JBBA NEWS

2023年4月号(VOL.603)

最新の第340便は マルデカワッタ烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 去年の暮れのこと、ウォシュレットの故障で修理にきてくれた青年が、トイレに競馬カレンダーが掛けてあったからだろう、「競馬、好きなんですか」と私に聞いた。「好きだよ。かなり好き」そう私が返事をすると、「全然知らなかったんですけど、コロナが騒ぎだされたころから、仕事仲間に誘われて横浜のウインズに行って、競馬にハマっちゃったんです。今は毎週、馬券やってます」と青年は笑顔になった。修理が終わって、「コーヒー、のんで行きなさいよ」と私が声をかけ、青年が残ったのは、競馬の話がしたかったからかなと私は思った。青年の名刺を見ると、小谷内和也。「昔、関西に小谷内秀夫という騎手がいたよ。ワカテンザンという馬に乗って、ダービーで、岩元市三が乗ったバンブーアトラスとゴール前で争って、半馬身差の2着だったのが小谷内ワカテンザン。いやあ、ごめん、ジイさん、つい、昔のことを喋っちゃうんだ」「小谷内という騎手がいたんですか」と青年がうれしそうな顔になって、それでジイさんは救われ、また遊びに寄りなと誘った。(中略)「前に話に出た、牧場で働いている人からの手紙、見たいなあ」と和也が言った。私は気ままに1通を手にした。80円切手の消印を見ると2001年4月17日、苫小牧でポスト。差出人の住所は沙流郡日高町賀張だ。和也は何通もの手紙を一生懸命に読んだ。「誰もが、どこででもスマホを見つめている時代になって、こういう手紙は全く消えた。変わった。まるで変わった。時代が、まるで変わった。マルデカワッタという馬がダービーを勝つ」と私が笑い、小谷内和也は笑わなかった。

第157回は「メジャー大谷翔平選手の肉体進化と高い食意識~古馬となり変化の特性示すエピファネイア産駒~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 3月、明るい話題の1つが日本に帰国し、WBCに向けた強化試合に参戦している大谷翔平選手。とにかく、可愛い。存在そのものが可愛い。私のように普段は野球を見ない人でも、大谷選手が画面に映るだけで癒される気持ちになるのは本当に不思議。メジャーに行ってからの体つきはもちろん、お尻まわりを中心とした骨盤の在り方が違う気もし、スタイルそのものも変化しているように映ったと筆者。と同時に、テレビのインタビューの際、我慢しているものはありますか?との問に、「甘いもの。やはり体が資本なので」と答えていた大谷選手。一般的にアスリート=食が大事なことは十分に理解できているが、今や栄養素やカロリーというだけでなく、腸内細菌の種類や必要とする細菌の栄養素となるものまでもが分析されている時代。つまり食への意識は、行きつくところアスリートの思考にまで影響しているのだろうと筆者。
 今、競馬でナゼ?と思っているのが、エピファネイア産駒たちの特性。古馬になってからの変化が他の血統に比べて顕著にあらわれており、何かがあるのかな…と、レースのみならずパドックでの仕草、そして体付きの変化など気にかかるところから究明していきたいと筆者。

第145回は「叫び」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 2023年2月26日、中山競馬第2レースの3歳未勝利戦(ダート1800メートル)で、横山武史騎手が騎乗した1番人気のフェザーモチーフ(牡、美浦・武井亮厩舎)が優勝した。フェザーモチーフの父ハーツクライにとって、これがJRA通算1,436個目の白星となった。2月12日の京都記念で産駒のドウデュースが優勝した時点でサクラバクシンオーと並んでいた種牡馬別勝利数で一歩抜け出し、単独8位になった瞬間だった。ハーツクライ産駒はこの日好調で、中山のメインGⅡ中山記念で7歳のヒシイグアスが同レース2勝目を挙げ、父ハーツクライの通算勝利数を1,439まで伸ばした。そんな快挙が達成されてからわずか11日後の3月9日、ハーツクライが天国に旅立った。起立不能になり、そのまま息を引き取った。22歳だった。2007年から14シーズンで2,300頭あまりに種付けを行い、血統登録馬は1,600頭を超える。ジャスタウェイをはじめJRAGⅠ、海外GⅠ、JpnⅠの優勝馬は12頭を数える。このうちワンアンドオンリー、ドウデュースという2頭のダービー馬を含め6頭が東京競馬場でのGⅠで優勝しているのは大きな特徴だ。
 今年デビューする2歳がハーツクライ最後の世代ということになる。JRAの種牡馬別勝利数でハーツクライの上にいるのは、3月20日現在、1,527勝で6位のフジキセキと、1,481勝で7位のクロフネ(USA)だ。残っている産駒の数を考えれば、歴代6位は十分に狙えると筆者。

