JBBA NEWS

2020年8月号(VOL.571)

最新の第308便は ヒニチジョウ 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 「この何年か、よく私は、あちこちの病院へ見舞いに行く。それを自慢したくて見舞いのことを書くわけではなく、どうして私が、まるで仕事のように、あちこちの病院へ行くのか、自分のためにも書いてみようと思ったのだ。社台グループの馬主クラブ会員が参加する1泊2日の牧場見学ツアーというのが、6月に2度、9月に1度行われる。それが2020年6月、新型コロナウイルスのために中止になった。そのツアーに私が初めて参加したのは1984(昭和59)年6月で、クラブの会報誌に、その同行記を書き、現在も連載している。それから37年という年月、6月に2度、9月に1度を、私は欠かさずに参加しているので、今年の中止で6月に家にいるというのが、変な、不思議な気分だった。私の仕事部屋に、1984年から2019年までの、年に3度の牧場ツアーの参加者名簿が残されている。氏名、年齢、住所、電話番号、会員番号、職業、所有馬が記載されているわけだが、1987年までの名簿が、ガリ版刷りというのがなつかしい。(中略)社台ダイナースクラブの第1回募集馬は1980(昭和55)年で、翌年からの牧場ツアーはバス1台で始まったが、私が参加した1984年には、クラブのダイナカールがオークスを勝ったり、シャダイソフィアやアンバーシャダイの活躍もあって、ツアー参加者120名、バス3台となった。「おお、5台になったね」とバスの列を目にしてボスの吉田善哉が感動的につぶやいたのは、ダイナコスモスが皐月賞を、ダイナガリバーがダービーを勝った1986(昭和61)年だったか。(略)

第125回は「年輪を重ねるような生き方を~まずは気持ちの切り替え方を身に付けて~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 気づけば、早45歳。たぶん、人生の折り返し地点は既に曲がっている年齢なのでしょう。でも、ずうずうしくも気持ちはなぜか30代後半で止まっている感覚に近く、つい先日も、同級生のママ友が、「20代の半ばの頃、職場の40代半ばの上司を凄く大人に思えていたけど…。いや大人というより、おじさん・おばさんという感じでみていたのに、いざ自分が同じ年齢になってみると、30代半ばから後半の感覚で意識が止まっていて…」と、不思議と同じことを感じていたと筆者。無意識に年齢を重ねるのではなく、重ねた年齢と新しく迎える年齢に区切りをつけ、年輪を重ねるように生きていく考え方が素晴らしく思えると同時に、周りの大人の尊敬すべきところを1つずつ体得できていけたら、少しは精神的な面で大人になれるのかな?と考えるようになったと筆者。1つだけ、心持ちと訓練次第で近づけそうなことにチャレンジ中。それは気持ちの切り替えだと筆者。

第113回は「黒船」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 「芦毛の怪物」と呼ばれたクロフネ(USA)が種牡馬を引退することになった。1998年3月31日、米国生まれ。22歳である。体調がすぐれず、2019年も種付けをしていなかった。2019年に誕生した38頭が最後の世代になる。今後は功労馬として余生を送るという。2001年、ダービーが外国産馬に開放された。完全な開放ではなく、出走枠の上限は2頭だった。この年、クロフネは3歳になった。江戸時代末期、日本に開国を迫るため浦賀沖に現れたのがペリー提督に率いられたアメリカの蒸気船「黒船」だった。ダービーの開放と日本の開国。クロフネの馬名は競馬界の大改革を意識してつけられたものだったと筆者。勇躍向かったダービーでは最後の伸びを欠き、5着。外国産馬による日本ダービー制覇はならなかった。3歳秋は天皇賞を目標にした。しかし外国産馬という生い立ちが行く手を阻んだ。ダービーと同じく外国産馬の出走枠は2頭しかなく、その枠はアグネスデジタル(USA)とメイショウドトウ(IRE)でいっぱいになっていた。ここがクロフネの運命の分かれ道だった。しかたなく向かったのがダートのGⅢ武蔵野ステークス(東京ダート1600メートル)だった。すると驚くような走りを見せ、2着に9馬身差をつけ、1分33秒3という芝並みのJRAレコードで優勝した。初めてベールを脱いだダート適性。続くジャパンカップダート(現チャンピオンズカップ)でも2分5秒9(東京ダート2100メートル)のJRA新で圧勝した。この2つのJRAレコードは2020年になっても健在で、芝とダート両方のGⅠ制覇も実績として輝く。クロフネが種牡馬として置き土産として残したのは、初年度産駒の1頭クロノロジストで、繁殖牝馬として、ノームコア、クロノジェネシスというともに芦毛の馬体のGⅠ姉妹を産んでいると筆者。

