JBBA NEWS

2020年3月号(VOL.566)

最新の第303便は 無時間 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 「暦では新しい年を迎えたが、そうした時計が刻む通常の時間、とは異なる時間がある、と谷川さんはいう。その時間の中では、死者たちも、一種の幻想みたいに存在しつづけている、という。谷川さんはそれを、無時間の時間と呼ぶ。肉体にこそ通常の時間が刻まれていくが、無時間を生きる魂や心は死ぬことはなく、不老不死。だから武満徹や大岡信ら親友が亡くなっても、寂しくないという感覚がずっとある」と赤田康和という人が書いた文章を新聞で読む。谷川さんとは、詩人の谷川俊太郎さんのこと。「無時間」と私は心で何度も言い、ずいぶん長いこと、宙を見つめていた。(中略)オグリキャップはオグリキャップだ。現役時代の走りは、ほとんど狂気の表現だと思っていた私は、その瞬間的なオグリキャップの感情表現に納得したのだった。私は厩舎やパドックでオグリキャップを目にすると、いつも三石の稲葉牧場で会ったことのある、オグリキャップの母のホワイトナルビーを思いだすのがクセのようになっていた。私が放牧地でホワイトナルビーを見ていたとき、静かな雪が降っていた。この牝馬と、ダンシングキャップのあいだに生まれた芦毛の牡馬が、笠松競馬場で走り、やがて中央に移って、無数の人たちを熱狂させたのだなと、ホワイトナルビーといっしょに雪を感じていると、そこが不思議な幸せに満ちた空間のように思えた。(略)

第120回は グローバル化社会の脆さ ~環境を変えてみたミルコ・デムーロ騎手に学ぶ~
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 このコラムが掲載される頃、新型コロナウイルスはどうなっているのでしょう?便利な世の中になった一方で、今回のことでは改めて人の脆さ、グローバル化社会の脆さも感じると筆者。そしてまた世界各国で感染が確認されたことで明るみとなったのが、国それぞれの対応の在り方や考え方の違いだと筆者。
 現在、競馬界の話題を独占しているのは川崎競馬に所属し、レースに参戦している美人ジョッキー、ミカエル・ミッシェル騎手、今後はJRA所属を目指すとのことで楽しみだと筆者。どの外国人ジョッキーも、馬上のみならず、日本の環境や日本人への順応がたけており、いろいろな意味で環境の変化への適性の高さを感じ、子育て中の母としては生きるヒントがたくさん隠れていると筆者。最近、デムーロ騎手が美浦を拠点として過ごしたのは、環境を変えてみるという世界各国でジョッキーとして歩んできた経験からの自然な選択で、それによってもたらされた成績の向上、また何よりも明るい表情を取り戻している姿に、そんなことを感じ、また学んだと筆者。

第108回は「牝馬」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 2020年2月は特別な2月になった。性別を問わないJRAの重賞レースで牝馬が頑張り、好成績を収めたのだ。2日に京都競馬場で行われた第25回シルクロードステークスでは、3番人気だったアウィルアウェイ(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)が優勝。2着にも6番人気のエイティーンガール(牝4歳、栗東・飯田祐史厩舎)が食い込んだ。翌週の9日、東京競馬場であった第70回東京新聞杯では4番人気のプリモシーン(牝5歳、美浦・木村哲也厩舎)が1着となり、6番人気のシャドウディーヴァ(牝4歳、美浦・斎藤誠厩舎)が2着になった。牝馬の1、2着独占となると1978年までさかのぼらなければならないほどの珍事だった。16日の第113回京都記念(京都競馬場)では、2019年の秋華賞馬クロノジェネシス(牝4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が1番人気で1着、2着は前年のジャパンカップで2着だった2番人気のカレンブーケドール(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎)である。 近年の牝馬の強さは目を見張るものがある。何よりの証拠がJRA賞の年度代表馬だろう。
 2010年がブエナビスタ、2012年と2014年がジェンティルドンナ、2019年がアーモンドアイ、そして2019年がリスグラシューと最近10年で半分の5回は牝馬が年度代表馬に選ばれている。今年の牝馬には性別を問わないJRAのGⅠでの1、2着独占を達成しそうな勢いがあると筆者。

