JBBA NEWS

2021年10月号(VOL.585)

最新の第322便は 初めてのパドックで烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 コロナウイルスが世界中を苦しめている2021年の8月14日、ジャニーズ事務所会長の藤島メリー泰子の死去をテレビが伝えた。ジャニーズ事務所って凄いよなあ。ジャニーズ抜きで日本の若い女性を語るわけにはいかないんだよなあ、と思ってから合掌をした。私の沈黙のなかに、藤島メリー泰子の夫だった藤島泰輔の声がよみがえってくる。天皇賞や有馬記念に何度も出走し、名脇役で4億円の賞金を獲得したランニングフリーの馬主だった藤島泰輔は、雑誌「優駿」に「馬が結ぶ東と西」を連載していた。パリにも家があって東京と行ったり来たりの彼は、私が「優駿」に書く、牧場をうろつきまわる文章に気をとめてくれたのか、「優駿」の編集部を通して食事に誘ってくれた。「牧場へ行くいちばんの楽しみは?」と聞かれて、「取材したりしたあと、広い土地の隅っこで、ちょっと退屈をして、人生の悲しいような空しいような、そんな感情と向きあってる幸せかなあ」という私の答えが気に入ったらしく、それから何度も、ふたりきりで酒をのんだが、1997年に彼は天国へ行ってしまった。(中略)「競馬にハマって」と克彦が電話してきたとき、「どうしてハマった?」そう私が聞くと、「会社の同僚に競馬好きがいて誘われて、彼のネットで馬券を買ってもらったのが始まり。始めてみたら、馬券、おもしろいです」という返事。その時の電話で、まだ克彦は、競馬場に行ったこともないし、ウインズにも行ったことがないのも知り、そうか克彦はパドックもナマでは見ていないのだと思った。(略)

第127回は「繁栄」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 9月5日に新潟競馬場で行われた第57回新潟記念はステイゴールド産駒のマイネルファンロン(牡6歳、美浦・手塚貴久厩舎)が優勝し、11度目のチャレンジで重賞初制覇を果たした。3歳年下の半妹ユーバーレーベン(父ゴールドシップ)がオークスを制した同じ年に兄も意地を見せた。マイネルファンロンの新潟記念優勝は父ステイゴールドにとって、2021年初のJRA重賞勝ちとなり、初年度産駒が3歳だった2006年から16年連続のJRA重賞勝利となった。加えて通算重賞勝利数が113に達し、あのヒンドスタン(GB)に並ぶ歴代4位に浮上した。ファンロンは中国語で「繁栄」の意味だそうで節目の勝利にふさわしい。
 ヒンドスタンは英ダービー馬の父ボアルセル、母ソニバイとの間に戦後間もない1946年に英国で誕生し、通算8戦2勝、1949年のアイルランドダービーを制した。アイルランドで種牡馬生活を送っていたところ、日高軽種馬振興会が購入し、日本初のシンジケート種牡馬となった。戦後初の3冠馬シンザンの父となり、1961~68年の間、66年の一度だけ首位の座を譲ったものの、ほかの7年JRAのリーディングサイアーに輝いた名種牡馬だった。クラシックは全勝で計11勝。クラシック全勝種牡馬はトウルヌソル(GB)をはじめ8頭しか達成していない記録だ。JRAには9月15日現在、6歳から10歳まで28頭のステイゴールド産駒が現役で残る。オジュウチョウサンの頑張りによっては、ステイゴールドのヒンドスタン超えも可能だと筆者。

第139回は「2021凱旋門賞プレビュー ~日本馬とダーモット調教師陣営の勝利を願う~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 今年の凱旋門賞は、ディープボンドがフォワ賞を制し、クロノジェネシスは持久力と瞬発力の両者を兼ね備えた女の仔で、これまで参戦してきたタイプとは少し異なるだけに、どうなるのか、またディープインパクト産駒のスノーフォールが、どこまで立て直してくるのか?と興味を感じるところ。またディープインパクト産駒のスノーフォールが、どこまで立て直してくるのか?そして日本馬の応援と同じぐらい、個人的に勝利を願っているのがタルナワ。この馬を管理するダーモット調教師には、過去2度インタビューをさせてもらったこともあり、アイルランドのカラ競馬場の近くに構える厩舎は、競走馬たちの理想ともいえる空間。というのも、馬たちは調教後にダーモット調教師と厩舎の間に作られた庭のような放牧地で、草を食べリラックスした時間を過ごす。そして1頭1頭に寄り添う担当者たちは、ただただ愛馬たちの傍に寄り添い、無心に草を頬張る馬たちのために、自分のケハイを消しているかのように温かく佇んでいるのです。私も全身を温かな毛布で包まれたような感覚になったことを今でも鮮明に覚えています。馬の歴史だけではなく、その馬たちと共に歩まれてきた人々のホースマンとしての血にも深い歴史も感じ、日本との差の壁を感じたと筆者。
 さぁ、果たしてどんな結果となっているのでしょうか?

