JBBA NEWS

2023年1月号(VOL.600)

新年のご挨拶 ~JBBA NEWS 第600号~(公益社団法人日本軽種馬協会 会長理事 河野 洋平)

JBBA事業計画2023年度事業計画

最新の第337便は リラ祭烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 モーリスとジェンティルドンナの娘、ジェラルディーナが第47回エリザベス女王杯を勝った11月13日の夜、東京の大田区羽田に住む小沢さんから電話がきて、「いやあ、しばらくですね、百年ぶりのような気がする」と私が言った。コロナ禍の前には、ウインズ横浜や、その近くの酒場で、ちょこちょこ会っていたのだ。「今日、とんでもないことが起きちゃったんですよ。エリザベス女王杯の3連複が当たっちゃったんです。もうねえ、びっくり。まさかのまさか」と言う小沢さんは75歳。数年前まで私立女子高で英語を教えていた。北海道の苫小牧市生まれ。父親が牧場で働いていて、子供のころから競馬を知っていた。数年前にウインズ横浜近くの居酒屋で知りあい、父親が働いていたという勇払郡鵡川町の牧場へ私は行ったことがあって話が弾んだ。(中略)幸枝さんは釧路の生まれ。中学生時代に親が離婚し、母親と住んだアパートの窓のすぐ近くに、ライラックの紅紫色の花が咲いているのが、そのころの思い出として、強く残っているという話を、リラ祭のときに私は聞いている。幸枝さんは高校生になると、札幌へ母親と移った。キャバレーで働く母親と暮らした従業員寮の小さな庭にもライラックがあって、そのときの紅紫色の花もよくおぼえていて、自分とライラックは縁があるなあと思っていたのが、ラッキーライラックの馬名からよみがえってきたという話も聞いた。(略)

第154回は「ジャパンカップのムーア騎手の騎乗 ~直感に従い、心がワクワクすることに~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 新年、明けましておめでとうございます。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
 少し2022年を振り返ると、1番印象深かったレースと言えば、ジャパンカップでのムーア騎手の騎乗振り。多くの人が「あの狭い内から抜け出てくるなんて凄い」と口にされていましたが、そこも、もちろんですが、そこのみならず、スローの中、あのタイトな状況の中で折り合いをつけ、ヴェラアズールを動かしてしまったこと、それら全てが凄かったと言えるのではないでしょうか。言い換えれば、ムーア騎手でなかったら、勝利は不可能だったと思わせる内容だったと筆者。
 この数年の競馬社会の変わり身には心がついていけないと感じると筆者。至らない騎手として女性の門戸を閉ざしたことを申し訳なく感じていたが、16年振りに誕生した藤田菜七子騎手の頑張りにより、今では女性騎手の数も増え、元女性騎手という立場での自分がやれることはやり尽くした気もしていると筆者。
 今年からJRA競馬においては、卒業する部分は卒業し、ゼロからのスタートとなることでも、心がワクワクするような物事に対して取り組む時間を大切にしていくことを決意して新年を迎えていると筆者。

第142回は「銀馬」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 2022年12月3日に中山競馬場で行われた第56回ステイヤーズSは、3番人気のシルヴァーソニック(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)が優勝し、デビュー20戦目で待望の重賞初制覇となった。父オルフェーヴル、母エアトゥーレ、母の父トニービン(IRE)という血統のシルヴァーソニックが重賞タイトルを獲得したことにより、4きょうだい重賞制覇という快記録も達成された。距離3600メートルの長丁場で争われるステイヤーズSで芦毛馬が優勝したのは1985年のホッカイペガサス以来、実に37年ぶりのことだった。56回の歴史の中で3頭目だが、同じく長距離の3200メートルで争われる天皇賞・春はタマモクロス、メジロマックイーン、ビワハヤヒデ、ヒシミラクル、ゴールドシップと芦毛の優勝馬が数多いのに対し、ステイヤーズSでの苦戦は少し意外だった。
 シルヴァーソニックの芦毛はどこから来ているのか。血統をたどってみるとマームードに行き着いた。好タイムで英国ダービーを制したマームードの真価は種牡馬となって発揮され、1947年に名牝アルマームードを送り出した。アルマームードは現役を引退して、コズミックボムとの交配で牝馬コスマーを産み、コスマーは1969年にヘイルトゥーリーズンとの間にヘイローを出産した。ヘイローはサンデーサイレンス(USA)の父で、サンデーサイレンスは、たった1頭で日本の競馬に大変革を起こしたと筆者。コスマーを産んだことだけでも大きな功績だが、アルマームードはコスマーの4年後にナタルマ(父ネイティヴダンサー)を産む。ナタルマは言わずと知れたノーザンダンサーの母である。ニジンスキー、サドラーズウェルズなどノーザンダンサー産駒は世界中で活躍し、その血統を広げていった。その影響力は近代競馬では一番だろうと筆者。

