JBBA NEWS

2023年10月号(VOL.609)

最新の第346便は「心情馬券」烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 襲いかかってくるような陽射し。炙られるような舗道からの地熱。2023年の7月と8月は、異様な暑さの連続だった。その異常は北国にもひろがっていて、札幌や青森の友だちからも、変だよなあと声が届く。8月末の日曜日、東京の墨田区向島に住む富彦くんが私の家へ遊びにきた。富彦くんは47歳。 (中略)私も、富彦くんと同じく、ウインズ錦糸町にいて、その帰りに寄ったバーでということだった。富彦くんはその日の小倉2歳Sの勝ち馬タムロチェリーの単勝を1000円買っていたのである。小池隆生騎乗のタムロチェリーは15頭立ての15番人気。単勝は1万780円。「どうして買えたの?」 (中略)「ボク、1976年11月14日生まれなんです。昭和51年です。その日、諏訪牧場のグリーングラスが菊花賞を勝ったんです。騎手は安田富男で、父はボクの名前に、富男の富をつけて。1979年にグリーングラスが有馬記念を勝って、騎手は大崎昭一。その年の12月に生まれたボクの妹は、昭一の昭から、昭枝という名です。父は青森のグリーングラスがうれしくてうれしくて」そう富彦くんが言うのを聞きながら、富彦くんのタムロチェリーの馬券こそが、心情馬券というものだなあと私は思った。(略)

第151回は「母父」第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 9月17日に阪神競馬場で行われた第41回ローズS(芝1800メートル)はマスクトディーヴァ(牝3歳、栗東・辻野泰之厩舎)が1分43秒0という驚異的なJRAレコードタイムで優勝した。マスクトディーヴァは父ルーラーシップ、母マスクオフ、母の父ディープインパクトという血統だ。マスクトディーヴァの活躍もあり、9月18日時点で、JRAのブルードメアサイアー(母の父)ランキングでトップに立っているのはディープインパクトである。2位のキングカメハメハに5億5,000万円以上の差をつけており、このままいけば初のリーディングブルードメアサイアーのタイトル獲得ということになる。JRAのリーディングサイアーはほとんどの場合、リーディングブルードメアサイアーになっている。JBISサーチで1974年以降のリーディングブルードメアサイアーを調べると、ライジングフレーム(IRE)、ヒンドスタン(GB)、トサミドリ、ネヴァービート(GB)、パーソロン(IRE)、ファバージ(FR)、ノーザンテースト(CAN)、サンデーサイレンス(USA)、キングカメハメハという9頭の名種牡馬の名が挙がった。9頭のうちライジングフレーム、ヒンドスタン、ネヴァービート、パーソロン、ノーザンテースト、サンデーサイレンス、キングカメハメハの7頭はJRAのリーディングサイアーになった経験があった。また、複数年で首位に立ったことがあったという点で共通する。ディープインパクトのリーディングブルードメアサイアー就任は不思議なことではなく、しごく当然の成り行きなのだと筆者。

第163回は 「次の仕事へのマインドづくり ~仕事終わりは良い加減のお酒で~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 今年の前半を振りかえると、JRAの競馬場のみならず、地方の競馬場、またボートレース場にもお邪魔する機会が多く、1週間で日数以上の県に足を運んだ週も。しかも今年は仕事終わりには、必ず、その土地土地でお酒をいただき、金沢・姫路・千歳・徳山ではもはや女酒場放浪記状態と筆者。尊敬する井崎脩五郎先生の、「仕事終わりは呑む」のマインド。とにかく呑んで笑って、時折、居眠りも交えて、また呑む。先生が1番嫌うのは、仕事の話。「仕事が終わった後に、仕事の話をするな」と。物事を長く行う上で大切なことは、どんな状況であれ、自分自身の感情を常に一定に保ち、周囲に迷惑をかけないで終えること。「いい加減」は「良い加減」と筆者。数々のGⅠ馬を育てられた厩務員さんが、「レース後、とにかく馬がストレスを抱えたまま、馬運車に乗せたくない。」と、馬の精神状態を見ながら上がりの運動に強弱をつけていたことを覚えていると筆者。やはり人間も馬も感情を持った生き物であり、その感情を仕事終わりにどうおさめるか?が、次の仕事に向けて大切になると筆者。