第172回は『初めての講演会PartⅢ』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 ライター生活では初めてとなる講演会を、ほとんど手を付けていないSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)にまつわるテーマで果敢に挑んだ筆者。題目だけは『日高から日本へ、そして世界へ情報を発信!~SNSとのウマい付き合い方~』と恰好だけ付けてみた。だが、講演会の会場となる「新ひだか町総合町民センター はまなす」のはまなすホールに入った時、その広さ(ホールでは最大400名の観覧が可能)を見た時には、正直、家に帰ろうと思った。ただ、自分のエスケープを拒むかのように、準備をしてくださったJAみついし農協スタッフの方や、主催者の三石軽種馬生産振興会の平野謙二会長、そして共に講演会を行う、日高育成牧場の遠藤祥郎専門役がやってくる。新ひだか町内は図書館などの公共施設、HBA北海道市場内でも「新ひだか町無料公衆無線LANサービスである「Shinhidaka Free Wi-Fi」を利用することができる。それは「新ひだか町総合町民センター はまなす」も例外ではなく、インターネットに繋ぎながらの発表が可能となる。HDMI端子にケーブルをジャックインし、いざ講演開始となったが、ステージにはWiFiの電波があまり届いていなかった。一気に焦りまくった自分は、まさにてんやわんや。最後に伝えたかった言葉も、あやふやになったまま講演を終えてしまったと筆者。次回の講演のテーマは、「初心者でもできる講演会の準備と、皆に分かりやすく伝わる発表方法」というテーマでお願いしようと思っていると筆者。

第172回は『番組賞金と格付ポイント』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 2月25日深夜(日本時間)に行われたサウジカップデーもグリーンチャンネルで中継され、馬券発売がないにもかかわらず多くの競馬ファンがテレビの前で声援を送った。注目されたのはレースの1着賞金1,000万ドル。日本円に換算して約13億円という世界最高額賞金でした。サウジでは騎手の賞金配分が10%ということで、鞍上の吉田豊騎手は1分50秒80で約1億3,000万円を得たことになり、ネット界隈では「秒で億を稼ぐ男」などと言われていた。海外の賞金の加算はJRAが作成した「換算表」なるものを用い、今年は1ドル131.865円ということなので、サウジカップの賞金は13億1,685万円ということになる。
 海外競馬に限らず「番組賞金」の算出はこの仕事の肝とも言え、格付けや出否にかかわる。2月20日に「南関東4競馬場における番組編成のための新たな格付け制度の導入(格付ポイント制)および2歳馬の先行導入に関わるお知らせ」という、長いタイトルのお知らせが発表された。簡単に言ってしまえば南関東4競馬場で、統一した賞金基準で格付けする、というもので、それを今年の2歳戦から導入するというお知らせ。例えば昨年の南関東地区の、2歳新馬戦の1着賞金額は実施順に、浦和290万円、船橋270万円、川崎270万円、大井240万円だった。最高額の浦和と最低額の大井で1着50万円の差がある。4競馬場で共通の格付基準表を用いている南関東4競馬場では、そこを補正する目的。1着290万円でも、240万円でも、新馬戦なら一律280ポイントとして扱うことになる。新聞ではしっかりフォローするつもりなので、その辺はご心配なくと筆者。

協会会議

・2023年(令和5)年度通常総会
・河野会長挨拶(要旨)
・2023年(令和5)年度第2回理事会
・2023年(令和5)年度第1回軽種馬生産育成総合対策事業委員会(書面)

トピックス

・第6回河野洋平賞は坂戸牧場が受賞
・JBBA2022年度(第44期)生産育成技術者研修修了式

生産対策関連

・2歳未売却馬実態調査(2021年生産馬)

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2022年地方競馬開催の概況(1月~12月)
・第24回JBCは佐賀競馬場と門別競馬場で開催
・2023年度ホッカイドウ競馬スタリオンシリーズ競走は53競走
・2023年度ホッカイドウ競馬重賞競走日程
・2023年度ホッカイドウ競馬副賞計画
・2023年2月 地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

・2023年3月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2023.2.6 ~ 2023.3.12)

表紙

・第67回阪急杯(GⅢ)優勝 アグリ
・JBBA種牡馬カラヴァッジオ(USA)産駒 アグリ紹介
・2023 千葉サラブレッドセールポスター
・2023 北海道市場ポスター

カラーグラビア

・第37回中日スポーツ賞ファルコンスS(GⅢ)優勝 タマモブラックタイ
・第27回たんぽぽ賞(重賞)優勝 オバケノキンタ
・JBISライブ中継 JRAブリーズアップセール

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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