JBBA NEWS

2022年8月号(VOL.595)

最新の第332便は こんなときにも烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 私の家の近くに、出版社で働く若い女性がいる。彼女はかなりの酒好きで、休みの日など、「わたしの家、みんなお酒がダメで、昼にビールなんかのんだら、変質者扱いされちゃう」と私の家にビールをのみにきたりする。その彼女が、雑誌の投稿歌で感動しちゃったと、「ああ、こんなときにも空をきれいだと思っていいの 自転車をこぐ」という歌を教えてくれた。この作者、きっとウクライナのことを感じながらの歌だと、彼女も私も言い、日常的な雑用をしながらも、ふと、ウクライナの戦争のことが浮かんで、空をきれいだなんて思ってる場合じゃないなあとか思ってしまうよね、と彼女も私も同じように受けとった。「本当におれ、ダービーの日に競馬場にいたけど、こんなときにダービーがうれしくてもいいのかなって、ウクライナがちらついた」そう私が言い、「わたしもビールのみながら、こんな幸せな気分になっていていいのかなあって思っちゃう」と彼女が笑った。(中略)横浜の野毛の酒場で伊藤幸雄から聞いた話を私は忘れられない。1988(昭和63)年5月、あと半月でダービーという日に伊藤幸雄の父の勇吉が亡くなった。川崎で洋服の仕立て職人だった勇吉は競馬好きで、休みにはほとんど競馬場へ出かけた。息を引きとる数日前、紙とボールペンをほしがり、「カブラヤオー、テスコガビー、すがわらやすお」と書き、おれが好きだったすがわらが、今年もダービーに出るんだ、と言ったそうだ。父親に逆らって、競馬に背を向けていた伊藤幸雄は、カブラヤオー、テスコガビー、菅原泰夫を調べ、ダービーの日、骨になってしまった父親の身代わりに、東京競馬場へ行ったという。(略)

第149回は「世界トップレベルの日本の生産界 ~人馬ともに役者が揃った今年の凱旋門賞挑戦に夢膨らむ~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 夏に入り、そろそろコロナも収束に向けていくのかと思いきや、ここにきて過去最多となる感染者数とは…。有難いことに現時点において私は1度も感染はしていないので、このままコロナとは縁のない状況で終息となって欲しいと願うばかりです。今年も大盛況となったセレクトセール。平均価格が約6,000万円ということですから、凄いの一言。特に個人的には、パパとして未知である新種牡馬産駒の価格に驚かされますが、この背景には、生産界の尽力と功績による信頼の高さがあってこそなのでしょう。言うまでもなく、今や日本の生産界は世界トップレベル。3年前、アイルランドに単身で競馬や厩舎を見に行った際も、現地の方々が、「ディープインパクトの血は凄いね、アメージング」と、出会う方が皆、口を揃えて絶賛されていたと同時に、競馬観戦をしながら、繁殖牝馬の購入に足を運ぶ日本人の牧場の方々を目にしたことが思い起こされますと筆者。今年も日本から数頭が凱旋門賞に出走予定となっています。今や日本の悲願となっている凱旋門賞制覇。なかでも武豊騎手にとっては、格別な思いがあると同時に、松島オーナーと共にダービ―馬で挑む今回。しかもドウデュースの担当者は、友道厩舎以前は、角居厩舎に所属し、騎手の世界で天才=武豊騎手ならば、持ち乗り助手の世界で天才=前川さんと言われるほどの人物。これまで、トールポピーやアヴェンチュラを育てあげた腕利き。全てにおいて役者揃いの面々で挑む今年の凱旋門賞が、楽しみと筆者。

第137回は「50年」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 6月26日に阪神競馬場で行われた第63回宝塚記念はファン投票1位で単勝2番人気のタイトルホルダー(牡4歳、美浦・栗田徹厩舎)が優勝した。横山和生騎手に導かれたタイトルホルダーは芝2200メートルを2分9秒7で駆け抜けた。タイトルホルダーの父ドゥラメンテは6年前、2016年の宝塚記念で2着になったがレース中に脚を痛め、このけがが原因で現役を引退した。息子のタイトルホルダーが見事に父の雪辱を果たした。1967年に生まれたメジロムサシは4歳時の1971年3月、目黒記念・春で重賞初制覇を飾ると、その勢いで天皇賞・春も優勝。続く宝塚記念も制した。その活躍が認められ、この年の最優秀5歳以上牡馬(現JRA賞最優秀4歳以上牡馬)に選ばれている。5歳になったメジロムサシは海外遠征に向かった。10月にはフランス凱旋門賞、11月には米・ワシントンDCインターナショナルに出走、果敢なる挑戦だった。メジロムサシが出世のきっかけをつかんだのは横山富雄騎手との出会いだった。横山富雄騎手は名障害馬フジノオーとのコンビで知られるが、平地でもメジロタイヨウとメジロムサシで天皇賞制覇。ニットウチドリで桜花賞、ファイブホープでオークスに勝っている名手だ。病気のため志半ばで現役を引退することになったが、その遺伝子は今も競馬界に生き続ける。息子・横山典弘騎手、孫・横山和生、横山武史騎手の親子3代ジョッキーである。横山和生騎手はタイトルホルダーとともにこの秋、凱旋門賞に向かう。今年はメジロムサシの凱旋門賞からちょうど50年。メジロムサシと横山富雄騎手の分まで頑張って、いい成績を挙げてほしいと思うと筆者。

