JBBA NEWS

2023年11月号(VOL.610)

最新の第347便は「おれの財産」烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 大谷選手が米国で本塁打王争いを独走中の9月上旬、駅員の鈴木匡哉さん(28)は福岡市北東部にあるJR香椎駅のホームにいた。配属されて9か月が過ぎ、水色の制服は体になじむ。指さし確認で列車を見送るしぐさも板についてきた。11年前の高校最後の夏、日米のスカウトが注目する大谷選手と岩手大会の準決勝で相まみえた。一関学院のエースの鈴木さんは7点を追う六回表2死一、三塁で左打席に立った。「絶対に打ってやる」。バットをくるくる回し、軽く息を吐いて構えた。(中略)6球目、内角のひざ元ギリギリを突かれた。一瞬だった。バットは出ず、見逃し三振。電光掲示板には、160キロ、と表示されていた。うなるような直球で、気持ちが伝わってきた。ギアが上がった大谷選手の160キロを体感できたのは、かけがいのない財産、と鈴木さん。(中略)日本馬にどうしても開かない凱旋門をこじあけるのは、ステイゴールドの血しかないのではと私は夢想してしまうのである。それに私にとってもステイゴールドは特別な馬、かけがえのない財産なのだ。(略)

第152回は「4代」第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 モーリスなどの一流馬を送り出したスクリーンヒーローが種牡馬を引退した。2023年10月10日に長年住み慣れたレックススタッドを離れ、生まれ故郷の社台ファームに移動した。そこで余生を送るという。19歳でのハッピーリタイアメントとなった。2004年4月18日、スクリーンヒーローは社台ファームで生まれた。父グラスワンダー(USA)、母ランニングヒロイン、その父サンデーサイレンス(USA)という血統だ。ランニングヒロインの母は1987年と1988年に2年連続して最優秀4歳以上牝馬に選ばれたダイナアクトレスである。ランニングヒロインの3歳年上の半兄ステージチャンプ(父リアルシャダイ(USA))はオープン特別だった頃の青葉賞のほか日経賞、ステイヤーズSを制した。スクリーンヒーローは4歳秋のアルゼンチン共和国杯で待望の重賞初制覇、勢いそのままに中2週でジャパンCに臨んだ。メイショウサムソン、ウオッカ、ディープスカイと3頭のダービー馬、有馬記念優勝のマツリダゴッホ、菊花賞馬オウケンブルースリなどのGⅠ馬がそろう中、単勝は17頭立ての9番人気、ミルコ・デムーロ騎手に導かれ好位置を進んだスクリーンヒーローが最後の直線で早めに先頭に立ったマツリダゴッホをかわし、外から迫るディープスカイ、内のウオッカを抑えて先頭でゴールした。単勝4,100円は今もレース最高配当として残る波乱の結果だった。種牡馬入りしてから産駒のGⅠ馬は3頭。モーリス、ゴールドアクター、ウインマリリンである。スクリーンヒーローの特筆すべき特長は、父グラスワンダー(USA)の遺伝力を子、孫の代までつなげていることだ。モーリスはピクシーナイト(スプリンターズS)、ジャックドール(大阪杯)という2頭のGⅠ牡馬を送り出した。いずれはピクシーナイトやジャックドールが後継種牡馬になり、この父系をさらに発展させていくことになるだろう。そうなれば素晴らしいと筆者。

第164回は 「素晴らしい日本の風景・姫路城 ~馬産地ならではの競馬色~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 私にとっての2023年は、特に夏以降は、全国を飛び回っていた日々。振り返ると、1週間で8都道府県にお邪魔する週も。またその内容が中央競馬・地方競馬のみならず、ボートレースや、まったく違う分野の仕事もあり、その分、新たな方との出会いや、新たな場所を知ることができ、胸躍る場面が多かったです。中でも驚きだったのが、兵庫県の姫路。姫路と言えば、姫路城というのは認識していたのですが、まさか、その姫路城が駅を降りて直ぐ真正面に飛び込んでくるとは…。「しらさぎ城」の名のごとく、真っ白なお城が、黒バックにライトアップされた姿は実に神秘的で優雅。まだまだ知らない素晴らしい日本の景色があるのだなぁ…と再認識。夏に3度、足を運んだ門別競馬場。場内には、応援に駆け付けている牧場関係者の方や、牧場の仕事を終え、一度自宅に戻り、お風呂と食事を終えた上で、子供と共に遊びに来ているといった様子で、ある意味、競馬場が特別な場所ではなく、日常の中の1つとして存在する空間で、まるで夏祭りのような楽しさと心地よさが感じられました。これはまさに馬産地だからこその景色と筆者。

