JBBA NEWS

2023年7月号(VOL.606)

最新の第343便は 現場烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 第90回日本ダービーの2日前のサンスポ紙に、「日本ダービーといえば、出走馬を生産した牧場にとっても、年に一度の晴れ舞台」ということで、牧場が記事になっていて私はうれしかった。記事の書きだしをそのまま使わせてもらおう。「今年で創業111年を迎える谷川牧場。かつて5冠馬シンザンを繁養した老舗がファントムシーフを送り出す」というのと、「トップナイフの生まれた故郷である杵臼牧場は、1999年皐月賞をはじめGⅠ7勝を挙げたテイエムオペラオーを生産した牧場として知られている」というのと、「ハシモトファームは1986年に開業。船橋所属で帝王賞2度制覇など地方重賞路線で一時代を築いたフリオーソなどを輩出してきたが、日本ダービー出走は初めて。ハーツコンチェルトを送り出す」という3つの牧場が紹介されていた。(中略) 1960(昭和35)年に大洋漁業に入社した本間さんは、10年間のアメリカ支社勤務ののち、帰国してマルハ・グループ200社の中での、本社のマーケティング部長となった。秘書課勤務の最初からの50年にわたる仕事の具体を、57577の短歌にして綴るのを、87歳の日日の自分との約束にしたのである。「令和5年5月の歌、九十六首」が届く。大洋ホエールズから横浜ベイスターズへの球団名変更に関するものが25首ある。 〇ホエールズ球団名の変更を中部オーナー同時に進める 〇球団名公募で募集二万件絞りに絞りて十件残る 〇マーケ部の部下が探るは社長室社長が推すのはウィザードなりか 〇委員長最後の二件をどうするかウィザード対ベイスターズに 〇指名あり最後の意見オーナーはマーケ部長の本間の見解 〇オーナーに反対意見の提案は勇気もいるが首も覚悟で 〇ウィザード魔法使いはまやかしでイメージ暗く野球にそぐわず 〇苦笑いオーナー手をあげベイスターズ一件落着首もつながる(略)

第148回は「凄味」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 2023年6月3日、英国エプソム競馬場で第244回英ダービーが行われた。優勝したのはディープインパクトを父に持つアイルランド調教馬オーギュストロダン(牡3歳、エイダン・オブライエン厩舎)だった。2019年7月に死んだディープインパクトの数少ない最終世代の1頭がとてつもない偉業を成し遂げた。オーギュストロダンの母ロードデンドロン(IRE)は2014年にアイルランドで生まれたガリレオの娘。現役時代は2歳時にフィリーズマイル(英)、3歳時にオペラ賞(仏)、4歳時にロッキンジS(英)とGⅠ3勝を挙げたほか2017年の英オークスでは5馬身差の2着に終わったものの、凱旋門賞2連覇のエネイブルと激戦を演じたこともある実力馬だ。世界的な競馬組織であるクールモアは、ディープインパクトと交配するためロードデンドロンを日本に送り、受胎を確認後、アイルランドに戻し、オーギュストロダンを誕生させた。数々の大レースを制してきたオブライエン調教師が「私が育てた中で、もっともエキサイティングな馬」と評した。3歳初戦の英2000ギニーは22馬身も離された12着に終わったが、陣営の強気の姿勢は変わらなかった。オーギュストロダンの英ダービー制覇は同レース史上でもまれに見る大逆転勝利となった。
 最終世代でついに世界のクラシック競走の頂点である英ダービー制覇を成し遂げた種牡馬ディープインパクトだが、産駒の欧州クラシック制覇はこれが初めてではない。合わせて7度もマークしている。達成順に挙げる。2012年ビューティーパーラー(仏1000ギニー)、2018年サクソンウォリアー(英2000ギニー)、2018年スタディオブマン(仏ダービー)、2020年ファンシーブルー(仏オークス)、2021年スノーフォール(英オークス、愛オークス)、そしてオーギュストロダンの英ダービーと続く。国内でのクラシック優勝は、皐月賞3勝、ダービー7勝、菊花賞5勝、桜花賞5勝、オークス4勝で計24勝という記録はディープインパクトの父サンデーサイレンス(USA)が持っていた23勝を超えて、歴代トップの記録。改めてディープインパクトの凄味がわかる素晴らしい出来事だったと筆者。

