JBBA NEWS

2022年7月号(VOL.594)

最新の第331便は オネガイデス烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 ロシアのこともウクライナのことも考えたことのない奴が、いろいろ言うなよと思われるかもしれないが、いろいろ言うわけでなし、ただテレビの報道を見ていて、どうして人間をどんどん殺すんだよ、どうして建物とか自然を破壊するんだよと、悲しくてどうにもならない。「なんとか侵攻なんかやめてください。おねがいします」そう思うのだが、それをいったい、誰に頼んだらいいのかわからないので空しい。そんな気持ちが消えずに競馬を見ながら、馬主の誰か、「戦争はやめてください。お願いします」という祈りから、「オネガイデス」という名の馬を走らせてくれないかなあと、私は冗談でなしに思ったりする。(中略)ふと私は、コロナ禍で中止だった牧場ツアーが3年ぶりに再開で、今年2月に亡くなった矢野進を写真で連れて行こうと思いつき、矢野進のツアーでの写真を探しはじめたのだ。調教師を引退してからの矢野進は、年に3度の牧場ツアーを楽しみにしていて、会員たちに競走馬のあれこれを教えて人気だった。今は誰もがスマホの写真で、その写真を手にしなくなったが、昔は記念写真がうれしかった。
 矢野進の写真を探しながら、写真の永田和之と会った。群馬の桐生市から家族でツアーに来ていたなあ。おっ、徳島市からの鈴江襄治の奥さんと並んでいる写真。福岡市から参加の富岡常泰も笑っている。ああ、加藤吉策も新潟から来ていた。貝塚市の浜田吉通も放牧地で笑っている。あれ、永田も鈴江も富岡も加藤も浜田も、みんな医師で、みんな空へ旅立ってしまった。(略)

第148回は「3歳ダート3冠競走創設 ~中央と地方の垣根について~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 最近の競馬界における大きな出来事と言えば、2024年から羽田盃・東京ダービーがJpnⅠとなり、賞金額も東京ダービーは5,000万円から1億円にアップ。JDDはレース名と日程を変更し、3歳馬ダート路線の3冠が設立される形になるという発表。今回、中央・地方の垣根をなくしてのダートにおけるクラシック路線は実に画期的と筆者。
 船橋競馬のホームページ内での企画で、船橋所属の騎手全員と対談をすることとなり、現時点で既に8名の騎手の方々と会談している筆者。JDDの勝ち馬・キャッスルトップの仲野光馬騎手は競馬とは無縁の世界から騎手を目指し、学校へ入学。しかし実習中のトレセンサークルになじめないこともあり退学。派遣のアルバイトで生活、派遣先のゴミ処理の仕事場で出会った年配男性の方の話に、もう一度騎手を目指すことを決意。その後、競馬場で4年、裏方として調教に携わりながら騎手免許取得したという経歴で、ファン目線や記者心理にも精通しているようだと筆者。馬だけでなく、騎手の中央地方の垣根も低くなればと筆者。

第136回は「更新」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 5月29日にあった第89回東京優駿(日本ダービー)は武豊騎手騎乗のドウデュース(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)が優勝した。武豊騎手は歴代最多の6度目のダービー制覇。友道康夫調教師は現役最多となる3度目の優勝だった。ダービーを知り尽くすジョッキーとトレーナーが初めてダービーでコンビを組んで栄冠を手にした。ドウデュースの勝ち時計2分21秒9(東京競馬場 芝2400メートル)は、ダービー新記録となった。1932年、目黒競馬場の芝2400メートルで行われた第1回ダービーで優勝馬ワカタカがマークした勝ち時計は2分45秒4(1959年まではコンマ5分の1表示なので現代表示に修正)だった。90年後、勝ち時計は23秒5も短縮されたと筆者。中央競馬の芝2400メートル戦で2分21秒9以下のタイムをマークしたことのある馬は8頭しかいない。第89回ダービーの1着ドウデュースと2着のイクイノックス(同タイム)。残りの6頭は2018年のジャパンカップの上位6頭だ。アーモンドアイが2分20秒6で優勝。2着のキセキが2分20秒9、3着のスワーヴリチャードと4着のシュヴァルグランが同タイムの2分21秒5、5着のミッキースワローと6着のサトノダイヤモンドが2分21秒9。JRAの平地GⅠ24レースの中で、もっとも長くレースレコードが保持されているのは、エリザベス女王杯だ。2001年に京都競馬場の芝2200メートルでトゥザヴィクトリーがマークした2分11秒2は21年後の今も健在だ。ドウデュースのダービー記録はかなり優秀、いつまで残る記録になるのか、新しいダービー馬が軽々と超えていくのか興味深いと筆者。

