JBBA NEWS

2023年3月号(VOL.602)

最新の第339便は 人生の一日烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 ビッグレッドファームを営む岡田繁幸と、川崎競馬の調教師の河津政明は、いわば「仕事のコンビ」だった。仕事ひと筋で休まない岡田繁幸に、少年時代の粗野を残しているような河津政明は、救いの存在だったのかもしれない。河津政明と私のつきあいは、いわば「遊びのコンビ」だった。人間は、仕事を一生懸命にしなければならないが、しかし、ふざけもしなければヤッテラレナイというのが、「遊びのコンビ」の言い分。酒をのまないのに酒場好きだった河津政明は、酒場で酔っぱらって冗談を飛ばすのが生き甲斐のような私と、川崎や横浜の、あちらこちらの酒場を渡り歩いた。(中略)河津政明は横浜の鶴見の寺で眠った。しかし私は寺へ行くより、盆と年末、河津家へ行って、恵美子さん、騎手から調教師へと、父の跡を継いだ河津裕昭と、その妻のみゆき、そして親類の人やらと、にぎやかに河津政明の話をするのがうれしかった。久しぶりの河津家で、グリという名の灰色の、牝のプードル犬が飛びまわり、かわいい悪さをくりかえすので、河津政明の生まれかわりかとか思ってしまった。その日、河津裕昭厩舎は、16時45分発走の船橋競馬5Rに、ウインアルバローズ(父ロージズインメイ、母マイネピュール、母の父ジェニュイン)を川崎から運んでいるのだった。テレビにパドックが映ると、みゆきが襖の向こうに消えて仏壇に、チーンと音を鳴らした。ウインアルバローズの1着を祈ったのだろう。ウインアルバローズは1番人気になった。(略)

第156回は「経験に勝るものなし~デビューする女性騎手2名にも期待~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 先日、高校時代の同級生から、5月に同窓会を開催するからと、出席の有無の連絡が入った。あれからもう30年以上。幹事となる3人の写真と共にラインが入ったのですが、面影があるようで…ないような…その変貌振りに、お互いに歳を重ねたと感じずにはいられなかったと筆者。あれから皆、どのような人と出会い、どんな職業につき、どう今を歩んでいるのか?人それぞれにストーリーがあることでしょう。私自身も、高校卒業後→競馬学校→騎手デビュー→ホースコラボレーターとなり、現在は9歳児の母。その時々の状況で悩みや思考も変わり、現在に至っていることを感じる。特に今は出産を経験し、子育て中ということに加え、男性社会で歩んできた時間も重なり、ニュースにおける政治家の方の発言に?が増すばかり。中でも「2歳児マスク問題」や「育休中のスキルアップ支援」など、目が点になってしまう発想。夜泣き・授乳・そして四六時中、目が離せないのが幼児期。「これ以上、育児中の女性に何を求めるのか!」と腹立たしさと、その発言に何も期待できないという失望感を感じてしまうと筆者。この原稿が掲載される頃には、新たな騎手がターフに誕生しており、その中には2名の女性騎手の名前も加わり現役騎手は最多となる6名に。4キロ減スタートは騎乗機会のチャンスも得られやすい状況で、2023年も引き続き、女性騎手の活躍の話題は続きそうな気がすると筆者。

第144回は「連敗」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 2月19日に東京競馬場で行われた第40回フェブラリーSは坂井瑠星騎手が騎乗した牡5歳のレモンポップ(USA)が優勝した。美浦・田中博康調教師は開業6年目で初のGⅠ制覇。2023年最初のJRA GⅠは1番人気の快勝で始まった。今年のフェブラリーSにはカナダからシャールズスパイトShirl's Speight(USA)、地方・浦和からスピーディキック(牝4歳、浦和・藤原智行厩舎)が出走した。注目を集めたものの、シャールズスパイトは9着、スピーディキックは6着に終わり、外国調教馬、地方所属馬のJRA GⅠ勝利は次に持ち越された。外国調教馬がJRAのGⅠで最後に優勝したのは2015年の高松宮記念だ。香港を拠点にするエアロヴェロシティAerovelocity(NZ)がハクサンムーンに1/2馬身差をつけて快勝した。この勝利を最後に外国調教馬の連敗が始まり、フェブラリーSのシャールズスパイトで、その記録は「34」にまで伸びた。外国調教馬以上に苦戦を強いられているのが地方所属馬だ。最後のGⅠ勝利は1999年のフェブラリーSである。岩手所属のメイセイオペラが菅原勲騎手とともに先頭でゴールした。この勝利を最後にJRA GⅠでの地方所属馬の連敗は「87」になった。惜しいレースはいくつかあった。その代表馬はコスモバルクだ。
 地方競馬全国協会は昨年、全日本的なダート競走の体系整備とする方針を発表した。目玉は3歳ダート3冠レースの創設だ。羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートクラシック(ジャパンダートダービーを改称)を南関東だけではなく、全国の地方競馬、さらにはJRA所属馬にも開放し、ダート競馬の盛り上げを図る。盛り上がりに必要なのはコスモバルクのような「地方の星」だと筆者。

