JBBA NEWS

2021年7月号(VOL.582)

最新の第319便は うれしそうな顔烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 2009年2月の深夜のこと、私は新宿のゴールデン街の酒場で意識を失い、救急車に乗せられた。どんな運があるのか、私は数日の入院で心臓の故障から立ち直った。中山競馬場でビッグレッドファームの岡田繁幸とレストランへ行き、救急車に乗った話をし、そのときの入院中に、どうしてか自分は、もういちど北海道での暮らしをしたいと考えたという話をしたら、「うちはね、買った明和小学校をケイバクラブにして、その庭に、教員が使っていた住宅があるよ。よかったら、そこで」と岡田繁幸が言ってくれるのだった。それで72歳の私は、2009年6月20日から9月4日まで、ビッグレッド明和牧場で暮らした。スタリオンにいたステイゴールドと毎日のようにつきあい、全国各地から牧場を訪ねてくる人たちとコーヒーやビールをのむのが楽しかった。2021年3月19日、岡田繁幸が71歳の誕生日にあちらへ行ってしまった。いろいろと気をつかってくれたことがあったので、それらをひとつひとつ思いだし、「ありがとう」と言った。(中略)退院して間もなく、テレビで見たオークスで、デムーロ騎乗のユーバーレーベンが勝った。父ゴールドシップ。母マイネテレジア。母の父ロージズインメイ。後見人、オカダシゲユキ。「おいおい、岡田繁幸さん。眠ってる場合じゃない。起きて!」と私は思った。「わたし、岡田繁幸のうれしそうな顔を見るのが好きなの。その、うれしそうな顔、まるで少年。わたし、春の天皇賞を勝ったマイネルキッツも持ってた。祝勝会の岡田繁幸のうれしそうな顔、まるで少年。ほんとうにうれしそうな顔だった。空で、うれしそうな顔、してるかな?」と書いてきたのは、70代後半なのに、まだテレビの番組作りに現役の中村芙美子。岡田繁幸のうれしそうな顔。私も知ってる。

第136回は「競輪番組への出演 ~元一流選手の方々の親しみやすい司会と解説~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 春のGⅠ戦線も終わり、本格的に夏競馬。コロナ禍ではありましたが、私はこの春、仕事を通して、たくさんの出会いや経験をさせてもらったと筆者。その1つが競輪番組への出演。現役時代に競輪用の自転車を作ってもらい、トレーニングをしていた過去があります。また、京都の向日町競輪場のバンクで走った経験や、夏の小倉滞在中は、競輪選手の方と一緒に山でトレーニングをさせてもらっていたことも。その際に学んだのが重心。山の上からペダルをこがずに降りるのですが、その際の重心の取り方次第で着地点が変化。最長で止まったところ、それが自転車にとっての正しい重心ということを学び、それを馬上でも取り入れてみると、自分の重心の取る位置が、少し後ろだったことに気づかされたと筆者。出演する競輪番組では、現役時代に大活躍の吉岡稔真さん、山口幸二さん、後閑信一さんといった元超一流競輪選手の方々が、3時間を超える競輪中継の際、司会と解説の両方を担当し、番組を成立させている。競輪選手の方々は、ファンの方々からの厳しい言葉、いわゆるヤジにも非常に強く、優勝インタビューでは、結果が出ない時に受けた厳しい言葉に対しても、きちんと感謝の弁を述べている方が多い。全てを受け入れられる懐の広さこそが司会も解説も同時に成しえ、視聴者の方々に親しみやすい番組を提供出来ているのだと感じると筆者。

第124回は「ハナ」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 5月30日に行われた日本ダービーは4番人気のシャフリヤール(牡3歳、栗東・藤原英昭厩舎)が、1番人気の皐月賞馬エフフォーリア(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)にハナ差をつけて優勝、第88代王者になった。2400メートルを走って、2頭の差は約10センチというわずかなものだった。日本ダービーの勝敗がハナ差で明暗を分けたのは、これが10度目だった。古い順に勝ち馬と2着馬を並べてみる。
 ▽1940年=イエリユウ、ミナミ▽1958年=ダイゴホマレ、カツラシユウホウ▽1961年=ハクシヨウ、メジロオー▽1974年=コーネルランサー、インターグッド▽1979年=カツラノハイセイコ、リンドプルバン▽1981年=カツトップエース、サンエイソロン▽2000年=アグネスフライト、エアシャカール▽2012年=ディープブリランテ、フェノーメノ▽2016年=マカヒキ、サトノダイヤモンド▽2021年=シャフリヤール、エフフォーリア
 むしろ、わずかの差で大魚を逃した2着馬の踏ん張りが目を引く。カツラシユウホウはその後6勝を挙げた。サンエイソロンは京都新聞杯と大阪杯を制した。エアシャカールは菊花賞馬になり、フェノーメノは天皇賞・春を2連覇し、サトノダイヤモンドは菊花賞と有馬記念で優勝した。シャフリヤールとエフフォーリアが今後どんな競走生活を送ることになるのか。興味は尽きないと筆者。