第160回は「静寂さが魅力のライアン・ムーア騎手 ~感情のコントロールには正しい姿勢~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 知人との何気ない会話や、ふとした瞬間の出来事が、天からのメッセージのように心に響くことってありませんか?先日、たまたま見ていたTVドラマで発せられた、「自分の機嫌を取るのは、自分しかいないのですよ」というフレーズが、脳裏に刻まれ考えさせられる言葉となりました。確かに、自分の気持ちをコントロールするのは自分自身のみ。納得のいかない出来事が起こった時、他人に意見を求めることの多い生き方をしてきましたが、所詮、他人に意見を求めたところで、それは相談ではなく発散にしかならないと気付きました。いつあっても同じ空気をまとい、飄々とされている方、いわゆる心の温度が一定で感情のブレがない人に魅了されると筆者。競馬場でもトレセンでも、また食事をご一緒した時でも、何1つ変わらない雰囲気で、静寂な空気に包まれているのがライアン・ムーア騎手。実はこの背景には、父親からの、「紳士たるもの、感情の起伏を人様に見せてはならない」との教えがあったとのこと。本当にステキだと思えると同時に、よくよく考えてみれば、馬上で冷静であることがレースにおける最善の判断力に繋がり、勝利への確率が高まるという図式。メンタルのコントロールには、実は骨と骨組みが健康であることも大切な気がすると筆者。

第175回は『第90回日本ダービー観戦記』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 コロナ禍以降では初めて、ロジャーバローズが優勝した第86回日本ダービーからだと4年ぶりに、東京競馬場でダービーを観戦した。今年は中央競馬ピーアール・センターを通して、取材パスを出してもらえる運びとなった。ダービー当日に、確実に競馬場へ入場できるようになったのはありがたかった。当日は内馬場にも足を運ぶなどして、久しぶりのダービーを目一杯楽しもうと思っていたところ、JRA北海道シリーズで、ビギナーズセミナーを運営している広告代理店の方から、「今年のダービーはこちらに来るのですか?」「ちょうど良かった!セミナーの講師が少ないので手伝ってもらえますか?」と4年前と同じ依頼があった。その数日後にはラジオNIKKEIの中野雷太アナウンサーから、「村本さん、ダービーデーの日はまたラジオにご出演をお願いしたいのですが」「なら、スタジオで話をお願いします!」と話がまとまった結果、4年ぶりのダービーはビギナーズセミナールームと、ラジオNIKKEIブースを行き来することが決定した。1レースから聞こえてくる歓声とも喧噪ともいえる声も、どこか懐かしかった。7階にあるブースからだと、内馬場まで一杯に人が入った光景が一望できた。これだけの人たちがダービーを見に来てくれたことに対して、マスコミの1人として感謝したくなった。今年の日本ダービーはスタートからゴールまで、滅多に無いようなことが立て続けに起こった。レース後には様々な記事が出され、ネットでもどうすべきだったのかといった問題提起や、時には批判的な書き込みも目にしたが、自分自身、今年のダービーをどう伝えるかを考えた時、具体的な言葉が思いつかなかったと筆者。

