JBBA NEWS

2021年11月号(VOL.586)

最新の第323便は チブル烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 ウインズ横浜に近い川のほとりのバーで知りあった野原さんは、私より10歳若く、コンサルタント業ということだが、具体的には知らない。私が知っている野原さんは競馬にくわしく、馬券上手、お酒に強い。払戻しがあると全額そのまま、大きな壺に投げ入れ、それを貯めて資金にし、凱旋門賞を見に行くツアーに参加するのを楽しみにしている。(中略) 2016年のマカヒキの14着を見てきたあとに、「事件がありました。楽しい事件です。報告しなければ」とウインズ横浜で私を酒場に誘った。そのバーはいつもギター曲が流れている。「ロンシャン競馬場のベンチに座っていたら、日本人のじいさんが横にきて、ちょっと聞きたいことがあるといって、布のバッグから競馬週刊誌のギャロップを出したんです。これ、何日か前に、地下鉄の駅のベンチに捨ててあったのを拾ったんだけど、このなかで書いているヨシカワリョウという人は、若いころに一緒に働いていたヨシカワリョウと同じ人か知りたくて、と言うんですよ。びっくり。そのヨシカワリョウとわたしは仲よしですと言うと、じいさん、ずうっと昔、明治記念館という結婚式場で、ボーイのコンビだったのがヨシカワリョウで、よく競馬の話をしてたと。(中略)「画家をめざしてフランスに来たのだが、結局は看板屋ではたらいて年とって、もう今は競馬だけが楽しみ。そう言ってました、チブルさん」と言う野原さんの手を、なんだか私は胸がつまって握ってしまった。「ポーランドのアンジェイ・ワイダ監督の、灰とダイヤモンド、というすばらしい映画があったんですよ。主演がスピグニエフ・チブルスキー。彼、チブルスキーに似てたので、ぼくだけが彼のこと、チブルって呼んでた。(略)

第128回は「4代」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 10月3日に中山競馬場で行われた第55回スプリンターズSは単勝3番人気のピクシーナイト(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)が優勝し、JRA史上初の記録を達成した。その記録とは父・息子4代にわたるGⅠ制覇である。ピクシーナイトの父系をさかのぼると次のようになる。モーリス→スクリーンヒーロー→グラスワンダー(USA)だ。いずれも名競走馬として活躍した。モーリスは国内外で計6つのGⅠレースを制した。香港で3勝。JRAでは2015年の安田記念とマイルチャンピオンシップ、2016年の天皇賞・秋と計3勝を挙げた。モーリスの父スクリーンヒーローは2008年のジャパンカップでディープスカイ、ウオッカ、メイショウサムソンという3頭のダービー馬などを破り、自身唯一のGⅠ勝利を飾った。スクリーンヒーローの父グラスワンダーは米国生まれの外国産馬。1997年の朝日杯3歳S(現朝日杯フューチュリティS)をはじめ1998、1999年と有馬記念2連覇を果たし、1999年には宝塚記念も制した。GⅠは計4勝した。ただ長く競馬を見ていると、父系の継承の難しさはよくわかる。テスコボーイ(GB)、ノーザンテースト(CAN)という連続リーディングサイアーとなった大種牡馬でさえ継承出来なかった。そして真打ちのサンデーサイレンス(USA)が継承できるかが焦点になると筆者。しかしこれまでの経緯を見ていると、決して楽観はできないと思うと筆者。

第140回は「2021凱旋門賞を終えて ~YouTubeスナックズンコで競馬予想を楽しめるように~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 第100回の記念すべき年だからこそ、(これはひょっとして日本馬初の快挙となるのでは?)そんな声があちらこちらで聞こえた凱旋門賞でしたが、結果はドイツ馬とアイルランド馬のワンツーとなり、今年も厚き壁のままで終わる1戦に。特に今回は、ディープボンドは持久力、そしてクロノジェネシスは瞬発力と持久力の両方を兼ね備えていることもあり、その点で期待も大きかっただけに残念。話は変わり、約2年半前に4人で始めたYouTube番組「スナックズンコ」の登録者数が、もうじき10万人に。始めた時は数百人ほどの登録や視聴回数で、収録後にはいつも4人でご飯を食べながら、「数字にはこだわらず、自分たちの思うことや伝えたいことを大事にしていこう」とGⅠレースの前に皆で、あ~でもない、こ~でもないと討論したことを懐かしく感じると筆者。論語にも1日、食って寝てるだけの人間よりは、博打をすることで頭を使うことの方が良いと書かれているように、ギャンブルは考える力を得、また目に見えない流れを知り、勝負の時かそうでないのかの見極めが必要。自分自身のメンタルにも気づくきっかけにもなっており、これは生きている上で、何かしらの場面で役に立っているようにも…。馬券の当たり外れに一喜一憂する時期もありましたが、この2年半の競馬YouTube番組を始めたことで、徐々に予想における視点が変わり始め、気持ちの面での変化がうまれ、競馬予想を以前よりも楽しめる自分となってきたと筆者。

