JBBA NEWS

2021年5月号(VOL.580)

最新の第317便は 昭和モダン烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 「今年も中止にするしかないね」と4月3日、青梅市に住むササキくんが電話してきた。「去年もダメだったし、残念」と私も言うしかない。毎年のこと、皐月賞が近づいた日に、小金井市に住むサトウくんと3人、「ハイセイコー会」と称して、新宿の居酒屋に集まってきたのだが、新型コロナウイルスのために中止なのだった。若い人に言ったら、「ナニ、ソレ?」と言われそうだが、ハイセイコーが引退したあと、1980(昭和55)年ごろから、ササキくんとサトウくんと私で、「ハイセイコー会」を続けている。今年で40年も続いているのは、続けている私たちにも不思議な出来事だ。田中角栄内閣が成立し、山本リンダの「どうにもとまらない」がヒットした1972(昭和47)年、大井競馬場に、どうにもとまらない馬が出現した。新冠の武田牧場が生産した牡のハイセイコー(父チャイナロック、母ハイユウ、母の父カリム)である。大井で6連勝して、いずれも2着とは7馬身差以上の大差。500キロを超える黒い生きものは、誰からともなく「怪物」と呼ばれた。(中略)
 その馬の名はショウワモダン。父エアジハード、母ユメシバイ、母の父トニービンの牡馬だ。2010年4月4日、中山でダービー卿CTの日、ササキくんとサトウくんと私は、久しぶりに競馬場で一緒にいたのだった。パドックの裏の林にあるベンチで休んだとき、「ダービー卿に出るショウワモダンの母って、ユメシバイっていうんだよな。おれたち、ハイセイコー会なんてやってる。それこそ、おれたち昭和の夢芝居をやってるようなもんだよ。それに、ハイセイコーそのものが、おれたちにとっては昭和の夢芝居だ。ショウワモダン。なんだか買いたいよね。みんなで、1,000円ずつ、3,000円。ショウワモダンの単勝を買ってみない?」とササキくんが言ったのだ。後藤浩輝が乗って、ショウワモダンが勝ったのである。16頭立て7番人気、単勝1,660円。(略)

第122回は「無敗」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 4月に行われた中央競馬のGⅠ3レースはいずれも無敗馬が栄冠に輝いた。4月4日の第65回大阪杯(阪神競馬場)はGⅠ初挑戦だったレイパパレ(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)が逃げ切り、デビュー以来の連勝を6に伸ばした。今回のレイパパレのように「3歳以上」の「古馬のGⅠ」をデビュー6戦目で制したのは1984年のグレード制度導入以降では5頭目の最少キャリア記録になった。これまでの4頭は2002年のエリザベス女王杯で優勝したファインモーション(IRE)、2011年の安田記念制覇のリアルインパクト、2019年天皇賞・春のフィエールマン、同年チャンピオンズカップのクリソベリルだ。このうちファインモーション(6連勝)とクリソベリル(6連勝)は、レイパパレと同様無敗でのGⅠ初優勝だった。
 4月11日の第81回桜花賞は白毛のソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)が驚異的なレコードタイムで優勝し、デビュー以来の連勝を5とした。阪神競馬場の芝1600メートルでソダシがマークしたタイムは1分31秒1。従来の桜花賞レコード(2019年グランアレグリア=1分32秒7)を1秒6、コースレコード(2017年ブラックムーン=1分31秒9)を0秒8も更新する好記録だった。ソダシは白毛初のクラシック制覇という記録のほか年明け初戦での優勝も注目を集めた。前走・阪神ジュベナイルフィリーズとのレース間隔、中118日というのも桜花賞史上最長記録となった。4月18日の第81回皐月賞(中山競馬場)はエフフォーリア(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)が1着となり、デビューから4つの白星を積み重ねた。5年目の横山武史騎手(22)は中央競馬のGⅠ初勝利。父の横山典弘騎手(53)に次ぐ父子2代の皐月賞制覇となったが、父の典弘騎手がセイウンスカイで優勝した1998年に武史騎手は生まれた。エフフォーリアの父エピファネイアは2013年の皐月賞ではロゴタイプの2着に終わっていた。息子は父の雪辱を果たした。いつの日か、エフフォーリアとソダシが顔を合わせることを楽しみにしたい。できれば無敗のままでと筆者。

第134回は「大ヒット!ウマ娘 ~新たな競馬ファンの増加に~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 最近、仕事で出会う若い男性や、馬主の奥様方、また小さな女の子から、「ウマ娘見てます」「ゲームもしてます」と声をかけられ、Twitterでは、「ウマ娘から競馬中継を見るようになり、今では競馬にはまりつつあります」という書き込みも多数。ご存じでない方のために説明すると、過去の名馬を基に、馬と人間が合体した女の子たちが、レースでの勝利を目指して奮闘する姿を描いたアニメのこと。その中で実況解説者・細江純子として初期から参加し、初の声優業にも挑戦した筆者。
 当初は、擬人化したウマ娘たちのキャラクターに、競馬関係者や競馬ファンの怒りを買うのではないか?とプロデューサーは心配し、ふざけた気持ちではなく競馬の魅力をこういう形で表現してみたとのことだった。今ではゲームも発売され、既に500万ダウンロードを超え、アニメ業界では、鬼滅の刃に次ぐヒット。今回のウマ娘の成功は他人事ではなく、非常に嬉しさを感じると筆者。老若男女問わない形で受け入れられるのが1番。コロナ禍が終息した時には、コロナ前以上の、年齢・世代性別を問わない競馬ファンが増えているはずと筆者。

