JBBA NEWS

2020年12月号(VOL.575)

最新の第312便は サラ系セイシュン 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 コロナ禍の年の8月、家のなかで激しく転倒。左手首を粉砕骨折して10日間の入院をした私は、11月になってもリハビリで週に2日の通院をし、ほかにも月に一度の循環器科の診察もあるので、病院にいる時間が多い。病院でのさまざまな情景を目にしながら、「この人、たぶん、営業で」とたいていは紺系統の背広を着て、重そうなカバンをさげて歩いている硬い表情の人を見かけると、その人に私は注目してしまうのだ。私は30歳代から40歳代はじめにかけての10年間、医薬品と医療器具を扱う問屋の営業マンで、ほとんどの日、病院との取引で一喜一憂していたのだった。(中略)そうした営業マン時代に、友情を深く感じた1頭の馬がいる。1971(昭和46)年のダービー馬のヒカルイマイだ。「私のノート」の「1971年6月13日」を読む。第38回日本ダービーに、私はふたりの医師と、製薬会社の部長と、私立大薬学部教授との5人で府中へ出かけている。「心ひそかにおれは、ヒカルイマイの母サラ系セイシュンに惹かれて、皐月賞に続いて単勝を狙うと決めている。おれは自分の母親に悪いなあと思いながら、自分もサラ系の出身だという気があるのだ。おれは毎日、医師を相手にした仕事をしている。医師は人間としての、社会の中でのエリート意識を持っているのが自然だろう。そのエリート意識にたいして、劣等感を持つ必要はないが、何かに圧倒されているという意識は、自分から消えようとはしない。サラ系に親しみを感じ、しかもセイシュンという名に、なんだか自分の人生を感じてしまう。ヒカルイマイの単勝を買った。みんなにその感情的なワケは言わずに。(略)

第117回は「相棒」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 11月15日に行われた第45回エリザベス女王杯は1番人気のラッキーライラック(牝5歳、栗東・松永幹夫厩舎)が優勝し、昨年に続く2連覇を果たした。エリザベス女王杯の2連覇はメジロドーベル(1998、99年)、アドマイヤグルーヴ(2003、04年)、そして英国調教馬スノーフェアリー(2010、11年)に次ぐ史上4頭目の記録だった。ただし2連覇といっても、京都競馬場と阪神競馬場という二つの異なった競馬場でエリザベス女王杯を2連覇するという珍しい記録を作った。ラッキーライラックは、さらにユニークな記録の持ち主で、GⅠ4勝をすべて違う騎手とのコンビで挙げたことである。2017年の阪神ジュベナイルフィリーズは石橋脩騎手、19年のエリザベス女王杯はクリストフ・スミヨン騎手、20年の大阪杯はミルコ・デムーロ騎手、そして今回のエリザベス女王杯はクリストフ・ルメール騎手とタッグを組んで優勝した。エリザベス女王杯の2連覇はいずれも「テン乗り」といって、実戦で初めてコンビを組む騎手とともに優勝を飾っている。GⅠを4勝以上している馬のうち、4人の騎手でGⅠ制覇を果たしていることで有名なのはウオッカ(四位洋文騎手、岩田康誠騎手、武豊騎手、ルメール騎手)、ブエナビスタ(安藤勝己騎手、横山典弘騎手、スミヨン騎手、岩田康誠騎手)、ジェンティルドンナ(岩田康誠騎手、川田将雅騎手、ライアン・ムーア騎手、戸崎圭太騎手)。「騎手を選ばない強豪」は牝馬ばかりだ。これに対し、牡馬は固定化されている。26戦すべてに騎乗し、GⅠ7勝すべてを和田竜二騎手とのコンビでつかんだテイエムオペラオー、全14戦で武豊騎手が手綱を取り、GⅠ7勝したディープインパクト、岡部幸雄騎手と全16戦をともにし、史上初めて7つのGⅠ勝利を達成したシンボリルドルフなど、この組み合わせの「騎手」と「馬」は切っても切れない関係にあったと筆者。