第179回は『見学の申し込み』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 競走馬のふるさと日高案内所内の河村所長はこの夏、見学についてのひっきりなしの電話応対に追われていて、ほぼ同じような内容を、何度も受話器の向こうへと伝えていた。「最近は見学についての質問が増えているんですよ」と柔和な表情の中にも、若干の疲れがうかがえる河村所長。聞くところによると、最近の「ウマ娘」ブームを受けて、近年の馬産地観光は活発になっているという。「どこに行けば馬を見せてもらえますか?」との質問は相変わらず多いらしい。「こちらとしてはどの馬を見たいのですか?と尋ねるのですが、その時に具体的な名前が出て来ない方もいまだに多いですね」と河村所長。ふるさと案内所のホームページでは「馬・牧場・施設検索」がピックアップできるだけでなく、「名馬見学ナビ」では、日程や見学時間など、より具体的に見学のプランを立てることもできるのだが・・・。また新たな課題として「個人牧場で見学を応じてくださっている方に、ウチを通して見学のお願いをさせていただいているのですが、その度に分場まで行ってもらうのも大変で、こちらとしても、いい方法は無いかと考えているところです」と河村所長。

第179回は『2024年開催日割』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 JRAの2024年開催日割と重賞日程が発表された。おおまかにまとめると、①阪神競馬場スタンドのリニューアル工事に伴う開催地の変更。②全日本的なダート競走の体系整備に伴う重賞日程の変更。③暑熱対策として第2回新潟競馬の開催時間帯の拡大。以上である。そして毎年この開催日割の発表を号砲に、来年のカレンダー製作作業が一気に動き出す。毎年この日割をみんなが待っているが、安心してください、今まで1度もフライングで出たことはないから。写真とカレンダー部分は既に組んであり、発表と同時に開催日程と重賞日程を入れて、最後のひとレース分(例年天皇賞・秋)を残して入稿。数日後には色校が来るので修正があれば指示して、天皇賞・秋の写真が入稿され次第、最後のひと月分を入稿、色校、あれば修正指示し、OKであれば校了し印刷、製本となる。全盛期ほどではないが、ここ数年徐々に販売本数を回復しつつあると筆者。

協会会議

・2023年度第4回 5回理事会
・2023年度JBBA/JRA第1回生産等に関する協議会

トピックス

・第12回地方競馬主催者軽種馬生産地現地検討会が4年ぶりに行われる
・JBBAからのお知らせ アニマルウェルフェアに関するアンケート調査について

せり市場成績

・北海道オータムセール サラ1歳
・ノーザンファームミックスセール サラ当歳・繁殖牝馬
・ジェイエス繁殖馬セール

海外ステークスウイナーズ

凱旋門賞 後方待機Ace Impact(IRE)が、仏ダービーで見せた末脚を再現。6戦6勝、無敗のアークウイナー誕生
チヴァリーパークS 好位から残り1Fで抜け出したPorta Fortuna(IRE)が初G1制覇、カラヴァッジオ(USA)産駒はTenebrism(USA)以来2頭目の勝利
英チャンピオンS 最後方を進んだ名手Fデットーリ騎乗King Of Steel(USA)が、直線先に抜け出したVia Sistina(IRE)をゴール前ねじ伏せて初G1制覇

海外セール成績

キーンランド・セプテンバー・1歳セール

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2023年9月 地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

・2023年10月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振案内所(連絡センター)・十勝案内所(連絡センター)・東北案内所(連絡センター)・千葉案内所(連絡センター)・南九州案内所(連絡センター))

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2023.9.12 ~ 2023.10.10)

表紙

・JBBA新種牡馬シャープアステカ(USA)
・シャープアステカ(USA)紹介
・シャープアステカ(USA)5代血統表
・2024JBBA種牡馬配置表

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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