第154回は『日本で最も新しい競馬場 PARTⅡ』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 その地域で草ばん馬大会が開催されるのは、大まかに言ってしまうと年に1回。その大会のために数か月前から雑草に覆われた競馬場近辺の草刈りや、コースに砂を入れる整地を始めていく。白熱の戦いが行われた草ばん馬の競馬場は、再び草むらの中に溶け込んでいくのだが、年に一度の大会もないと周辺の環境は更に悪化していく。その流れに一石を投じたような、門別草ばん馬競馬場(仮称)の開場となったわけだが、市街地の中にあるこの場所なら、普段の管理もしやすいのかも知れない。昼休憩の際には、子供たちがそりに跨るエキシビションレースが行われ、ポニーと共にそりを引くのはそりに乗った子供のお父さんたち。その姿は東北で行われている馬力大会そのものであり、ゴール前の脚色を見ると、勝敗の鍵を握るのはそりを引っ張っていく、お父さんの脚力、一位になったことを喜ぶ子供たちの表情は、実に晴れ晴れしく、それはこれまでの草ばん馬大会には見られない光景でもあった。今大会の実行委員会委員長の福島一治さんは「若い世代だけでなく、競馬を知らない人たちも草ばん馬に取り込み、ここで馬と触れ合ったり、競馬を知っていくことで、将来は馬の仕事をしたいと思うようになって欲しい。」そう話していた。すべてはアフターコロナの状況次第なのだろうが、来年は大々的に大会のアピールをしてもいいというか、むしろすべきだろうと筆者。

第154回は『最終レース』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 昨今、最終レースに注目が集まっている。1日の最後のレースは、弊紙でも「ラストチャンス」などのコラムが掲載されたりして、古くから大きく取り上げられている。売り上げ面でもメインか準メインに次ぐ売り上げである。JRAも含めほとんどの競馬場では、1勝クラスや中級のクラスで編成されることが多い。もう10年くらい前になるが、ある競馬場の番組担当者に「なぜ最終は毎回この距離なのか」と聞いたら「ゲートをすぐしまえる距離だから」という、なるほど明快な返事を頂いたことがある。今最も有名な?最終レースは、高知競馬の「一発逆転ファイナルレース」だろう。以前から「近走成績の振るわない馬を集めて馬券的妙味を持たせよう」という趣旨で行われていた記者選抜競走に、2008年6月から「一発逆転ファイナルレース」の名称を付けたもの。高知県新聞協会加盟の記者2名と番組編成担当者2名により選抜された馬をもとに組まれる。例えば珊瑚冠賞が行われた9月20日。メインの珊瑚冠賞はスペルマロンという確かな軸が存在し相手妙味のメンバーで、JRAインターネット投票での発売があるという条件で186,563,000円の売り上げ。それに対しその日の最終第12競走の一発逆転ファイナルレース(3歳8組)はJRAインターネット投票の発売がない中266,812,200円の売り上げ。まさに企画力の勝利だ。最終レースに限らず、分かりやすいレースが売れるのか、難解なレースが売れるのかは未だ意見は分かれるが、買う側としては、当たればどちらでもいいのであるがと筆者。

せり市場成績

・北海道セプテンバーセール サラ1歳

海外ステークスウイナーズ

ソードダンサーS 1人気 Gufoが愛から遠征Japan(ヨークインターナショナルS等 G1 2勝)抑える
HアレンジャーケンズS 2人気 Jackie’s Warrior が3戦3勝1人気 Life Is Good(3月時点KYダービー1人気)抑え今季G 3勝目
フォアゴーS 1人気 Yauponゴール前噛みに来た2着馬('20 BCスプリント3着)振り切り初 G1 制覇
ムーランドロンシャン賞 6月デビュー4連勝1人気 Baaeed が'20 BCマイル勝馬、仏2000ギニー勝馬抑え初 G1 制覇
パーソナルエンサインS 1人気 Letruska 逃切り G1 3勝目、メキシコで6戦全勝後米転戦
ジョッキークラブゴールドC 3人気 Max Player がサバーバンH(ドバイワールドC勝馬 Mystic Guide 破る) に続き人気馬倒しBCクラシックへ前進

海外セール成績

キーンランド・セプテンバー 1歳セール

トピックス

・2021年生産地懇談会総括
・研修生募集のお知らせ 2021年軽種馬後継者研修募集案内
・JBBAからのお知らせ「2021年生産全国馬名簿」に掲載する当歳馬の産駒報告登録のお願い
・第34回日本ウマ科学会学術集会のお知らせ
・第105期騎手課程 騎手候補生募集 【地方競馬教養センター】

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2021年9月 地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

・2021年9月各種ランキング
・2021年ファーストクロップサイアーランキング掲載

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2021.8.18 ~ 2021.9.15)

表紙

・第69回神戸新聞杯(GⅡ)優勝 ステラヴェローチェ
・バゴ(FR)産駒 ステラヴェローチェ紹介
・live.jbis.or.jp 北海道セプテンバーセール中継
・北海道セプテンバーセール

カラーグラビア

・JBC2021 ポスター
・金沢 門別競馬場紹介
・JBISオンラインビッド
・JBIS for Tablet

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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