第135回は『ブエノスアイレス午後1時 PARTⅢ』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 ブエノスアイレス市内からハイウェーで北西に130kmほど。ガイドブックではガウチョ(18世紀末から牧畜業に従事してきた、アルゼンチン版カウボーイ)が暮らす街とされている、サン・アントニオ・デ・アレコ。アルゼンチンを代表する牧場のほとんどがこの近郊にあるという。感覚的にはアルゼンチンの日高地方だと筆者。ブエノスアイレスよりも、日中と夜との寒暖の差が激しく、日が暮れてからだと、ダウン無しで外を歩けない程に冷え込む日さえあった。数ヵ月アルゼンチンの牧場で働いていたことがある友人によると、アルゼンチンには生産規模の大きな牧場が幾つかあり、種牡馬を繋養しているだけでなく、調教施設も備えられ、オーナーブリーダー的な管理が行われ、こうした規模の大きなオーナーブリーダー同士の対抗戦が、競馬の核になっていると教えてくれた。この日のロケ先となった牧場はHaras Carampangue。規模の大きなオーナーブリーダーで、牧場にはアルゼンチンを代表する名種牡馬であり、そして日本でもサトノダイヤモンドの母の父として知られるOrpen(USA)を繋養している。代表のIgnacio Pavlovsky氏は、「放牧地の牧草は1歳馬の膝丈まで伸びているが、土が素晴らしいからこれで馬が良くなっていくんだ」、つまり「アルゼンチンの肥沃な大地パンパ」だと言う。(次号に続く)

第135回は『ミシェル狂想曲』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 「ミカエル・ミシェル騎手が南関東で短期免許を取得するらしいよ」という噂を聞いたのが、記憶が定かならば昨年末。媒体に掲載されたのが12月31日の日刊スポーツネット版。JRAの基準ほど厳しくはないが、地方競馬での短期免許取得条件も(1)通算250勝以上、(2)重賞やJRAで実績があること、となかなか厳しい(取得条件は昨年時点)。成績を調べてみると、主にフランス等で通算1,473戦115勝、2019年のシーズンにフランスで72勝を挙げリーディング12位となり、フランス歴代女性騎手の年間最多勝記録を更新、とある。いつどのように基準が改正されたか定かではないが、1月24日、地方競馬全国協会から地方競馬の短期免許交付が発表された。川崎の山崎裕也厩舎に所属、期間は1月27日から3月31日まで。短期騎乗初日の1月27日。常駐している我々「年パス組」の他に22社40人の取材陣と、3,416人のファンが川崎競馬場に来場し、美しすぎるミシェル騎手の一挙一動に視線が注がれた。騎乗後に裏の方でスパニュ氏と騎乗についてガンガン意見を戦わせているし、気が強いというか、本当の彼女は、やはりファイターだと筆者。本稿執筆時点で13勝。2月11日の船橋開催では、場内の新聞が売り切れる(何年振りだろう、しかも2月に)など、この騒ぎ、終わらないで欲しいと思う今日この頃なのだと筆者。

協会会議

・2020(令和2)年度第1回理事会

海外情報

2019 エクリプス賞(アメリカ競馬年度表彰)

トピックス

・2020年JBBA種牡馬展示会開催
・JBBAからのお知らせ 2020(令和2)年度通常総会の開催と委任状、議決権行使書面について
・2019生産関連統計
 ◆2019年種付牝馬頭数*
 ◆2019年地域別種付牝馬頭数*
 ◆2019年生産頭数*
 ◆2019年地域別生産頭数*
 ◆年次別サラブレッド輸入頭数
 ◆2019年産地別・月別サラブレッド輸入頭数
 ◆産駒頭数順(上位30位)
 ◆内国産種牡馬種付頭数順(上位30位)
 ◆外国産種牡馬種付頭数順(上位30位)
 ◆供用場所別種付頭数順(上位15位)
・2020海外主要競走日程
・2019JPNサラブレッド ランキング

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2020年1月 地方競馬場の売り上げ
・地方競馬開催日程 2020年【4月~6月】
・地方競馬 世代別牝馬重賞シリーズ GRANDAME-JAPAN 2020

生産関連ランキング

・2020年2月各種ランキング

刊行物紹介

・種牡馬DVD『STALLIONS IN JAPAN 2020』 (一社)日本競走馬協会発刊
・『2019 軽種馬統計』(公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナル/(公社)日本軽種馬協会 発行

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2020.1.14 ~ 2020.2.15)

表紙

・第113回京都記念(GⅡ)優勝 クロノジェネシス
・JBBA種牡馬バゴ(FR)産駒 クロノジェネシス
・2019軽種馬統計
・第47回佐賀記念(JpnⅢ)優勝 ヨハネスブルグ(USA)産駒ナムラカメタロー

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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