第171回は『初めての講演会PartⅡ』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 頻繁に牧場のTwitterを更新している、ある牧場の某マネジャーから聞いた求人への思わぬ効果。それは講演会の資料をまとめるべく、様々な資料を調べていた自分にとっても納得せざるを得なかった。2022年2月27日の朝日新聞の記事によると、日本国内におけるSNSのユーザー数は、世界と比較した場合でもTwitterの利用者数が多いというデータが出ていた。また、日本国内では20代の利用者が圧倒的に多いのもTwitterの特徴である。SNSにおけるTwitterの優位性として、基本的にはツイートという文字を発信するツールだけに、情報を発信するのに手間がかからない。ハッシュタグやエゴサーチなどから気になる情報を見つけやすい、情報を拡散しやすい、見つけてもらいやすいというメリットもあるようだ。Twitterのデメリットもこの講演会では伝えなければいけないとも思った。よく聞くのがある牧場のスタッフがふいにTwitterであげた出来事が、表には出してはいけない情報だったり、ネガティヴな書き込みが本人だけでなく、雇い主である牧場への責任にも繋がることがあるという。あとは始めた頃は一日に何度も書きこんでいたものの、日が経つにつれ更新が滞ってしまうと、閲覧数も減り、いつの間にか放置状態となる問題などについても触れてみようと思った。それから約2週間後、自分は「新ひだか町総合町民センター はまなす」の前に立っていた。

(次号に続く)

第171回は『2月といえば』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 2月も半ばになると「花粉症」という言葉が聞かれるようになる。筆者自身は今のところ大丈夫そうだが、実父がひどい花粉症なので、体質的には時間の問題なのかもしれない。かなり昔の話になるが、故清水成駿さんがある飲み会で「喫煙者は花粉症にならない」と真顔で仰っていた。曰く「花粉が入り込む穴をタールが塞ぐ」かららしい。もちろん飲み会の席の馬鹿話だが、清水さんに言われるとうっかり信じてしまいそうになる。これが「説得力」というやつなのだろうと筆者。
 2月19日、東京競馬場でフェブラリーステークスが行われた。今年最初のGⅠ競走にカナダからの外国馬シャールズスパイトShirl’s Speight(USA)と、浦和から地方馬スピーディキックが参戦。シャールズスパイトはレース史上初となる外国馬の参戦、またスピーディキックには1999年のメイセイオペラ以来となる、地方馬の勝利が期待された。このレースは地方を中心に活躍している馬を中心に買うと、まれに好配当が得られることがある。3年前に最低人気のケイティブレイブを絡めて買ったらなんと2着に好走してくれて、好配当を手にしたことがある。今年は根岸ステークスに勝ったレモンポップ(USA)が人気になっていたが、そこを外すわけにもいかないから当然押さえて、全日本2歳優駿に勝ったドライスタウトを軸に、帝王賞馬メイショウハリオ、かしわ記念に勝ったショウナンナデシコ、さらに根岸ステークス15着で人気が落ちそうなヘリオスと一昨年のJBCスプリント馬レッドルゼル。このあたりを絡めた。浦和のスピーディキックは申し訳ないが応援馬券で単複。勝ったのはレモンポップ(USA)。好位4番手を進み、直線の坂でも手応え十分で抜け出し快勝。ソツのないレースぶり、速めの流れで先行し、終いもキッチリ伸びた。初GⅠ挑戦で初制覇だが、今後もっと我々を驚かせてくれる馬になりそう。馬券はお察しの通りですと筆者。

協会会議

・2023年(令和5)年度第1回理事会

海外情報

2022 エクリプス賞(北米競馬年度表彰)

トピックス

・2023年 JBBA種牡馬展示会
・JBBAからのお知らせ 2023(令和5)年度通常総会の開催と委任状、議決権行使書面について
・2022 生産関連統計
・2023 海外主要競走日程
・2021年軽種馬の全国農業産出額は613億円
・2023年サラブレッドせり市場日程(予定)
・2022 JPNサラブレッドランキング
・2022年生産全国馬名簿訂正掲載

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2023年1月 地方競馬場の売り上げ
・地方競馬開催日程 2023年【4月~6月】
・地方競馬 世代別牝馬重賞シリーズ GRANDAME-JAPAN2023

生産関連ランキング

・2023年2月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2023.1.8 ~ 2023.2.5)

刊行物紹介

・種牡馬DVD『STALLIONS IN JAPAN 2023』
・『2022軽種馬統計』

表紙

・第40回フェブラリーS(GⅠ)優勝 レモンポップ(USA)
・レモンポップ(USA)紹介
・2022軽種馬統計
・2022JBBA種牡馬配置表

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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