西6丁目に住んでいた。私、30代の始めである。競馬が好きで夏の札幌開催がうれしく、休日に3歳の娘をつれて白老の社台ファームを眺めに行くのもうれしく、そのころはまだ、ばんえい競馬をやっていた岩見沢競馬場へ行くのもうれしかった。(中略) スポーツ紙で、「ばんえい帯広」の出馬表を見て、1着賞金29万円の「メラアカル初オリ曲公開記念」にシュゲンドウという名の馬が走るなとか、やはり1着賞金が29万円の「ゆめちゃん3歳おめでとう」というレースに、ピアノ(母貞姫)、マタクルサ(母アローベッキー)という名の馬が走るなとか、おもしろい馬名を見つけたりしている。(略)

第160回は「3着」第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 今年も日本ダービーが終わった。5月26日に東京競馬場で行われた第91回東京優駿(日本ダービー)を制したのは、横山典弘騎手が乗る9番人気の伏兵ダノンデサイル(牡3歳、栗東・安田翔伍厩舎)だった。年明けの京成杯で重賞初制覇を果たしたが、続く皐月賞ではレース直前に右前脚を痛め、不運の競走除外になった。だが、そこから立て直し、鮮やかによみがえった。誰もが出走を夢見る皐月賞で、レース直前に脚の異常を察知し、レースをやめたことがビッグタイトルにつながった。不完全な体調のまま皐月賞を走っていたら、ダービーに出ることさえできなかっただろう。横山騎手のベテランならではの「勇気ある撤退」が称賛された。エピファネイアを父に持つダノンデサイルが優勝したことで、日本ダービーのある法則が今年も継続された。その法則とはダービー馬の父は自身もダービーで3着以内に入っているというパターンだ。「ダービー馬はダービー馬から」というが、正確には「ダービー馬はダービー3着以内馬から」なのだと筆者。

第172回は 「ダノンデサイル陣営に見るプロフェッショナル~限りある時間での変化と成長~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 2024年の上半期の競馬も終わりましたが、今年は、厩舎&騎手共にG1初制覇も見られ、悲願のG1制覇に涙する姿や陣営の抱き合う姿に、レース後に受ける感動も多くあったように思います。またその一方で、ベテランの采配と技に大きなインパクトを受けたのが、日本ダービーでの横山典弘騎手でした。皐月賞を取り消した上での日本ダービー制覇。通常という言葉が正しいのかどうか分かりませんが、これまでの感覚からいうと、このローテでの勝利は、なかなか考えづらいものがあり、レース後、私も含め、驚きの声が多く聞こえました。しかしその驚きが、自身の浅はかさから生まれているような申し訳ない気持ちとなったのが、横山典弘騎手の勝利騎手インタビューでの、「皐月賞での自分の決断が間違っていなかったのだなぁ」という言葉。これは想像ですが、常に馬との対話を心がける横山騎手だからこそ、皐月賞での回避の判断が、本当に正しかったのか?そうではなかったのか?と、日々、自問自答されていたのではないでしょうかと筆者。

第187回は『お父さんのこと』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 田中哲実さんが5月13日に亡くなった。田中さんは岩手競馬史上最強馬とも称された、トウケイニセイの生産者であり、そして、生まれ故郷である浦河に根付きながら、ライターとカメラマンを兼任していた。哲実さんは亡くなった当日も自宅で朝食と昼食を食べ終え、仕事へと出かけていった妻の綾恵さんを見送ったという。ただ、夕方に体調の悪化を綾恵さんに電話で伝えると、救急車が着いた頃には意識も混濁としており、搬送先の浦河の病院で68歳の生涯を終えた。死因は大動脈解離だった。哲実さんのお通夜は18日に、告別式は19日に執り行われた。お通夜は仕事の都合で行けなかったので、19日の午前9時からの焼香に間に合わせるべく、8時半には葬儀会場に到着した。だが、そんな早い時間に来る参列者はいないと思われたのか、自分が控室として案内されたのは、遺族関係者の部屋だったと筆者。

