JBBA NEWS

2021年3月号(VOL.578)

最新の第315便は ノン子の手紙 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 今年の節分は2月2日。「どうしていつもどおりの3日じゃないの?」とかみさんに聞かれ、「おれ、わからない」と私が返事。そんな会話をした日、ノン子から手紙がきた。ノン子から手紙がきたのは初めてだ。まさか、ノン子が手紙をおくってくるとは思っていなかったので、「えっ?」と言いそうになった。ノン子の本名は田中信子。横浜市戸塚区に住み、私とは大船のバー「のぎく」の客友だちだ。55歳。訪問介護士だ。「わたしね、ほんとうに仕事が嫌いなの。仕事しないと食べられないから、泣く泣く仕事してる。月曜日から金曜日まで、どうせ働くなら一円でも多く欲しいから、めいっぱい仕事を入れちゃう。土曜日と日曜日はお休み。金曜日の夕方になるとね、もう幸せでウキウキしてくる。日曜日は夕方から、また明日から仕事だって思うとドブネズミになっちゃうの。だから金曜日、のぎくのカウンターに座った時、うれしくてうれしくて泣いちゃいそう」(中略)その年の冬に、克春くんが走ってる、モズカッチャンというんだって、良さんが教えてくれて、モズカッチャンの馬券は何度も買い、オークスでソウルスターリングに負けて2着。その日、初めて克春と競馬場へ行き、2着はくやしかったけど、1番人気のソウルスターリングとの馬連というのを500円買っていて、2,290円の配当で、帰り道、ビンボー人には神さまがついていて、ちゃんとモトは取らせるんだよって克春が言ったのをおぼえています。そのとき、ああ、わたし、克春がヒネクレナイで育ってくれたと、とても幸せな気持ちになったのもおぼえています。わたし、とっても感謝しているのです。競馬というのを教えてくれて、少しのお金ですけど、毎週のように、今は会社の友だちの電話投票で馬券を買って、それが生活の楽しみになってる。ありがとうございましたって、それを言いたくて、手紙を書いています。(略)

第120回は「17頭」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 2月14日に阪神競馬場で行われた第114回京都記念でワグネリアン(牡6歳、栗東・友道康夫厩舎)は、勝ったラヴズオンリーユーから0秒7遅れの5着に終わった。2018年の神戸新聞杯を最後に勝利から遠ざかっている第85代日本ダービー馬はそれでも単勝2番人気の支持を得た。「武豊騎手ならなんとかしてくれるのではないか」。新しい化学反応を期待するファンの思いが込められた2番人気だった。ワグネリアンは武豊騎手が実戦で騎乗した17頭目の日本ダービー馬だった。
 武豊騎手が初めてダービー馬とコンビを組んだのは1994年9月18日、ウイニングチケットで臨んだオールカマーだった。ダービー優勝後は少し輝きを失っていたウイニングチケットだったが、同期の強豪ビワハヤヒデの2着に頑張った。その後、武豊騎手はタヤスツヨシ、ナリタブライアン、スペシャルウィーク、アドマイヤベガ、タニノギムレット、ジャングルポケット、キングカメハメハ、ディープインパクト、メイショウサムソン、ディープスカイ、ウオッカ、ロジユニヴァース、キズナ、ワンアンドオンリー、マカヒキ、そしてワグネリアンと16頭のダービー馬の手綱を取ってきた。「ダービー馬」の看板を背負った実績のある馬ともなると、新たに騎乗を依頼しようとすると大物ジョッキーでなければならない。必然的に武豊騎手に白羽の矢が立つことになる。こういうダービー優勝後というパターンでの成績を調べてみると、27戦5勝、2着7回、3着2回という記録が残っている。勝率18.5%、連対率は44.4%になると筆者。