第178回は『インバウンドと馬産地観光』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 とんでもない話を聞いた。ホッカイドウ競馬の生配信番組である「なまちゃき」に出演のため門別競馬場へ行った時の話である。出演前に取材陣の控室へ挨拶に行ったとき、帯広から門別へと通っているKカメラマンが、「聞いてくださいよ!」といつもの温厚そうな表情とは正反対の、かなり憤慨した様子で話しかけてきた。「新冠のサラブレッド銀座の近くを通ってきたのですが、ある牧場の放牧地に、どう見ても牧場の人ではない恰好をした人が入っていて、繁殖牝馬や仔馬に触っていたんですよ」。一般ファンが勝手に牧場内へ入っていると分かったKカメラマンは、「勝手に放牧地に入らないで!」と叫んだが、リアクションはまるで無かった。『Get out!』など、自分の分かる範囲の英語を使って、必至に叫んでいたら、そそくさと放牧地を離れていったとのこと。立ち入り禁止が一目で分かる、黄黒テープが張られていたのにかかわらずで、正直、呆れましたとKカメラマン。Kカメラマンと、この問題をどう解決するかをしばし話し合ったが、結論は出なかったと筆者。

第178回は『暑熱対策』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 今年の夏はとにかく暑かった。北海道では8月23日に観測史上最高の36.3度を記録し、「熱中症警戒アラート」が出されるほどである。かくいう筆者もお盆前に青森へ帰省したら、観測史上最高の39.3度に遭遇。小学生の頃(昭和50年代)は気温20度を超えたらプールに入れた、と記憶している。20度は低く感じるかもしれないが、その数字だけは鮮明に覚えているから多分間違いないだろう。40年前の7月末ぐらいはそれぐらい気温が低かった。環境省の調査によると、2018年までの100年間で、日本の夏季(6~8月)の平均気温は1.5度上昇しているという、体感的にはもっと高くなっているという感覚だ。
 JRAの第1回関東定例記者会見で、暑熱対策(パドック周回時間の短縮、ミスト、シャワー設置、夏に開催される競馬場の馬房にエアコン設置等)の一環として、2024年から熱中症リスクが著しく高い時間帯での競馬を休止し、競走時間帯を拡大することが発表された。具体的には7、8月の北海道以外の開催場で、1Rを9時30分頃に行い、午前中(11時30分頃)までに5Rを行い一旦休止。15時頃をめどに再開し、18時30分ごろに最終レースを行うというもの。休止中は札幌競馬を楽しむことになりそうだと筆者。

せり市場成績

・北海道セプテンバーセール サラ1歳

海外ステークスウイナーズ

インターナショナルS 好スタートから逃げを打ったMostahdaf(IRE)がNashwa(GB)とPaddington(GB)の追い上げを凌いでG1連勝
トラヴァーズS 3冠レース勝馬3頭を含めたG1馬5頭出走の真夏のダービーは、ベルモントSウイナーArangelo(USA)に凱歌
愛チャンピオンS 前走大敗し捲土重来を期したAuguste Rodin(IRE)が完勝、英愛ダービー馬の貫禄示す

海外セール成績

アルカナ・オーガスト1歳セール

トピックス

・研修生募集のお知らせ 2023年軽種馬後継者研修募集案内
・JBBAからのお知らせ 「2023年生産全国馬名簿」に掲載する当歳馬の産駒登録のお願い
・JBBA馬伝染性子宮炎(CEM)のPCR検査とその検体の採材方法について
・日本ウマ科学会第36回学術集会のお知らせ
・2023 秋 北海道馬産地見学ガイドツアー レポート
・第107期騎手課程 騎手候補生募集【地方競馬教養センター】

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2023年8月 地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

・2023年9月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振案内所(連絡センター)・十勝案内所(連絡センター)・東北案内所(連絡センター)・千葉案内所(連絡センター)・南九州案内所(連絡センター))

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2023.8.13 ~ 2023.9.11)

表紙

・第58回札幌2歳S(GⅢ)優勝 セットアップ
・デクラレーションオブウォー(USA)産駒 セットアップ紹介オールアットワンス
・JBBA種牡馬ファーストクロップサイアー アニマルキングダム(USA)紹介
・北海道市場オータムセールポスター

カラーグラビア

・2023JBCポスター
・大井 門別競馬場紹介
・JBIS Live中継 北海道市場オータムセール
・JBIS スマホで!! せりカタログを持ち歩こう!

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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