第187回は『恨めしい雨』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 ゴールデンウィークが終わり、5月3週〜4週目にはオークス、そしてダービーが行われる。中央競馬はそこが春のクライマックスだが、地方競馬、特に南関東は6月がピーク。
 東京ダービー(JpnⅠ)、関東オークス(JpnⅡ)、さきたま杯(JpnⅠ)、そして帝王賞(JpnⅠ)と重要なレース(稼ぎ時)が続く。一方で6月は天候との戦いでもある。いわゆる梅雨。梅雨前線が停滞した日には緊張感が走る。競馬は屋外競技。かつては雨が降るか降らないかで売上が大きく違ったが、今は在宅投票が主流となり、売上に対する天候の比重はだいぶ下がってきたように感じる。我々もネット版やコンビニプリントなど、在宅投票ユーザー向けの商品を揃えているが、それでも気になるのは現場の売上部数だ。ひとたび雨が降れば、コロナ以降ただでさえ少なくなっている本場入場者数が、1,000人単位で減るからたまったものではない。「ゲリラ豪雨」という言葉が生まれたのが2008年。その年の新語・流行語大賞のトップ10に選ばれたが、読んで字の如く突然激しい雨に見舞われる。スマホで雨雲レーダーが見られるようになってからは突然!のようなゲリラ感はだいぶ薄れたが、豪雨の部分はさらに激しさを増したように思われる。この6月も、東京ダービー2日前の大井1日目の開催中に激しい雨が降り、パドックと馬場を結ぶ地下通路が冠水し、運動場で周回する対応がみられた。東京ダービー当日でなかったのが幸いだが、時間帯によってはお客さんの出足にも影響しかねないから笑えないと筆者。

特別寄稿

・生産育成技術者研修コラム

協会会議

・2024年(令和6)年度第3回理事会

トピックス

・2024年国際サラブレッド生産者連盟会議を東京で開催

せり市場成績

・九州1歳市場 サラ1歳

海外ステークスウイナーズ

プリークネスS 名馬Arrogate(USA)の最終世代Seize the Grey(USA)が逃げ切り勝ち、88歳の名伯楽Wayne Lukas師は7度目プリークネスS制覇
愛2000ギニー 直線大外から伸びたRosallion(IRE)がゴール前Haatem(IRE)を捉え、英2000ギニー2着の雪辱を果たす
愛1000ギニー Fallen Angel(GB)が先行から抜け出し完勝、父Too Darn Hot(GB)は産駒による同日の独愛1000ギニー制覇の快挙
英オークス Dubawi(IRE)産駒のワンツー Ezeliya(FR)が3馬身差で勝利し、名伯楽D K Weld師43年振り2度目のオークス制覇
英ダービー City Of Troy(USA)が圧倒的な強さで2000ギニー9着から巻き返し!エイダン・オブライエン師10度目のダービー制覇
仏ダービー 残り2Fから力強く抜け出したLook De Vega(FR)が完勝、父系3代でのフランスダービー制覇達成
ベルモントS サラトガ10Fでの3冠最終戦を制したのは、昨年KYダービー馬Mage(USA)の全弟Dornoch(USA)

JBBAスタリオントピックス

・ミスチヴィアスアレックス(USA)産駒が市場に初登場!

地方競馬ニュース

・地方競馬場別サイアーズランキング(1~6月)
・2024年5月 地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

・2024年6月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・千葉案内所(連絡センター))

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2024.5.12 ~ 2024.6.16)

表紙

・第91回日本ダービー(GⅠ) ダノンデサイル
・ダノンデサイル紹介
・2025年度(第47期)生産育成技術者研修生募集案内
・北海道市場セレクションセールポスター

カラーグラビア

・JBBA種牡馬アニマルキングダム(USA)産駒 プリフロオールイン紹介
・JBIS Live中継 北海道市場セレクションセール
・JBIS スマホで!! せりカタログを持ち歩こう!

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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