第163回は『競馬知名度アンケート』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 北海道内の民放局の競馬好きのアナウンサーとディレクターが中心となって始めた競馬のYouTubeチャンネルに出演した筆者。札幌市内の大学を卒業している代打の新人女子アナウンサーが、どこまで競馬の知識があるのだろうかと思い、色々と質問をしてみた。すると、競馬場でレースを見たのは、このチャンネルのロケで訪れた門別競馬場が初めてだという。ディープインパクトは聞き覚えがあるものの、ソダシは知らないと首を傾げた。武豊騎手はテレビで見たことがあるが、藤田菜七子騎手については、知らなかった。だがウマ娘は理解していた。その数日後、ノーザンホースパークマラソンの取材で、ノーザンファーム空港の屋内直線坂路を駆け上がってくる誘導馬とランナーたちの写真を撮ろうと、坂路の頂上にある、通称「坂路小屋」に向かうと、そこにはボランティアに来ていた女子高生がポツンと立っていた。ここは競馬アンケートだ!と思い、ディープインパクト、ソダシ、武豊…といった様々な単語をぶつけて見たものの、やはり、いい反応は返ってこなかった。突然、「あ、ウマ娘の人だ!」とその女子高生が驚いたような声を出した。「ウマ娘、遊んでいる同級生もいますし、テレビでCMもやっていますよね」と意外な競馬との接点を話してくれた。業界として、この認知度を生かさない手は無いと思うと筆者。

第163回は『クラシック反省会』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 毎年7月号は南関クラシック、主に東京ダービー、関東オークスの回顧ならぬ、反省会会場と化す当コラムだが、なんと今年は馬券的不参加となってしまった。◎ミヤギザオウが枠内起立転倒で馬体故障。競走除外となってしまったからだ。と、ここまで書いたところでビッグニュースが飛び込んできた。「3歳ダート三冠競走を中心とした2・3歳馬競走の体系整備について」というリリースだ。中央、地方が相互に出走できるようになった、いわゆる「交流元年」と呼ばれる1995年から約27年、地方から中央への出走は毎年数えるほどで、逆に中央馬は地方のダートグレード競走をほぼ蹂躙している状況からも、まず先に思うのは驚異だろう。ただ、逆に考えれば目標があると地方に入厩する馬の質が上がる期待もある。もうひとつ考えられるのは、高知優駿などの地方競馬全国交流に南関の馬が今よりも多く遠征する(流れる)ようになるかもしれない。すでに牝馬路線はル・プランタン賞、のじぎく賞、東海クイーンカップ、留守杯日高賞に毎年のように南関から参戦している。GRANDAME-JAPANの成果だが、今回の件が、より馬資源の共有や流動性を高めるきっかけになれば、悪いことではないだろう。気になるのは、羽田盃、東京ダービー、秋に移行するジャパンダートダービーが、すべて大井競馬場で行われること。距離も1800m、2000m、2000mでは、見た目変化に乏しい。中央だけでなく、より多くの地区から出走してくるような施策も期待したいところだと筆者。

せり市場成績

・九州1歳市場 サラ1歳

海外ステークスウイナーズ

英オークス 3人気Tuesday(IRE)が2列並走9番手から直線内突き先頭
ベルモントS 1人気Mo Donegal(USA)が4コーナーで先頭に並びかけそのまま3馬身差完勝
愛1000ギニー 2人気Homeless Songs(IRE)が後方から外目を選択、直線抜け出し5 1/2馬身差圧勝
英ダービー 1人気Desert Crown(GB)が道中じっくり構え、直線はグングン末脚を伸ばし他馬を引き離して圧勝
プリークネスS 3人気Early Voting(USA)がケンタッキーダービーを見送り、ここ一本のローテで見事優勝
愛2000ギニー 1.4倍1人気Native Trail(GB)がロスのない競馬で残り300メートルで先頭押し切る

トピックス

・JRAからのお知らせ 3年ぶりに「軽種馬生産地関連研修」が再開

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2022ダービーシリーズ開催成績
・2022年5月 地方競馬場の売り上げ
・地方競馬場別サイアーズランキング(1~6月)

生産関連ランキング

・2022年6月各種ランキング
・2022ファーストクロップサイアーズランキングの掲載を開始!!!

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2022.5.15 ~ 2022.6.17)

カラーグラビア

・JBIS Live中継 セレクト、北海道セレクション
・スマホでせりカタログを持ち歩こう!

表紙

・第89回日本ダービー(GⅠ)優勝 ドウデュース
・ドウデュース紹介
・2022年4月から『NAR生産牧場賞』の交付事業が開始されました
・北海道セレクションセール2022

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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