第129回は「アーモンドアイのGⅠ・8勝と涙 ~騎手としても人としても魅力が増していくルメール騎手~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 2020年は、本当に様々なことが起こりましたね。コロナ当初は、とにかく全身で恐怖を感じ、我慢を強いられての生活から始まりました。それが徐々に共存という形で対策をしながらの日々に。競馬も無観客競馬を中心に、様々な対策をしながらの開催となりましたが、そのような中で成し遂げられた牡馬・牝馬無敗の3冠馬誕生やアーモンドアイの8冠達成と、偉業の年に。私は、史上初となる8冠を達成したアーモンドアイでのルメール騎手の涙を流しての勝利インタビューが特に印象深く、胸に刻まれたと筆者。ルメール騎手はとにかく感情の起伏が少ない、いつも穏やかで大人なイメージ。そのルメール騎手が泣くの?と、当初は驚きを感じたと筆者。しかし、これまでの歩みを振り返ると、ほぼ同時期に短期騎手免許を取得したデムーロ騎手が、比較的早い時期に立て続けにGⅠ勝利を手にしていた一方で、ルメール騎手は2005年のハーツクライで有馬記念を制すと、次のGⅠタイトルは2008年のリトルアマポーラと、3年近く時間を要し、常々、口にするのは、「なんでも徐々にでしょ。経験を積んでインプルーブ(向上する)していく」と、勝負師にしては珍しいほど冷静で、積み重ねを大事にしていることを思い出し、全てにおいて時間を重ねれば重ねるほど、騎手としても人としても魅力が増していくなあと実感する筆者。また、この秋に感じたことの1つは、一流馬は本当に賢く、思わず見誤ることがあると筆者。特にグランアレグリアは、騎手が跨り、気が入ると、体をパンプアップ、レースぶりもさることながら、その変貌振りに恐れ入ったと筆者。

第144回は『馬九いく守で馬券も上手く』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 ジェイエス秋季繁殖馬セール当日、競走馬のふるさと日高案内所の男性職員が、「村本さん、これ知ってますか?」と言って、お守りと御朱印帳を持ってきた。「早来神社で馬がデザインされた御朱印とお守りを扱っていると聞いたので、近くに寄った際に購入してきました。村本さんなら取材の合間にも寄りやすいでしょうし、ひょっとしたら、記事になるのではと思いまして…」とありがたい言葉をかけてくれた。それから1週間後、僕は早来神社にいた。事前にインターネットで調べていたのだが、2018年に発生した北海道胆振東部地震の影響で、手水舎は壊れたままとなっていた。その一方で、先ほど通り過ぎた鳥居だけでなく、社殿も真新しい印象を受けるのは、修復工事が終わった箇所もあるからなのだろう。本殿の神様に向かって二礼の後に二拍手、そして深々と一礼、心が清らかになった後は、御朱印帳とお守り探し。競馬ファンが立ち寄ることも珍しく無いらしく、先日も京都からお守りを購入しにきたという方もいたという。宮司の方によると今年で御鎮座126年という歴史のある神社で、元々、町内の開拓に多大なる貢献をしてきた農耕馬の健康を祈願してきており、その頃から馬との縁があったという話。そして「馬九いく守」に関しては、九の数字が示すとおりに、「勝運」「金運」「出世運」「家庭運」「愛情運」「健康運」「商売繁盛」「豊漁豊作」「受験合格」という九つのご利益を授かるというオールマイティーなお守りで、しかもその幸運が、神社の名前のように「早く来る」とのことだった。日高管内の浦河町の西舎神社では、新春の恒例行事となっている騎馬参拝が、平取町の義経神社の初午祭でも、矢刺しの神事が行われているが、日高管内の神社でも馬にまつわるお守りや、おみくじを制作したらいいのではと筆者。