第132回は「不正受給疑惑に思うこと ~この件での1番の損失は~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 これまで政治的なことや、競馬界内部におけるマイナス的な事への発言は極力避けてきましたが、今回の持続化給付金における出来事については、少し触れてもいいのかな?という思いになりましたと筆者。
 2月中旬、競馬関係者の不正受給疑惑が浮上し、サークル内での調査が行われ始めました。周囲から私の元へと届く声は実に様々でした。「年末の時点で返還するようにとの指示が厩舎内部で行われていたので、いずれ大きな問題になると思っていた。」「法制度そのものに抜け道があるとも思えるから、申請者や税理士に罪はないのでは?」「移動制限はあったものの競馬は1日たりとも休みなく開催をしていた。進上金はコロナとは無関係な話。この罪は大きい。」「受給は、無知ゆえのことだったのでは?」などなど。
 私も競馬記者の方から、「ホソエさんや旦那さんはしないのですか?調教助手や騎手、調教師など給付金申請をしてますよ。」と声をかけられました。その際、「中央競馬は1日として休まなかったわけだし、厩務員の進上金の差は、担当馬の成績によるものでコロナとは無関係。ダメだよ。」と伝えました。個人的な意見としては、給付金はあくまでもコロナによっての影響を受けたかどうかが大事な論点ですし、何よりも、競馬を続けさせてもらえたことで経済的に困窮することのなかった状況。しかも競馬ファンの方々から、「娯楽が少ない中、競馬によって救われました。関係者の皆さまのご尽力に感謝します」など、たくさんの温かな言葉が競馬に注がれていたことを考えると、その気持ちを台無しにしてしまった、何よりもその点が1番、残念だったと筆者。

第147回は『無所属のフリーライター』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 年明けに優駿編集部から届けられる取材用のパスが、まだ手元にないことに気づいた。優駿編集部の道産子編集者に話を聞くと、JRAの報道にパスの申請は出しているとのこと。それでも、パスをもらえたところで、今年も自分のようなフリーの人間は、競馬場に入れないのではという気もしてくる。駄目なのだ。コロナ禍ではやはり、何かあった時の責任の所在があいまいとなる、自分が開催中の競馬場に入っては駄目なのだ。
 これまでも牧場の取材ではマスク着用と、自作したアルコールスプレーで、手の消毒をしてから取材に臨んでいただけでなく、「三密」の状況を作り出さないようにと、取材対象者とともに気を使ってきた。防疫に努める効果はあったと言えるだけに、今後もそのスタイルを崩すつもりはない。自分は無所属のフリーライターである。ただ、馬産地に住む皆さん、そして競馬が、自分に生きる場所を与えてくれたのだと、改めて感じる。

第147回は『スター誕生』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 1月27日、川崎競馬場で第70回川崎記念(JpnⅠ)が行われた。単勝4番人気、張田昂騎手が騎乗したカジノフォンテン(船橋・山下貴之厩舎)がマイペースの逃げに持ち込み、最後の直線でも独走。2着オメガパフュームに3馬身の差を付け、人馬ともにJpnⅠ初勝利を飾った。「いつも通りこの馬のペースを崩さないように、この馬の力を信じて乗りました。手応え、リズムはすごく良かったです」と張田昂騎手。無観客のスタンドに向かって右手の人差し指を高く掲げた張田騎手。検量前では父の張田京調教師が迎えて、息子を抱きしめていた。張田京師も騎手時代にインテリパワーで制しており、親子2代制覇である。
 思えば、JRA競馬学校卒業半年前に退学し、船橋で厩務員をしながら地方の騎手試験(いわゆる一発試験)を受験。何度も落ち続け、デビューしたのは25歳という苦労人である。また、2011年の勝ち馬フリオーソ以来、川崎記念の地方馬勝利は実に10年ぶり、中距離路線の新たなスターの誕生である。母はジーナフォンテン。上山でデビューし、4歳に船橋移籍。スパーキングレディーC(GⅢ)、エンプレス杯(GⅡ)などに勝った。また、2003年の川崎記念ではカネツフルーヴの3着と健闘している。上山デビューと言うこともあり、今でもひじょうにファンの多い馬である。川崎記念の勝利は、山形新聞でも取り上げられ、ゆかりの深い方々が今後の期待を語っていた。レース当日、筆者は地方競馬中継の解説であった。結果は△○◎の順で、相手を絡めず流したため残念ながら的中とはならなかったと筆者。

協会会議

・2021年(令和3)年度第1回理事会(書面決議)

海外情報

2020 エクリプス賞(北米競馬年度表彰)

トピックス

・2021年 JBBA種牡馬展示会
・JBBAからのお知らせ 2021(令和3)年度通常総会の開催と委任状、議決権行使書面について
・2020 生産関連統計
・2021 海外主要競走日程
・2020 JPNサラブレッドランキング

地方競馬ニュース

・2021年1月 地方競馬場の売り上げ
・地方競馬開催日程 2021年【4月~6月】
・地方競馬 世代別牝馬重賞シリーズ GRANDAME-JAPAN2021

生産関連ランキング

・2021年2月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2021.1.18 ~ 2021.2.13)

表紙

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・JBBA種牡馬アニマルキングダム(USA)紹介
・2020軽種馬統計
・JBBA新種牡馬ノーブルミッション(GB)紹介

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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