JBBA NEWS

2023年5月号(VOL.604)

最新の第341便は 面会競馬烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 2023年4月2日の午前8時半、スマホが鳴り、入院中のスドウさんからだ。3月の初め、庭で踏台に乗って植木の枝葉を切りながら転倒し、足腰と頭部を損傷し、たまたま玄関にきた宅配便の運転手に発見され、救急車に乗った。「馬券は買ってないけど、大阪杯、一緒に見たい」とスドウさんが言う。ほかのことは言わず、それだけを言う。「わかった」と私は返事をした。その病院の10階に、3月7日から31日まで、かみさんが入院していた。スドウさんの病室は8階で、かみさんの見舞いに行きながら、スドウさんの顔も見にも行っていた。見舞いにルールがあって、午後3時から6時まで。時間制限は15分。(中略)スドウさんは、横浜市港北区に住んでいて、ときどき手紙が届くのだ。「福永祐一が騎手をやめて調教師になったね。それで父親の福永洋一のことを思いだしていたんだけど、エリモジョージというのは出てきたんだけど、あの、落馬しちゃった馬の名前がどうしても出てこない」「マリージョーイ」と私が答えた。「ああ、そう、マリージョーイか。この何日間、ずうっとそれを思いだしたくてつらかった。ああ、よかった。マリージョーイだ。うん、書いておくかな、また忘れそうだから」とスドウさんはベッドサイドのテーブルにある手帳に「マリージョーイ」と書いた。(略)

第146回は「結晶」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 桜花賞でドゥラメンテの遺児リバティアイランド(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)が快勝するのを目の当たりにして、ドゥラメンテの早世は実にもったいないことをしたと感じた。2021年8月31日、ドゥラメンテは種牡馬として繋養されていた北海道安平町の社台スタリオンステーションで急死した。急性大腸炎。9歳という若さだった。2017年に種付けを開始。現5歳から1歳までの5世代を残すのみ。初年度から3年連続でクラシック優勝馬を出し、産駒のGⅠ勝利はこれで8勝となった。このほかにヴァレーデラルナが2022年のJBCレディスクラシック(JpnⅠ)を勝っている。ドゥラメンテの血統的な特徴は母系にあるといっていい。母アドマイヤグルーヴは2003年と2004年のエリザベス女王杯を連覇した名牝だ。その父サンデーサイレンス(USA)は日本競馬を1頭で変えた名種牡馬。1995年から13年連続でリーディングサイアーになった。アドマイヤグルーヴの母エアグルーヴは1996年のオークスを制し、牡馬相手に1997年の天皇賞・秋を快勝した。その父は凱旋門賞馬トニービン(IRE)、日本で1994年にリーディングサイアーになった。エアグルーヴの母ダイナカールは1983年のオークス馬。その父ノーザンテースト(CAN)も1982年から11年連続リーディングサイアーに輝いた名種牡馬だ。ダイナカールの母シャダイフェザーは中央競馬で2勝したガーサント(FR)の娘。ガーサントも1969年にリーディングサイアーに輝いている。ドゥラメンテには母系からサンデーサイレンス、トニービン、ノーザンテースト、ガーサントというリーディングサイアーの遺伝子が伝えられ、父のキングカメハメハもまたリーディングサイアーである。これでもかというほどに日本競馬の粋を集めた、名種牡馬の結晶なのだと筆者。

第158回は「キタサンブラック トップラインのすばらしさ ~勝利騎手インタビューに感じること~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 初年度産駒からイクイノックスを輩出したキタサンブラック。そして今年の牡馬クラシック戦線の中心格となるのも、キタサンブラックの仔・ソールオリエンス。皐月賞ではキャリア3戦目。しかも最内枠で重馬場の中、全ての課題をクリアしてしまうレース内容には驚きでした。キタサンブラックの仔は、持久力のあるキタサンブラックの血と、切れ味を武器とするディープインパクトの血の良い所がミックスされているかのような配合。素晴らしすぎると筆者。キタサンブラックの東京での初戦の走りをテレビで見ていて、これまで感じてきた馬の走法とは違う印象を受け、翌週、すぐさま清水久詞厩舎へ足を運び、「キタサンブラックを見せてください」とお願いをしたことがあると筆者。あの時に感じた、頭・首・背中・腰・尾骨にかけてのトップラインが繋がりとその連動性による無駄のない動きは、イクイノックスにも、ソールオリエンスにも、受け継がれていると筆者。GⅠ戦線でプレッシャーのかかる中、なかなか思うような結果がでなかった横山武史騎手。今回の皐月賞での、あの雄叫びと、レース後に見せた満面の笑みでの勝利騎手インタビューの背景には、この期間に感じてきた重圧や苦しい日々が伺え、見ているこちら側も嬉しく幸せな気持ちになったと筆者。