第151回は『馬に乗らないホースマン PARTⅠ』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 先日、「優駿」の取材で、今年で創立30周年を迎えた軽種馬育成調教センター(以下、BTC)の取材に行った筆者。大学卒業後に勤務していた育成牧場に、BTCの育成調教技術者研修を終えた騎乗スタッフが勤務していて、全く馬に触ったことが無い自分に対して、懇切丁寧に手入れのやり方などを教えてくれ、物腰も柔らかく、こちらの質問に対しても、分かりやすく答えてくれるだけの、馬学の知識も身に付けていた。現在ではBTC入学の応募資格にも大幅な変更があり、2020(令和2)年からは入講時に30歳以下だった年齢制限だけでなく、概ね45kg以上から60kg以下だった体重制限も撤廃されたのだ。最盛期は1期あたり100名強の応募があった研修生だが、2004(平成16)年以降は応募者が減少。2019(平成31)年の応募者は男女合わせて18名と、受け入れ人数を下回っている。
 2020(令和2)年の応募者数は32名に増えており、今年の春の入学者の25名も下は16歳から、上は39歳まで幅広い世代がホースマンとなる夢を持ってBTCにやってきた。45頭という乗馬練習で使用する教育用馬の数と、嘱託スタッフも含めて7名という乗馬指導員の数はこれ以上望めない充実した内容である。それでも一年の研修期間を待たずに、辞めてしまう研修生がそれなりの数がいることも事実である。その理由には乗馬技術が上がらない、もしくは馬に騎乗するのが嫌になるといった理由で辞めてしまう生徒もいるという。だが、馬に乗らなくとも、ホースマンとしての仕事は色々ある。それをBTCの研修で教えられないかと思うようになったと筆者。(次号に続く)

第151回は『ダービーシリーズ2021』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 2006年に「ダービーWEEK」として6レースで始まったこのシリーズも、2017年からは「ダービーシリーズ」となり、レースも変遷がありながら高知優駿と石川ダービーが加わり、8競走で行われている。今年のトップバッターは5月25日の第5回石川ダービー。
 レースもアイバンホーとビルボードクィーンのマッチレースとなり、クビ差アイバンホーが勝利。3着フューリアスとの差は9馬身だった。5月30日は九州ダービー栄城賞。逃げるテイエムサツマオーの2~3番手を追走し、勝負所で早めに抜け出したトゥルスウィーが危なげない勝ち方で、こちらも二冠達成だ。6月9日は東京ダービー。ペースを握ったのはアランバローズ、絶好のマイペースで2着ギャルダルの猛追を抑え、東京ダービーの栄冠を勝ち取った。6月10日は兵庫ダービー。ゴール前はシェナキング、エイシンイナズマ、スマイルサルファーの3頭が並ぶ接戦も、ハナ差でスマイルサルファー。6月13日は東北優駿(岩手ダービー)。前評判通り、デビューから【9-0-2-0】と圧倒的強さを誇るリュウノシンゲンが人気に応えている。6月15日は東海ダービー。大方の予想通り、トミケンシャイリが4馬身の差を付けて強さをみせた。6月17日は北海優駿(ダービー)。2歳時JBC2歳優駿に勝ち、北斗盃を快勝していたラッキードリームが二冠を達成した。
 最終戦は6月20日の高知優駿。唯一の地方交流で、1着賞金1,000万円となり、他場からも参戦があったが地元生え抜きの黒潮皐月賞馬ハルノインパクトが優勝した。今回の勝ち馬で、地元デビュー馬(生え抜き)は前年と同じく5頭。地元生え抜きの勝利はどこも盛り上がる。このシリーズが新馬の入厩促進とレベルアップに繋がってくれれば、さらに盛り上がりをみせのではないかと思うと筆者。

せり市場成績

・九州1歳市場 サラ1歳

海外ステークスウイナーズ

プリークネスS 2歳時AフェイローS G1 2着、BCジュヴェナイル G1 5着 5人気 Rombauer 1-2人気 KYダービー組2頭 (6、1着) 破り父産駒初のクラシック勝ち
ベルモントS KYダービー4着1人気 Essential Quality 一騎打ちを制す、クリエイターⅡ(USA)等父産駒4頭目のベルモントS勝馬
エイコーンS 1月デビュー3連勝後KYオークスクビ差2着1人気 Search Results 終始外から圧倒し G1 初制覇
英ダービー 7人気 Adayar トライアル連続2着後真価発揮、父は産駒3頭出しで初制覇
仏ジョッキークラブ賞 愛調教1人気 St Mark’s Basilica 2歳時から G1 3連勝で仏2冠達成
英オークス 凱旋門賞馬 Found の姪3人気 Snowfall 圧勝、 父産駒欧クラシック5勝目、母の全妹 Divinely 3着

トピックス

・JBBAからのお知らせ 会員の皆様へ マイナンバーカードの取得促進について(お願い)
・JBBA軽種馬生産技術総合研修センター便り 20回目を迎えた“アシと蹄を考える会”

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2021ダービーシリーズ開催成績
・2021年5月 地方競馬場の売り上げ
・地方競馬場別サイアーズランキング(1~6月)

生産関連ランキング

・2021年6月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2021.5.18 ~ 2021.6.20)

カラーグラビア

・JBIS Live中継 北海道セレクション
・JBIS オンラインビッド

表紙

・第88回日本ダービー(GⅠ)優勝 シャフリアール
・シャフリアール紹介
・第62回宝塚記念(GⅠ)優勝 クロノジェネシス
・北海道セレクションセール2021

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

刊行物注文へ

※ JBBA NEWSのほかに、全国馬名簿、軽種馬統計などの定期刊行物のご注文もできます。