第140回は『護持』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 コロナ太りと言われる前から、ぽっちゃりとしていた筆者であるが、不要不急の外出を避けていたことが更に拍車をかける形で、ただの「不摂生太り」になっていた。取材でホッカイドウ競馬の場外発売が始まったAIBA石狩に行った時も、入口では数取器を持ったスタッフが入場者数をチェックしており、しかも、サーモグラフィーカメラを用いた体温チェックも行われていた。ソーシャルディスタンスの意味合いもあるのだろうが、座席だけで無く、売り場も一つ置きとなっていた。競馬ファンもこの状況をわきまえているようで、ゴール前でも大声をあげることなく、どちらかというと、苦渋に満ちた、ため息らしき声がマスク越しに聞こえていた。「新しい生活様式」の中、日常生活が少しずつ動き始めているのだろう。そんな中、緊急事態宣言後では初めてとなる、通常通りのせり市場となった「八戸市場」の取材へ行ってきたと筆者。会場入口では例に漏れず、アルコールスプレーでの消毒や体温チェック、そして、連絡先の記入欄があった。そこには北海道でもよく会う生産関係者や取材陣の名前があり、わざわざ八戸まで足を運んででもせりに参加したいという前向きな気持ちも感じられた。総売上額、産駒1頭当たりの平均価格などは昨年を若干下回ったものの、売却率はほぼ変わらない数字となった。実際に馬を見た上で、せりに参加したいと思う人が安定数いたことは今後のせり市場の明るい兆しになるとも感じたと筆者。当たり前のことを、当たり前に続けていけば、コロナにはかからないのでは?という自信も生まれてきたのだが、日常生活がこのまま「護持」できるのならば、自分は何だって受け入れてやろうと思うと筆者。

第140回は『無観客競馬5』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 7月8日(水)、大井競馬場で3歳ダートのチャンピオン決定戦、第22回ジャパンダートダービー(JpnⅠ)が行われた。7頭出走しているJRA勢が先頭から7番手までを占める展開で、1000m通過は61秒3のハイペース。圧倒的1番人気のカフェファラオ(USA)は手応え悪く、レーン騎手のムチが入るも伸びを欠いた。勝ったのは6番人気のダノンファラオ、2着は逃げ粘ったダイメイコリーダ、地方最先着は4着のブラヴールという結果に。勝利ジョッキーは坂井瑠星騎手。父はご存知大井の坂井英光調教師(元騎手)で、いわば生まれ故郷の大井競馬場でJpnⅠ初勝利を挙げた。瑠星騎手よりも、英光調教師の方が物凄く嬉しそうだったのが印象に残った。
 ダノンファラオとカフェファラオの父は「アメリカンファラオ」(American Pharoah(USA))。ご存知2015年の米三冠とBCクラシックを制した馬だが、弊紙の表記は原音主義で「アメリカンフェロー」(フェイロアにも聞こえる)。馬名登録の際に、本来ファラオ(エジプトの王)の綴りが「Pharaoh」であるのに、誤った綴りをコピペして「Pharoah」で登録されてしまったのは有名なエピソード。忖度して「ファラオ」にすることも出来たが、弊社馬柱担当者は原理主義者なのか?前述の通りにしたため、「違うんじゃないのか?」という読者からの指摘が相次いだ。参考までにJBISで調べるとダノンはDanon Pharaoh(JPN)で、カフェはCafe Pharoah(USA)だった。コピペしたので間違いないはずだと筆者。

せり市場成績

・セレクトセール サラ1歳、当歳
・八戸市場 サラ1歳

海外ステークスウイナーズ

英ダービー クールモア6頭出し8人気 Serpentine 逃げ圧勝、父産駒5勝目で史上最多
仏ダービー マクフィ(GB)後継 Make Believe 初年度産駒4人気 Mishriff馬群割り快勝
独ダービー 5月デビュー仏調教8人気 In Swoop 後方から急襲し父子制覇
ベルモントS NY産1人気 Tiz the Law 地元で3冠初戦圧勝、トラヴァーズS経由でKYダービー目指す
英オークス 1人気 Love 9馬身差レースレコード勝ちで同父Minding(’16)以来の英2冠
セントジェイムズパレスS 欧年度代表馬 Kingman 2年目産駒3人気 Palace Pier 英2000ギニー組破り初 G 勝ち、4戦無敗で父子制覇達成

協会会議

・2020(令和2)年度 第4回理事会(書面決議)
・2020(令和2)年度 第1回軽種馬生産育成総合対策事業運営委員会(書面)

トピックス

・2021年(第43期)生産育成技術者研修生募集案内

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2020年6月 地方競馬場の売り上げ
・地方競馬所属別在籍頭数/サラ系統(7月1日現在)

生産関連ランキング

・2020年7月各種ランキング
・注目の2020ファーストクロップサイアーズランキングも掲載!

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2020.6.16 ~ 2020.7.17)

カラーグラビア

・JBIS for Tablet

表紙

・第61回宝塚記念(GⅠ)優勝 クロノジェネシス
・バゴ(FR)産駒 クロノジェネシス紹介
・Live.jbis.or.jp
・北海道市場 サマーセール

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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