第173回は『なまちゃき』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 この春からYouTubeで7時間の生配信に出演することになった筆者。4月19日(水)に開幕を迎えるホッカイドウ競馬だが、ネットで競馬を楽しむ方のために配信されていた、公式番組の「ホッカイドウ競馬LIVE」が今年からリニューアルされた。新たに「ホッカイドウ競馬LIVE なまちゃき」(「なまちゃき」とは、なまら(めちゃくちゃ)とはっちゃき(熱中する)を掛け合わせた造語)では、毎週木曜日を中心に、ゲストを招いた全レースの予想生配信を実施。なまちゃきファミリーとして、筆者が名を連ねた。ただ、個人的な感覚としてだが、この生配信は上手くいきそうな気がしている。スタッフの中に「トヨD」こと、映像ディレクターの豊田翔一さんの名前を見つけたからだ。トヨDの前職は、UHB(北海道文化放送)のディレクター。同局に勤務する競馬好きの田辺桃菜アナウンサーが、秋のGⅠシーズンに複勝を転がして有馬記念を見に行く企画は、いつの間にかシリーズ化されただけでなく、凱旋門賞を生配信(ただし、画面に出ているのは本人だけ)した際には15万回もの視聴数があった。トヨDやホッカイドウ競馬関係者の皆さんからは、「村本さんには馬産地の特色を出してほしい」と言われている。となれば、僕のやるべきことはただ一つ、7時間の番組の中で門別競馬場に来ている牧場関係者たちを、無理やりスタジオに引っ張り込むだけであろう。

第173回は『マンダリンヒーローの快挙』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 正直に言うとあんまり期待はしていなかった。デビュー5戦4勝、2着1回、ハイセイコー記念ではのちにニューイヤーカップ、クラウンカップを制するポリゴンウェイヴに勝ち、話題の素質馬リベイクフルシティをまくり気味に交わして行った。雲取賞では先を行くヒーローコールをとらえられなかったが、間違いなく南関東クラシックで有力候補となる1頭である。しかしながら、さすがに北米のダート、ましてや有力馬が出走するサンタアニタダービーでは厳しいだろうと。6時45分、スタートまずまず。後方かなあぐらいに思っていたら、木村和士騎手の判断で中団5番手に。テンの200mは手計測で14秒2ぐらい。これぐらいならある程度前行けるかだろうが、1/4マイル(400m)のハロン棒(金色の玉が乗っている)が22秒30!(レースラップ)これは速い。半マイル46秒30(雲取賞51秒9)、3/4マイル1分11秒25(雲取賞1分16秒8)と速く、ムチも入っていたしやっぱり無理だろうと思っていたら、4コーナーでプラクティカルムーブがスッと外から内に進路を変えると、内にいたマンダリンヒーローは外に切り替える。内プラクティカルムーブ、外スキナーと3頭併せに近い状態になると、下がるどころかスキナーを振り切り、プラクティカルムーブに迫るではないか。残り200mは「おお、おお、あぁぁぁぁ」という言葉にならない感じ。リプレイの後に出る「PHOTO FOR WIN」のスローモーションはハナ差の2着。地方競馬のデビュー馬が北米の、しかもダートのレースでハナ差の接戦は快挙である。次走の目標は5月6日のケンタッキーダービーだが、ケンタッキーダービーポイント40ポイントで、現在出走順位24位。例年なら繰り上がれる順位だが、状況はかなり厳しく、結果大きなハナ差となったと筆者。

2023年供用予定種牡馬

・2023年に全国で供用が予定されている種牡馬297頭を一挙掲載!

トピックス

・2023(令和5)年度通常総会を終えて (公社)日本軽種馬協会 副会長 常務理事 上野 儀治
・中央競馬と地方競馬 交流競走の実績について(2022年) JRA番組企画室
・JBBA2023年度(第45期)生産育成技術者研修開講
・JBBAからのお知らせ 2023年産駒報告書の発送につきまして
・競馬学校『学校説明会』の開催 ~未来のジョッキーを目指せ!~
・BOKUJOB「牧場で働こう見学会2023 in関東」レポート
・BOKUJOB「牧場で働こう見学会2023 in関西」レポート
・装削蹄協会 2024(令和6)年度装蹄師認定講習会受講生募集

生産対策関連

・軽種馬の生産費(2021年実績)
・2023年度 所管事業の概要紹介 公益社団法人日本軽種馬協会 生産対策部
・2023(令和5)年度 競走馬生産振興事業「振興のしおり」

地方競馬ニュース

・2023年3月 地方競馬場の売り上げ
・ダービーシリーズ2023 実施概要

生産関連ランキング

・2023年4月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振案内所(連絡センター)・十勝案内所(連絡センター)・東北案内所(連絡センター)・千葉案内所(連絡センター)・南九州案内所(連絡センター))

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2023.3.13 ~ 2023.4.16)

表紙

・第25回中山グランドジャンプ優勝 イロゴトシ
・九州産馬初GⅠ制覇 イロゴトシ紹介
・2023九州1歳市場ポスター
・2023北海道市場トレーニングセールポスター

カラーグラビア

・JBIS Live中継 千葉サラブレッドセール
・JBIS Live中継 北海道市場トレーニングセール
・2023(令和5)年度NAR生産牧場賞
・2022(令和4)年度地方競馬ダートグレード競走優勝馬生産牧場

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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