JBBA NEWS
2022年1月号(VOL.588)
新年のご挨拶(公益社団法人日本軽種馬協会 会長理事 河野 洋平)
JBBA事業計画2022年度事業計画
最新の第325便は 卯助さん烏森発牧場行き
吉川 良/よしかわ まこと
2021年5月、私は胃ガンの手術をした。ステージも重く、ガンの位置も悪く、長時間の手術となった。どうやら助かったな。そう思った手術後2日目の朝、激しく嘔吐し、それが止まらず、ベッドごと走るように廊下を移動し、エレベーターに乗った。そこまでは意識があったが、そのあとは何も記憶がない。意識が戻った。そこは地下の手術室だ。何時間、それとも何日、そこにいたのか分からなかったが、おれ、生きてる、と思った。あとで知ったことだが、誤嚥性肺炎を発症しかけて集中治療室へ運ばれたそうで、「ヨシカワさん、運を持ってる」と看護師が言った。(中略)伏線があった。手術の前日、病室のベッドで、この入院で運悪く死んでしまえば仕方ないけれど、もし生き残って、体調が戻ってくれたら、いちばんしたいことって何だろうと、ずいぶんと思いめぐらした。酒場で冗談をとばしているのが生き甲斐の自分だけど、もういちど、北海道の景色を、うろうろと見てまわりたいなあと思うと、そこで思考がぴったりとおさまったようだった。すると私は、40年も前に、初めて苫小牧から日高線に乗ったときの自分のうれしさを思いおこし、急行に無視される駅の名前を必死のように思いだそうとし、本桐、荻伏、絵笛とか、紙に書きだして、なんだか幸せになった。私は昭和41年と42年、東京から札幌に移り住み、宝石会社の札幌支店の営業マンとして、北海道のあちこちへ出張した経験はあるが、雑誌「優駿」の取材仕事での日高線は、私の人生の特別な出来事だった。イギリスに出かけてダービー馬グランディの仔を身籠り、初めて母になる桜花賞馬ハギノトップレディの、出産間近の日日を書く仕事で荻伏牧場の寮に泊めていただいたのだ。牧場のボスは斉藤隆さんで、その父、74歳となる卯助さんは病後で発言は不自由で、左手で杖をついて厩舎回りをするのが楽しみのようだった。(略)
第142回は「制作会社が運営するスナックズンコ ~競馬好きが集まり、サークルに~」
ホソジュンのウマなりトーク
細江 純子/ほそえ じゅんこ
皆さま、明けましておめでとうございます。昨年は、11月あたりからコロナが落ち着き始めましたが、12月前後にまたまた変異種が発見されるという事態に…。2022年はどうなっているのでしょうか?ある知人はコロナ感染後、倦怠感や動悸、呼吸苦、不眠が酷く、6つの病院に足を運ぶも対処法がなく、仕事を制限せざるをえない状況となっている方も。症状もさることながら、心も計り知れないダメージが続いている様子で、本当に、心が痛むと筆者。多くの命が失われたコロナですが、改めてコロナが奪ったものや、コロナがもたらしたことの大きさを日が経つにつれて感じると筆者。
最近、知人や競馬関係者の方々、また雑誌社に「スナックズンコ」を経営しているかのように誤解されていますが、「制作会社が運営するスナックズンコ」であり、筆者は経営していません。とはいえ、実際に東京の錦糸町に「スナックズンコ」という店は存在し、競馬好きの方々が集まる憩いの場、サークルになりつつあるのは事実。2年半前に開設した「YouTube番組・スナックズンコ」の配信の時にはお邪魔していると筆者。
第130回は「燻銀」 第5コーナー ~競馬余話~
有吉 正徳/ありよし まさのり
白毛の桜花賞馬ソダシの参戦によって、俄然注目度が高まった第22回チャンピオンズカップは2021年12月5日、中京競馬場で行われ、1番人気のテーオーケインズ(牡4歳、栗東・高柳大輔厩舎)が優勝した。2着チュウワウィザードにつけた着差の6馬身は、中京競馬場のダート1800メートルで行われるようになった2014年以降で最大の着差となった。
テーオーケインズの父はシニスターミニスター(USA)である。2003年、父オールドトリエステ、母スウィートミニスターとの間に誕生した。日本でいえば、メイショウサムソンやアドマイヤムーンなどと同世代ということになる。米ケンタッキーダービーの重要なステップレースである3歳限定のブルーグラスS(GⅠ)でスタートから先頭に立ち、そのままダートの1800メートルを逃げ切って優勝した。2着につけた着差は、なんと12馬身4分の3。続けて挑んだケンタッキーダービーは20頭立ての16着。その後勝ち星を挙げることはできず、通算13戦2勝。日本に輸入され、2008年に種付けを開始した。初年度産駒は2011年にJRAで15頭が出走し、1勝を挙げたのみに終わった。2年目の産駒からレパードS、みやこS、平安S、マーチS、白山大賞典、武蔵野Sと6つのダート重賞を勝利したインカンテーションが誕生した。しかしシニスターミニスターには苦しい時代もあった。4年目の産駒はJRAの2歳戦で1勝も挙げることができず、11頭が出走して30戦0勝。2歳種牡馬ランキングは132位まで落ち込んだ。しかし、その後産駒はダートを中心に活躍を続け、2019年のJBCレディスクラシック(JpnⅠ)(浦和競馬場)ではヤマニンアンプリメが優勝した。この時2着になったのはゴールドクイーンで1、2着独占となった。ちなみにゴールドクイーンは2018年の葵Sで優勝。芝のJRA重賞を制した唯一のシニスターミニスター産駒である。いぶし銀のような活躍で実績を挙げてきたシニスターミニスターは1年目に150万円だった種付料が、2021年には250万円になった。2022年はますます注目が集まりそうだ。