第169回は『戸川君、ありがとう!』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 2022年の10月23日、埼玉西武ライオンズに所属する、戸川大輔選手の戦力外通告が発表された。ここからは親しみを込めて戸川君と呼ばせてもらうが、実家はモーリスを生産した日高町の戸川牧場となる。まだ戸川君が中学生だった頃、初めて会ったが、その頃から180㎝ほどの身長があり、見ず知らずの自分に丁寧に挨拶をしてくれた。「プロ野球選手になれる選手だと思うから、これからも頑張ってください」とエールを送ると、戸川君は笑顔で「はい!」と返事を返してくれた。その後、北海高等学校へと進学、高校3年時にはドラフト候補選手に。ちょうどその頃からモーリスも頭角を現しつつあり、戸川夫妻とも話す機会が増えていったのだが、「一緒にドラフト会議を見てもいいですか?」というとんでもないお願いをしてみた。すると、戸川夫妻からは大丈夫ですよとの返事をいただいた。1位指名選手の選択が終了し、その後は下位チームからのウエーバー方式で選手の名前が読み上げられていく。結果、ドラフト会議で戸川君の名前は呼ばれなかった。それほど時間が経たずに育成ドラフトが始まった。すると、埼玉西武ライオンズが1位で読み上げたのは、戸川君の名前だった。その瞬間、戸川夫妻と僕はまさに飛びあがらんばかりの勢いで喜びを分かち合った。入団後、戸川君は育成選手から支配下選手に登録され、1軍で初ヒット、そして初ホームランも記録した。あの時、僕に挨拶してくれた中学生がプロ野球選手の夢を叶え、そして、一軍の試合でホームランを打ってくれたのは感動しかない。だから、戸川君にはお疲れ様というより、「ありがとう!」との声をかけてあげたい。そして、第二の人生でもホームランを打って欲しいと筆者。

第169回は『転換期』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 11月28日、地方競馬全国協会(以下、地全協)の会議室に於いて「全日本的なダート競走の体系整備について」の記者会見が開かれた。第一印象としてはいわゆる「交流元年」以来となる「転換期」という感じがすると筆者。日刊競馬に入社したのが1994年、その頃の地方競馬は1993年に設置された「地方競馬運営改善推進委員会」が翌94年6月に答申を出し、それに基づき95年よりJRAが全GⅠ競走を指定競走にし、また地方競馬側も交流重賞を拡大した。いわゆる「交流元年」で。それにより笠松のライデンリーダーが報知杯4歳牝馬特別に勝ち、桜花賞へ出走(4着)。足利のハシノタイユウが弥生賞で3着となり、皐月賞に出走(9着)したという状況。96年に「ダート格付け委員会」発足、97年にダート競走の格付けがなされ「ダートグレード競走」となる。相互に出走できるレースは増え続け、ホクトベガが各地を蹂躙したり、メイセイオペラがフェブラリーステークスに勝ったり。あるいはエンゼルカロ(函館3歳S)やレジェンドハンター、フジノテンビー(デイリー杯2歳S)など、主に2歳戦だが、JRAの芝で勝つ馬も現れるなど、競馬史に残るシーンを何度も観てきた。一方で、地方競馬の売上は徐々に下がり、2000年代初頭には競馬場の廃止が続いた。その窮地を救ったのは2012年10月に始まった地方競馬I-PATだろうと筆者。

協会会議

・2022年度第7回理事会
・2022年度第3回軽種馬生産育成総合対策事業 事業運営委員会

せり市場成績

・2022年せり市場成績総括 サラ当歳・1歳・2歳総括

海外情報

2022 カルティエ賞(ヨーロッパ競馬年度表彰)
2022 欧5か国 2歳サイアーズランキング(獲得賞金順)
2022 米加 2歳サイアーズランキング(獲得賞金順)
2022 2022年生産全国馬名簿追加

トピックス

・JRA2023年度競馬番組等について
・グラフで見るサラブレッドせり市場この25年
・年次別サラブレッドせり市場成績
・2023年(1~12月)ダートグレード競走一覧

地方競馬ニュース

・2022年11月 地方競馬場の売り上げ
・2023年度南関東地方競馬開催日程
・2023年度南関東地方競馬重賞競走の日程(予定)
・地方競馬所属別在籍頭数(2022年11月1日現在)

生産関連ランキング

今月号は休載いたします。
2022年の各種最終ランキングは、2023年2月号に掲載予定です

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2022.11.14 ~ 2022.12.9)

2022できごと

表紙

・創刊第600号記念 JBBA 種牡馬
 カラヴァッジオ(USA) デクラレーションオブウォー(USA) マクフィ(GB) ノーブルミッション(GB)
・JBBA Stallions & Best Progeny
・2023JBBA種牡馬配置表
・第42回ジャパンカップ(GⅠ)優勝 ヴェラアズール

カラーグラビア

・JBBA NEWS 創刊から第600号 History
・JBBA NEWS 略年表

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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