第155回は『マイスター・ハイスクール PARTⅠ』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 サマーセールで注目を集める存在となった北海道・静内農業高校の生徒たちが生産からせりまでの管理を手掛ける上場馬。今年は「ナリタトップスター2020(牡)、父マクフィ(GB)」が上場され、572万円(税込み)で落札された。待機厩舎へ向かっていると、JBBAの中西信吾さんから声をかけられた。「今、こんなことをやっているんだよ」と名刺を渡される。そこには、「北海道静内農業高校 マイスター・ハイスクール産業実務家教員」と書かれていた。マイスター・ハイスクールとは、「マイスター・ハイスクール事業(次世代地域産業人材育成刷新事業)」との表記がある。事業の背景・目的の中身には、「専門高校等と産業界、地方公共団体が一体となって最先端の職業人材育成システムを構築するとともに、上記趣旨の達成に必要な専門高校等の職業人材育成にかかる教育課程等の改善に資する実証的資料を得るための研究開発を行う取組」との説明がされている。その中核となる専門高校などがマイスター・ハイスクールであり、本年度から始まった取り組みに、静内農業高校は北海道内で唯一、指定校として選出されたのだ。選出根拠として、農場長の平岡賢一先生から「本校が所在する日高管内新ひだか町は、日本最大の馬産地でありながら、第2期新ひだか創生総合戦略によると、人口減少等により、将来、基幹産業を支える人材が不足し、地域産業が衰退することが危惧されている。そのため、地域産業の持続的発展をけん引できる人材の確保・育成が急務となっている。このことから地域の各団体や自治体、大学などと共同で、食品産業、園芸、馬産などの農業及び農業関連産業を支える人材育成を図り、地域創生に繋げる事業とする」だったと回答があった。

(次号に続く)

第155回は『入場再開』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 新型コロナウイルスの猛威は、ついに今夏の第5波に及んだが、それもようやくピークアウトを迎え、JRAは新潟、札幌、小倉で指定席を事前購入したファンに限定して入場させていたが、本場所でも9月11日からの中山、中京競馬から、同様に入場を再開させている。秋のGⅠシーズンを迎え、申し込みの倍率も高く、入場も中山のスプリンターズSが4,113名、ソダシ人気で予定の4,363席に対し、2万3,965口の申し込みと、チケット争奪戦が激しかった阪神の秋華賞もほぼ満席となった。一方地方競馬はというと、10月18日からの浦和競馬で入場再開。しかし出足は鈍く、2,000名を上限に、滞留者が下回る場合当日入場を許していたにもかかわらず、初日が725名、2日目が714名と、半分にも満たなかった。ひとつの要因としては、在宅投票の伸びで、ファンの「現場離れ」が進んだからである。在宅投票の伸びは、加入者数、売上とも凄まじい。「在宅投票の利点」もかなり認知されてきたからだと筆者。

協会会議

・2021年度 第4回 第5回理事会
・2021年度 JBBA/JRA第1回生産等に関する協議会

せり市場成績

・北海道オータムセール サラ1歳

繁殖牝馬セール成績

・ジェイエス繁殖馬セール
・ノーザンファーム繁殖牝馬セール

海外ステークスウイナーズ

フィリーズマイル 1人気 Inspiral4連勝で英2冠前売1人気
チヴァリーパークS 3月デビュー勝ち5人気 Tenebrism 2戦目で G1制覇
マルセルブサック賞 前哨戦オマール賞2着2人気 Zellie イン抜出
デューハーストS 前走愛で Point Lonsdale( Australia, 無敗でG2・G3勝ち) 破った1人気 Native Trail G1 連勝
ミドルパークS 前走仏 G1 勝ち1人気 Perfect Power 7着まで2馬身弱の混戦断つ
ジャンリュクラガルデール賞 G17勝 Highland Reel の全妹の子4人気 Angel Bleu 英 G2 から連勝
凱旋門賞 ブービー人気 ’20 独年代表 Torquator Tasso スタミナ決着制し独調教馬V3
フォレ賞 7Fのスペシャリスト Space Blues 1人気に応え G1 2勝目
サンチャリオットS 英1000ギニー2着3人気 Saffron Beach(2歳 G3) が1人気 Mother Earth 抑え雪辱果たす
クイーンエリザベス二世S 2人気 Baaeed が G1 5勝1人気 Palace Pier( ’20 欧3牡Ch.) 破り6月デビュー6連勝
英チャンピオンS 凱旋門賞5着5人気 Sealiway G1 V2、父は Frankel 同様 Galileo × デインヒル
英BCフィリーズ&メアズS 4人気 Eshaada 父に初 G1 贈る、母は G1 2勝 Tamayuz の全妹、3代母は Urban Sea の半妹

海外セール成績

タタソールズ・オクトーバー1歳セール・ブック1(セレクトセッション)

トピックス

・馬伝染性子宮炎(CEM) PCR検査法の検体の採材と治療法の講習会を開催
・読者プレゼント 2022ホースマンカレンダー

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2021年9月 地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

・2021年10月各種ランキング
・2021年サイアーズランキング掲載中!

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2021.9.16 ~ 2021.10.15)

表紙

・JBBA新種牡馬ミスチヴィアスアレックス(USA)
・ミスチヴィアスアレックス(USA)紹介
・ミスチヴィアスアレックス(USA)5代血統表
・2022JBBAサラブレッド種牡馬配置表

カラーグラビア

・JBBA導入種牡馬ネロ
・JBBA導入種牡馬ネロ紹介

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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