第157回は『マイスター・ハイスクール PARTⅢ』北海道馬産地ファイターズ
村本 浩平/むらもと こうへい
本年度から北海道静内農業高校が指定校となったマイスター・ハイスクール事業で、産業実務家教員に就任した、JBBA静内種馬場の中西信吾氏。「(有)谷岡牧場さんがサクラトキメキを教材馬として寄贈した際に、JBBAにも協力して欲しいとの話をいただき、当時、静内種馬場に繋養されていたジェネラス(IRE)を配合しました。より深く関わるようになったのは、2011年から始まった構造化授業が契機となります。生徒を静内種馬場に招いて、当て馬から妊娠鑑定までの一連の流れを見せるだけでなく、自分たち職員が高校に出向く形で、年間に40時間ほどは繁殖の授業も行うようになりました」(中西氏)ただ、馬に関する授業を行う際に、教える側が馬の知識を知らないまま、マニュアルだけで授業を進めていくのは問題があると中西氏は、4年前から先生たちを日高育成牧場へと招き、そこで馬学の授業に参加してもらうように取り計らったという。そう考えていくと、中西氏が産業実務家教員となるのは必然かつ適任だったとも言える。「根本的に考えたのは、生徒たちがこの学校に通う3年間という時間でした。その時間を有効に使いながら、我々がどんなことを教えていけるのか?生徒たちにどんな目標を持たせていくのかなどを改めて考え直すだけでなく、馬や競馬を理解しているJRAやHBAから委員を招き入れ、そのメンバーと共にスケジュールを再考しました。マイスター・ハイスクールの指定期間は原則3年間なので来年以降入学してくる生徒たちは、途中で指定期間が終わってしまうが、北海道も存続の意向で、文部科学省と話をしてくれていると聞いている」(中西氏)と筆者。
第157回は『左回り』馬ミシュラン
小山内 完友/おさない ひろとも
11月19日(金)、令和3年度第13回大井競馬5日目第12競走「Make New Way賞」が大井競馬初の左回り1650m、12頭のフルゲートで行われた。1番人気は左回り5戦4勝2着1回のバーブル。左回りマイルはベストで、開催登録メンバーが出た時点で「ほぼこの馬が勝つだろう」と思われていた。マテーラフレイバーが逃げ、2コーナー(右回りの3コーナー)から最終コーナー(右回りの1コーナー)までは13.3-12.7-12.5-12.7と徐々にペースが上がるも、右回りのゴール板通過付近は13.3となぜかペースが落ちる。実況も「ゴール板前をすぎて残り200m」という聞いたこともないフレーズ。逃げるマテーラフレイバーを先に仕掛けたモンサンラファータが交わし、さらに外から人気のバーブルが並びかけ、クビ差バーブルが接戦を制した。南関版の場所別は中央版のように右から「当該場・右ダ・右芝・左芝・左ダ」というような配列ではなく「大・川・船・浦」というような場所固定になっていて、これを右大井と左大井に分けるのは、ひとつ競馬場が増えるような対応になるため、これは時間がかかる。とりあえず距離設定とコース図を組み、あとは手作業でしのいだ。「Make New Way賞」が終わり、ファンも我々も再びぞろぞろと右回りのゴール板方面へ移動。なんだか花火大会が終わった後の帰り道のような、そんな感覚だったと筆者。
協会会議
・2021年度第6理事会
・2021年度第2回軽種馬生産育成総合対策事業 事業運営委員会
せり市場成績
・2021年せり市場成績総括 サラ当歳・1歳・2歳総括
海外情報
2021 | カルティエ賞(ヨーロッパ競馬年度表彰) |
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2021 | 欧5か国 2歳サイアーズランキング(獲得賞金順) |
2021 | 北米 2歳サイアーズランキング(獲得賞金順) |
トピックス
・JRA2022年度競馬番組等について
・年次別サラブレッドせり市場成績
・グラフで見るサラブレッドせり市場この25年
・特別寄稿 知っておきたい“砂のぼり”の話 元公益社団法人日本軽種馬協会田中 弘祐
・2022年(1~12月)ダートグレード競走一覧
地方競馬ニュース
・2021年11月 地方競馬場の売り上げ
・2022年度南関東地方競馬開催日程
・2022年度南関東地方競馬重賞競走の日程(予定)
・地方競馬所属別在籍頭数(2021年11月1日現在)
生産関連ランキング
・今月号は休載いたします。
・2021年の各種最終ランキングは、2022年2月号に掲載予定
The First Win
JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2021.11.17 ~ 2021.12.11)
2021できごと
表紙
・第41回ジャパンカップ(GⅠ)優勝 コントレイル
・コントレイル紹介
・JBBA新種牡馬ミスチヴィアスアレックス(USA)紹介
・JBBA新種牡馬ミスチヴィアスアレックス(USA)5代血統表
カラーグラビア
・JBBA導入種牡馬ネロ
・第66回京阪杯(GⅢ)優勝エイティーンガール(父ヨハネスブルグ(USA))
JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc
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