JBBA NEWS
2019年12月号(VOL.563)
最新の第300便は 吟行「競馬場」 烏森発牧場行き
吉川 良/よしかわ まこと
私が句会「凡の会」に参加したのは70歳のときである。冬に、家の近くの大野さんの家で昼間から酒をのんでいたら、障子に蝿のような黒い小さな生きものがちょろちょろと動いて消えた。その部屋に大野さんが作った俳句を筆書きした短冊がいくつか立っている。「ぼくにも一句、浮かんできました」そう私が言うと、大野さんがボールペンとメモ用紙を私の前に置いた。「真昼より酔うてそうろう冬の蝿」そう私が書いたのをきっかけに、大野さんから「凡の会」に誘われ、酔ううち、「あなたがいちばん好きな句は?」と聞かれ、「マスクして己れの馬鹿にむせかへる」と私はメモ用紙に書いた。知りあいの小島麦人という俳人の句である。この句を私は座右の銘のように大切にしているのだ。(中略)照代さんのお願いというのは、秀雄さんが内緒で過ごしていた競馬場を、いちど見てみたいというのだった。「いっそのこと、兼題(題を前もって出しておく)を、競馬、ということにして、凡の会の吟行(句作のために郊外や名所旧跡などに出かけること)として、みんなで競馬場に行ってみますか?どこかで秀雄さんも、おれをネタにして遊ぶのかって、きっと喜びますよ」そう私が照代さんに提案したのだった。「凡の会」の人たちにとって、競馬場は未知の領域で、ほとんど全員が「競馬場」という吟行を喜んだ。兼題が「競馬」。どんな句が出てくるか、それも私は楽しみになった。(略)
第117回は「欧州のトップジョッキーたちの日本競馬参戦 ~調教からレース、騎乗後までその経験を学ぶ好機~」
ホソジュンのウマなりトーク
細江 純子/ほそえ じゅんこ
この秋は、欧州のトップジョッキーが参戦しての日本競馬。日によっては一場の芝のレースの全てを外国人騎手が勝利することもあり、その手綱捌きや馬を動かす技に目を奪われ と同時に馬上だけでなく、日本で過ごすにあたり、日本人関係者とのコミュニーケションを図ろうと、日本人の気持ちに寄り添った行動や対応をされているのが伝わると筆者。特に今回、周囲から劇的な変化と称されるのが、スミヨン騎手。追いきりを終えると、厩舎に足を運び、馬房での様子を見てから帰る日もあるようで、好感を持たれ騎乗の依頼も多いと筆者。欧州の名手たちの参戦は、日本人騎手たちとって厳しい現実だが、その一方で調教からレース、騎乗後までその経験を学ぶ好機だと筆者はとらえている。
第105回は「父娘」 第5コーナー ~競馬余話~
有吉 正徳/ありよし まさのり
2019年11月10日に行われた第44回エリザベス女王杯はクリストフ・スミヨン騎手(38)=ベルギー=が騎乗した3番人気のラッキーライラック(牝4歳、栗東・松永幹夫厩舎)が優勝した。スミヨン騎手の中央競馬でのGⅠ勝利は5年ぶり3度目だった。初勝利は2010年の天皇賞・秋、ブエナビスタとのコンビで2着のペルーサに2馬身差の快勝だった。2勝目は2014年のジャパンカップ。エピファネイアに騎乗してジャスタウェイに4馬身差をつける完勝劇を演じた。スミヨン騎手の名をさらに有名にしたのは3冠馬オルフェーヴルとのコンビ結成だった。2012、2013年のフランス遠征では、計4戦で手綱を取り、凱旋門賞は2年連続2着、フォワ賞は2連覇を果たした。エリザベス女王杯優勝に導いたラッキーライラックはオルフェーヴルの初年度産駒の1頭である。追い切りでも手綱を取り、「彼女がオルフェーヴルの娘だということに縁を感じていた。あのときの雪辱を果たした気持ちだ」と優勝インタビューで答えた。今回のように短期免許などで来日した外国人騎手が日本調教馬に騎乗して中央競馬のGⅠレースを制覇する例が増えている。2015年3月に中央競馬会所属になったミルコ・デムーロ騎手、クリストフ・ルメール騎手も短期免許の時代にGⅠ制覇を達成しており、この記録を含めると、2019年11月24日現在、外国人21騎手が計56勝を挙げている。これに2019年はダミアン・レーン騎手とオイシン・マーフィー騎手が加わった。外国人騎手と日本調教馬のコラボレーションはこれからも増えていきそうだと筆者。
第132回は『3Kからの脱却』北海道馬産地ファイターズ
村本 浩平/むらもと こうへい
先日、知り合いの育成スタッフと話をしていてハッとさせられた。「昔で言うところの半ドン、つまり半休って、お昼の仕事を過ぎてからじゃないですか。でも、6時始業の牧場は10時過ぎで仕事を上がってもいいことになるんですよね」その気になれば、24時間労働の自由業だけに全く気付かなかったことであったが、厚生労働省が定める労働時間は1日に8時間であり、しかも1週間に40時間を超える労働をさせてはいけないという。そもそも馬が生き物である以上、人間が決めた時間に当てはめた行動をさせること自体が無理なのかも知れないし、しかも競走馬を調教するという技術を持っている人の数はわが国では限られている。馬を扱う仕事は「3K」の「きつい」「汚い」「危険」の面を持っているが、長時間労働については緩和されつつある。一人でも多くの人材が、競馬というこの素晴らしい世界に入ってくれることを期待してやまないと筆者。