第164回は『声』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 コロナ禍以降となってからは、3年ぶりにJRA北海道シリーズ開催中の函館競馬場へ行った筆者。再開したビギナーズセミナーの講師として競馬場内へ入場することができたとのことだ。セミナーの間には、レースやパドックを見に行った。懐かしいというよりも、この感覚を取り戻せたのが嬉しかった。ただ、以前と違うのは、「大きな声を出しての観戦はお控えください」との場内アナウンスをたびたび耳にするように、声を出すのがはばかられる雰囲気となっていたことだった。とはいっても、驚きや感動といった感情を抑えきれない声は、競馬場内の様々な場所から聞こえていた。例えば、ゴール前の叩き合いには、「差せ!」との言葉もマスク越しに聞こえてくれば、スローモーションで映し出されるスリット写真では、拍手だけでなく、「ああ!」といった嘆きに近い声も耳にしたと筆者。
 競馬も入場制限の緩和が行われており、日本ダービー当日には6万2,364人の入場者があった。本来ならばユタカコールなんてもっての外かもしれない。それでも各自が節度を持って、正しく予防をしていけば、いつか、声を出しての競馬観戦を楽しめる日はくるはず。その時は明確な意思を持って勝者を称えたいと筆者。

第164回は『3年ぶりの採用試験』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 最近、このネタに触れていないので、久々に採用ネタ。採用の期間は毎年異なるが、大体はスポーツ紙各紙の採用活動の状況を見ながら日程を決めている。そこを基準にしているのは、近い位置に日程を固めると紙媒体志望者が採用しやすい(受験しやすい)からで、スポーツ紙の敗退者など、多くの志望者が見込めるからだ。色々言われている割にはスポーツ紙、専門紙を志望する人は多く、競馬関連業界の入り口のひとつとしては、おそらくはまだ認められているのだろうと筆者。「競馬専門紙」といえば多くの方が「競馬記者」を思い浮かべるが、営業、印刷、制作、総務などの業務部門がなければ、そもそも会社として成り立たない。採用に関わるようになって20年近いが、定期採用で第1志望に業務系を挙げた受験者は、数えるほどしかいない。ほぼ99.9%が「中央競馬担当」、「トラックマン志望」である。業務系の採用は人物重視の面接勝負。編集系の採用は筆記試験と面接だが、ネットの就職情報サイトをみると、弊社の試験は難しいらしい。試験は会社説明会での志望者の様子をみて、レベルを決める。業務系の社員はこの2年、短期間の入退社が続いている。もし印刷の仕事がしたい!という方がいらっしゃれば、是非私宛に連絡下さいと筆者。

せり市場成績

・セレクトセール サラ1歳
・北海道セレクションセール サラ1歳
・八戸市場 サラ1歳
・セレクトセール サラ当歳

海外ステークスウイナーズ

仏ダービー 3人気Vadeni(FR)が残り300メートルから独走5馬身差圧勝、1人気Modern Games(IRE)の2冠阻む
仏オークス 1人気Nashwa(GB)が女性騎手ホリー・ドイルを鞍上に終始他馬を圧倒する力強いレースで優勝
愛ダービー 1人気タイのWestover(GB)が直線他馬を圧倒、7馬身差の楽勝、1人気タイTuesday(IRE)は4着

トピックス

・山中貞則前会長の生誕100周年記念式典行われる
・2022年 国際サラブレッド生産者連盟会議報告
・JBBAからのお知らせ 会員の皆様へ
  マイナンバーカードの取得、健康保険証利用申込及び公金受取口座登録のお願い
  2023(令和5)年10月から消費税のインボイス制度(適格請求書保存方式)が始まります
・2023年度(第45期)生産育成技術者研修生募集案内
・Photo Gallery 2022年北海道セレクションセール デクラレーションオブウォー(USA)取引産駒一覧

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2022年6月 地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

・2022年7月各種ランキング
・2022ファーストクロップサイアーズランキングも掲載中!!!

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2022.6.18 ~ 2022.7.18)

カラーグラビア

・JBIS Live中継 北海道市場サマーセール
・JBISスマホで!!せりカタログを持ち歩こう!

表紙

・第63回宝塚記念(GⅠ)優勝 タイトルホルダー
・タイトルホルダー紹介
・JBBA種牡馬デクラレーションオブウォー(USA) FCサイアーズランキング中央 総合 首位!
・北海道サマーセール2022

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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