第149回は『ウマ娘、初めて見ました PARTⅠ』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 生まれてこの方、スマホゲームだけはやるものかと思ってきた。一度、アプリを起動してしまうと、貴重なバッテリーだけでなく、月末の速度低下に繋がるギガ数を奪われてしまう。しかも、ハマってしまったが最後、課金でお金をむしり取られる。馬券が当たらず、ただでさえお金が無くなっていくというのに、課金なんてとんでもない。それでも、さすがにこのスマホゲームの存在は無視できなくなってきた。株式会社Cygamesから今年の2月24日から配信された「ウマ娘 プリティーダービー」。こうしたスマホゲームにありがちな、メディアミックスコンテンツとして、配信より先にアニメでの放送が2018年から開始されていた。その一方で、スマホゲームはクオリティーの更なる向上を目指すべく、幾度にもわたってリリースが延期となっていたが、配信後まもなくして、Google Playの売上ランキングのゲームカテゴリーにおいて1位を記録。この原稿を執筆している4月20日においても52日間連続で1位をキープしている快挙。実際に村本トレーナー(とゲームの世界では呼ばれている)の元で(チュートリアルなので半ば強制的に)鍛えられた、ダイワスカーレットのウマ娘は、疲れも軽減されたような走り(あくまで個人的な見解です)で、道中を好位から追走。最後の直線ではカットインにより演出が入って、逃げ粘る馬を差し切ると、そのまま1着でゴールインを果たした。ゲートから飛び出して(このへんはシュール)、隊列を組みながら走っていくウマ娘の姿は競馬と言えば競馬らしく、クオリティーの向上を図ったことで、競馬場を疾走する姿もそれほど違和感はない。人によっては課金をしてでも、ウマ娘を強くしたいと思うことだろう。ただ、周囲のウマ娘の評判を聞く限り、名馬たちを擬人化するのもありなのでは?という気もしてきたと筆者。(次号に続く)

第149回は『ジェネレーションギャップ』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 最近、オグリキャップやトウカイテイオー、スペシャルウィーク、ゴールドシップなどについて、ちょくちょく聞かれることがある。あるいは、日刊競馬ホームページ内の過去の名馬や名勝負を紹介したページのアクセス数が急に増えている。いずれも今競馬界隈を席巻している「ウマ娘」の登場馬(キャラクター)である。アニメが放送された当初、とりあえず録画はしてみたものの、最初で脱落してしまった。代わりに子供たちが観ていて、ちょくちょくその馬の「ストーリー」を尋ねてくる。不思議に思っていたのだが、昨今のアニメに詳しい編集部の若手記者Y君によると、実馬の足跡を辿っているのだそうだ。前述のホームページのアクセスも、1993年の第38回有馬記念の馬柱に集中している。トウカイテイオーが1年の休養後復活を遂げたあのレースである。プロジェクト自体の発表は2016年3月。アニメの放送は2018年の4~6月(第1期)、2021年1~3月(第2期)。スマホゲーム「ウマ娘プリティーダービー」がリリースされたのが2021年2月24日。あるゲームの調査会社によると、リリース後2か月で500万ダウンロード。売上は1日で推定約5億円、1か月で約130~140億円!さらに課金したユーザーの上位はなんと2,000万円以上。一連のプロジェクトを運営する会社は2018年よりその収益の一部を、ジャパン・スタッドブック・インターナショナル等に「馬の福祉ならびに馬事文化への貢献」のための寄付を行い、それが競馬ファンからも称賛されている。我々的には、完全にこのブームに乗り遅れていると筆者。

海外情報

2021 北米 供用種牡馬 TOP38(種付料順)
2021 北米 初供用種牡馬 TOP18(種付料順)
2021 ヨーロッパ 供用種牡馬 TOP35(種付料順)
2021 ヨーロッパ 初供用種牡馬 TOP17(種付料順)
2020 北米供用種牡馬 初産駒・初種付牝馬 売却価格 TOP10(米欧主要せり平均価格順)
2020 ヨーロッパ供用種牡馬 初産駒・初種付牝馬 売却価格 TOP10(欧米主要せり平均価格順)

2021年供用予定種牡馬

・2021年に全国で供用が予定されている種牡馬291頭を一挙掲載!

トピックス

・2021(令和3)年度通常総会を終えて (公社)日本軽種馬協会 副会長・常務理事益満宏行
・中央競馬と地方競馬 交流競走の実績について(2021年) JRA番組企画室
・JBBA2021年度(第43期)生産育成技術者研修開講
・JBBAからのお知らせ 2021年産駒報告書の発送につきまして
・競馬学校入試説明会の開催 ~未来のジョッキーを目指せ!~
・日本装削蹄協会 2022(令和4)年度装蹄師認定講習会受講生募集

生産対策関連

・2021年度 所管事業の概要紹介 公益社団法人日本軽種馬協会 生産対策部

地方競馬ニュース

・2021年3月 地方競馬場の売り上げ
・ダービーシリーズ2021 実施概要

生産関連ランキング

・2021年4月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2021.3.21 ~ 2021.4.18)

表紙

・第81回桜花賞(GⅠ)優勝 ソダシ
・ソダシ紹介
・JBIS for Tablet
2021千葉サラブレッドセール特設サイト

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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