第132回は『浦和JBC』馬ミシュラン
小山内 完友/おさない ひろとも
「この日、今まで見たことのない浦和になる」のキャッチコピー通り、1日の総売上58億3,151万1,430円(トリプル馬単含む)と大盛況に終わった浦和JBC開催。2016年川崎開催の48億7,402万2,850円を超える地方競馬レコード。当日は無料入場ということもあり、総入場者数2万9,191人と、「初開催」らしく大いに賑わった。その一方で「浦和大丈夫か?」という関心も高かった。まず敷地が狭い。南関東での開催となると、どうしても3万人は計画しておかなければならないが、券売機の少ない今の浦和競馬場で捌き切れるのか、そういう不安は確かにあった。
JBCレディスクラシックは好枠を引いたヤマニンアンプリメが勝利。スタート直後には、2番のタイセイラナキラが内に切れ込み、1番モンペルデュに接触し、同馬はラチにぶつかりバランスを崩し転倒。競走中止となり、戸崎騎手が負傷するアクシデントがあった。JBCスプリントを勝ったのは地元浦和のブルドッグボス。JBCクラシックは最も平穏な結果となり、勝ったチュウワウィザードも2着のオメガパフュームも、王道を歩んできた組だった。帰社した現地組は、思ったより混んでいなかったと口を揃えた。帰りのアクセスもスムーズ。聞けば高山副管理者は、サッカーW杯時にアクセス担当だったとか。始まる前は不安だらけだったが、終わってみれば首尾よくいった開催だったと筆者。
協会会議
・2019年度 第6回理事会
・2019年度 第2回JBBA/JRA生産等に関する協議会
海外ステークスウイナーズ
BCクラシック | 3人気 Vino Rosso が1人気 McKinzie 破り前走降着の鬱憤晴らす、G12勝で ‘20 米種牡馬 |
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BCディスタフ | 3人気 Blue Prize 早め進出から断然人気 Midnight Bisou(今季7戦全勝、 G13勝)封じ G1 連勝 |
BCダートマイル | 4人気 Spun to Run 前走 BTレース 圧勝の余勢駆り初 G1制覇 |
BCスプリント | エスケンデレヤ(USA)産駒 Mitole 今季 G14勝(6, 7, 8F) で有終の美、米で種牡馬 |
BCターフ | 1人気 Bricks and Mortar 今季6戦全勝, G15勝でキャリア締める、‘20 日本で種牡馬 |
BCマイル | 2人気 Uni が1人気 Got Stormy 捕らえ G1 連勝、 牝馬1-2 |
BCジュヴェナイル | 7人気 Storm the Court 先行決着を僅差凌ぐ、 落馬明け前走 G1 3着から巻返し |
BCジュヴェナイルフィリーズ | 2人気 British Idiom が前走圧勝1人気 Donna Veloce(祖母 Cash Run 当レース勝馬) 競り落す |
BCジュヴェナイルターフ | 3人気 Structor 好位追走からゴール際差切りデビュー3連勝 |
トピックス
・2019年軽種馬後継者研修報告
・第21回獣医師生涯研修のご案内
種牡馬事業
・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)
生産対策関連
・2019年度JBBA/JRA生産等に関する協議会 協議結果の概要
海外流通促進
・海外競馬で活躍中の日本産馬(市場取引馬)
地方競馬ニュース
2019年10月・地方競馬場の売り上げ
2020年地方競馬開催日程(1月~3月)
地方競馬所属別在籍頭数(2019年11月1日現在)
生産関連ランキング
・2019年11月各種ランキング
・注目の2019年ファーストクロップサイアーズランキング掲載
From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター
レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)
The First Win
JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2019.10.8 ~ 2019.11.7)
2019総索引 2019 JBBA NEWS 総索引
カラーグラビア
JBBA種牡馬産駒 海外で瞠目すべき活躍
・デクラレーションオヴウォー(USA)産駒
Vow And Declare(AUS) メルボルンC(G1)
Warning(AUS) ヴィクトリアダービー(G1)
・エスケンデレヤ(USA)産駒
Mitole(USA) BCスプリント(G1)
2019年生産全国馬名簿
表紙
・JBBA新種牡馬アニマルキングダム(USA)
・アニマルキングダム(USA)紹介
・アニマルキングダム(USA)5代血統表
・2020年JBBAサラブレッド種牡馬配置表
JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc
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