第144回は『興奮、感動の共有』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 レースごとに売上状況を聞いてはいたが、結果のリリースを貰って正直驚いた。大井・門別両競馬場の1日の売上の合計100億8,854万1,950円!2場開催とはいえ、ついに地方競馬で行われたJBCで大台到達だ。大井で行われたJBCクラシックが29億9,179万1,200円(前年比166.4%)、JBCスプリントが20億4,712万9,900円(同125.9%)、JBCレディスクラシックが12億9,654万9,200円(同114.6%)。JBC3競走合計で63億3,547万300円。門別で行われたJBC2歳優駿が9億7,489万8,000円。JBC4競走合計73億1,036万8,300円。大井、門別1日の売上は100億8,854万1,950円。ついに100億円の大台、まずは大井・門別両競馬場の総力を結集しての結果を素直に喜びたいと筆者。
 レースは盛り上がった。レディスクラシックは2番手から抜け出し、2着マドラスチェックの猛追を凌ぐ闘志をみせたファッショニスタ。スプリントはハイペースの流れを我慢し、直線一気に突き抜けた大井のサブノジュニア。そしてどこまで行ってもこの3頭で決まるのだろうなと思わせたクラシック。そしてラッキードリーム、トランセンデンスのホッカイドウ競馬2頭がクビ差の接戦だった2歳優駿。どのレースもJBCの名に相応しい好レースであった。勝利騎手、勝利調教師だけでなく、生産者のインタビューもあり、地方競馬、そして生産者の祭典であることも実感した。繰り返すが、惜しむらくはコロナ感染拡大防止による入場制限だ。もうひとつ、多くの人たちと興奮、感動を共有できたらよかったのに、と思えるレースが、今年のジャパンカップ。無敗の牡馬クラシック3冠馬コントレイル。無敗の牝馬クラシック3冠馬デアリングタクト。そして現役最強GⅠ8勝馬アーモンドアイ。出馬投票前の段階から楽しみでしょうがないカードだと筆者。

協会会議

・2020年度 第2回JBBA/JRA生産等に関する協議会

海外ステークスウイナーズ

BCクラシック 3人気 Authentic コースレコードで逃切る KYダービー馬の同年制覇はサンデーサイレンス、Unbridled、American Pharoah に続き4頭目
BCディスタフ 1人気 Monomoy Girl 終始外目から貫禄勝ち ’18 3歳時に続き2勝目、翌日のFTセールで950万ドル最高価格、現役続行
BCダートマイル 1人気 Knicks Go アラウアンス圧勝の余勢駆り2歳以来の G1 制覇
BCスプリント 7人気7歳 Whitmore4度目の挑戦で悲願達成、’18 フォアゴーS以来の G1 2勝目
BCターフ 仏 G1 連勝3人気愛調教 Tarnawa 発馬ミス後方待機から大外捲り1人気 Magical 抑える
BCマイル 前走愛 G3 大敗ブラックタイプ未入着最低人気 Order of Australia が好位抜けオブライエン厩舎1-3着独占
BCジュヴェナイル 2人気 Essential Quality 大外から差切る 父産駒5頭目のBC G1勝馬
BCジュヴェナイルフィリーズ 9月 G1 9.5馬身差圧勝5人気 Vequist 前走フリゼットS G1 2着の雪辱果たす
BCジュヴェナイルターフ ダート L、芝 G2 連勝11人気 Fire At Will 好位インから抜出す

海外情報

2020 北米サイアーズランキング(ブリーダーズカップ終了時) ・北米 総合(賞金順)
・北米 セカンドクロップサイアー(賞金順)
・北米 サードクロップサイアー(賞金順)

トピックス

・2020年 軽種馬後継者研修報告
・第22回獣医師生涯研修のご案内

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

生産対策関連

・2020年度 第2回JBBA/JRA生産等に関する協議会 協議結果の概要

海外流通促進

・海外競馬で活躍中の日本産馬(市場取引馬)

地方競馬ニュース

・2020年10月 地方競馬場の売り上げ
・2021年 地方競馬開催日程(1月~3月)
・地方競馬所属別在籍頭数(2020年11月1日現在)

生産関連ランキング

・2020年11月各種ランキング
・2020年ファーストクロップサイアーズランキング掲載

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2020.10.11 ~ 2020.11.13)

2020 総索引  2020 JBBA NEWS 総索引

刊行物紹介

・ディープインパクト キングカメハメハ追悼ブルーレイディスク
 「ジャパンサイアー、世界を翔ける。ディープインパクトとキングカメハメハが日本競馬に遺したもの。」 (発行:種牡馬DVD制作委員会)

表紙

・JBBA新種牡馬ノーブルミッション(GB)
・ノーブルミッション(GB)紹介
・ノーブルミッション(GB)5代血統表
・2021JBBAサラブレッド種牡馬配置表

カラーグラビア

・JBBA種牡馬アニマルキング(USA)産駒
・オレクサンドラ Oleksandra(USA) ジャイプールS(GⅠ)優勝
・JBBA種牡馬デクラレーションオブウォー(USA) 産駒
・ファイアーアットウイル Fire At Will(USA) BCジュヴェナイルターフ(GⅠ)優勝
・2020年生産全国馬名簿

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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