第175回は『2023年前半戦』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 早いもので、今年も間もなく折り返し地点を迎えようとしている。病院勤務の家族から話を聞いていると、コロナウイルスは終息したとは言い難い印象ではあるが、取り敢えず「前に向かって前進!」しなければ生きていけないと思う。さて今年の前半戦。地方競馬主催のダートグレード競走は本稿執筆時点で15レースが行われ、イグナイターの1勝(さきたま杯・JpnⅡ)という状況。昨年の帝王賞直前がどうだったかというと、ノーヴァレンダ(ダイオライト記念・JpnⅡ)、サルサディオーネ(さきたま杯・JpnⅡ)、イグナイター(黒船賞・JpnⅢ、かきつばた記念・JpnⅢ)の4勝を挙げていただけに物足りなさは感じるが、一昨年がカジノフォンテンの2勝(川崎記念・JpnⅠ、かしわ記念・JpnⅠ)だったことを考えると、相変わらず「タレント頼み」で、今年は「イグナイター頼み」になりそうな予感がすると筆者。昨年、総売上1兆651億3,741万8,251円を記録した地方競馬。何度も書いているが、「コロナ前」と客層が変わり、若い人が一気に増えた。ウマ娘で競馬に興味を持った人が増えて、事前予約制がベテランファンを遠ざけた、と言われているが、場内の印象も概ねそんな感じだ。今春、競馬場の帰りにお世話になっているある団体の偉い人と、一杯飲みながら話した。殆どが昔話や前述の話ではあったが、ちょっとだけ現況の話もした。その中で売上があるうちに地方競馬がやっておいた方が良いと思われることとして2つ挙がった。1つ目は調教施設の整備と厩舎の更新。坂路、ウッドチップ等を擁するJRA勢に対し、このままでは差が開く一方だ。2つ目は競馬初心者対策。調教時計は縦の比較であって、横の比較ではないし、そこそこの競馬知識を持っていると思われるファンでも、ネットの反応を読む限り見方が理解されていないと筆者。採用をやっているとわかるが、今の20代は親が競馬ブームの世代で、競馬に対する心理的障壁がない。先を見据えた安定した顧客層を構築するのは、今がチャンスではないかと思っていると筆者。

協会会議

・第3回理事会

トピックス

・第3回競馬功績者表彰 中島滋氏(元公益社団法人日本軽種馬協会静内種馬場長)農林水産大臣賞を受賞

せり市場成績

・九州1歳市場 サラ1歳

海外ステークスウイナーズ

プリークネスS 逃げたNational Treasure(USA)が、4角で並びかけてきたBlazing Sevens(USA)との馬体を寄せ合う壮絶なストレッチバトルの末、ゴール前アタマ差抜け出す
愛2000ギニー 好位2番手で競馬を進めたPaddington(GB)が残り1Fで名手ライアン・ムーアのムチに応え、力強く抜け出し完勝
愛1000ギニー 2列目内埒沿いで脚を溜めた英1000ギニー2着馬Tahiyra(IRE)が残り1Fで抜け出し完勝
英オークス 道中最後方で脚を溜めていたSoul Sister(IRE)が直線外から追い込み、Savethelastdance(IRE)を抑えて勝利
英ダービー ディープインパクト産駒の最終世代August Rodin(IRE)が、父譲りの末脚をエプソムの急坂で発揮、直線で先に抜け出したKing Of Steel(USA)を残り1/2Fで交わして戴冠
仏ダービー Ace Impact(IRE)が末脚一閃、先行粘り込みを図るロックオブジブラルタル(IRE)産駒Big Rock(FR)を残り100メートルで捉え、3馬身半突き離し勝利
ベルモントS 好位馬群で脚を溜めたArcangelo(USA)が直線早目に抜け出し勝利

JBBAスタリオントピックス

・カラヴァッジオ(USA)産駒の可能性 ~米愛で2日連続重賞V~

地方競馬ニュース

・地方競馬場別サイアーズランキング(1~6月)
・2023年5月 地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

・2023年6月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振案内所(連絡センター)・十勝案内所(連絡センター)・東北案内所(連絡センター)・千葉案内所(連絡センター)・南九州案内所(連絡センター))

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2023.5.13 ~ 2023.6.14)

表紙

・第90回日本ダービー(GⅠ) タスティエーラ
・タスティエーラ紹介
・2024年度(第46期)生産育成技術者研修生募集案内
・北海道市場セレクションセールポスター

カラーグラビア

・JBIS Live中継 北海道市場セレクションセール
・JBIS スマホで!! せりカタログを持ち歩こう!

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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