JBBA NEWS

2019年8月号(VOL.559)

最新の第296便は ひとり旅 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 月に一度くらいかな、「どうしてる?」と電話してくる高校時代の友だちがいる。私の高校卒業は1955(昭和30)年で、同学年は82歳か83歳になっている。その友だちは通産官僚としてかなりの出世をし、退任後も私などにはよく判らない組織の役員をし、今は奥さんとともに、裕福な人でないと入れない老人ホームで暮らしている。「どうしてるのかなあ。おれ、どうしてるんだろうか」などと返事をしながら私は、「ま、言ってみれば、ひとり旅に救われながら生きてるのかなあ」と言ってみたりするのだ。「ひとり旅?凄いなあ。元気もいるし、金もかかるし」そう友だちに言われ、「いや、ま、おかげさまで元気なんだけど、そんなには金のかからない旅なんだ、おれのひとり旅」と私は返事をした。私のひとり旅は週末にウインズへ行くことである。(中略) 白髪の人と私は桜木町駅に近いパブでビールをのんだ。朝、コーヒーショップで読んでいた予想紙にコラムを書かせてもらっていると私は自己紹介をし、ウインズや競馬場へ行くのを「ひとり旅」と感じて、いわば、その「ひとり旅」に人生を救われているような気がすると言った。すると白髪の人は、「その、ひとり旅、というの、わかります。よく、わかります。妻にも息子たちにも、わたしが土日に馬券を買いに出かけるというのが不可解なんですね。でも、わたし、つまり、その、ひとり旅をしなくなったら、自分がどんな生活感覚になるのか不安ですね」そう言うので、私はビールのグラスを顔の高さにまで持ちあげ、乾杯をした。(略)

第101回は「引退」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 中央競馬で2度首位種牡馬に輝き、ドゥラメンテとレイデオロという2頭のダービー馬を送り出したキングカメハメハが種牡馬を引退することになった。免疫機能が低下し、ここ数年は体調不良に苦しんでいた。今年は種付けを中止していたが、回復の兆しはなく、このまま種牡馬を引退して、功労馬として余生を送ることになった。キングカメハメハは2001年3月20日北海道のノーザンファームで生まれた。父キングマンボKingmambo(USA)、母マンファス(IRE)。前年の米キーンランド・ノベンバーセールで吉田勝己ノーザンファーム代表が65万ドルで落札したのがマンファスだった。おなかの中には、のちのキングカメハメハが入っていた。生まれたばかりのキングカメハメハはセレクトセールに上場され、金子真人オーナーに7,800万円で落札された。2005年から種牡馬生活に入ったキングカメハメハは着実に成果を上げていった。2019年7月21日現在で産駒の中央競馬の重賞勝ち馬は合計55頭。このうちG1勝ち馬はアパパネ、ローズキングダム、ロードカナロア、ベルシャザール、ホッコータルマエ、レッツゴードンキ、ドゥラメンテ、ラブリーデイ、リオンディーズ、レイデオロ、ミッキーロケットの11頭を数える。馬名を挙げてみて分かるのは牝馬から短距離馬、ダートホースまで実に多彩な産駒に恵まれていることだ。守備範囲の広い種牡馬であることが証明されており、キングカメハメハを起点とする血統の裾野は確実な広がりを見せていると筆者。

第113回は「息子も来年は小学生 ~気になってしまうデットーリー騎手の息子ロッコ君~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 早いもので息子も来月で6歳。来年は小学生に。3年前、余命宣告を受けた父が、「小学生になる姿を見たい」と言っていた言葉が思い起こされると筆者。自宅から見える小学校しか考えておらず、息子は息子で、「ちかいほうがラクでいいよね。ねてられるし」と、大丈夫かな?と心配になるものの、強制的に何かを求めても結果、反発するか、自発性を削いでしまいそうで、私としては、その点が1番怖く、今のうちは本人任せと筆者。子供の将来という意味で言えば、今、個人的に気になっているのが、デットーリー騎手の息子ロッコ君。ジョッキークラブのCMの中で、デットーリーと共に楽しそうな表情で併せ馬をするロッコ君の姿が映し出されている。デットーリー自身も名手であった父から様々なことを学び、そして今、自然な形でロッコへと受け継がれようとしている姿には、馬だけなく人もまたホースマンとしての歴史の深さを感じると同時に、騎手・ロッコ・デットーリーの誕生が目に浮かび、私の楽しみの1つとなっていると筆者。

第128回は『馬力本願プロジェクト PART II』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 新ひだか町で「馬力本願プロジェクト」の推進業務にあたる、地域おこし協力隊の活動を行っている糸井郁美さん。「地域おこし協力隊」の柱は三つあり、一つは「おもてなし環境・基盤の整備」、もう一つは「移住定住の促進」、そしてもう一つが「子どもたちへの馬文化の伝承」である。まずは新ひだか町内にある、馬にまつわる施設の見学を思い立った糸井さんは、北海道大学研究牧場やライディングヒルズ静内の見学ツアーを企画する。しかしながら町民の反応は薄く、それ以上に驚かされたのは町内の子供たちが、日高地区が日本一の馬産地である認識をそれほど持っていないことだった。「馬が間近にいるにもかかわらず、それはもったいないなと思いました。その時に新ひだか町内の馬に関する施設やそこに携わる人、競走馬生産の背景や歴史を、そこに住む子供たちに伝え無ければいけないとの思いが、一気に膨らんできました」。プロジェクトは「ひだかうまキッズ探検隊」と名付けられ、糸井さんの申し出に、新ひだか町も町内全ての小中学校に告知を行っただけでなく、ツアーを行うバスもチャーターしてくれ、その行動を見て、協力を申し出る地元の生産者や競馬マスコミ、そして、JRA関係者の姿もあった。2017年の5月、全9回の「探検プログラム」が始動する。「初年度は小中学生を合わせて11名でした。中には生産者のお子さんもいらしたのですが、目の前に馬がいるにもかかわらず、知らないことも多かったようで、講師となる方から丁寧に説明を受けることで、更に馬や馬産地に対する興味を深めたようでした」。2年目に向かうに当たって糸井さんは、子供を対象としたまた違った活動を思いつく。それは「子ども達が楽しめる馬の祭り」を行う「さくらうま」というグループだという。(次号に続く)

第128回は『降級制度廃止の余波』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 今年の夏番組から、JRAの降級制度が廃止された。6歳(現5歳)の降級があった頃は「6歳以上2700万下」があり、それが無くなったきっかけの代表例として挙げられるのが、ビギンザビギン(父コンメモラテイーボ(USA)母:トミコール)である。ビギンザビギンは1985年6月9日、とっくにダービーも終わった東京競馬場の4歳未勝利戦(当時)でデビュー。15頭立て15着だった。初勝利は7戦目の11月7日福島の4歳未勝利戦。休養復帰後3戦目となる900万の初春賞を格上挑戦で勝ち、900万クラスのレース1勝目。87年7月の信夫山特別で900万クラス2勝目。3勝目は新潟の日本海ステークスで、収得賞金は2250で、まだまだ900万クラス。4勝目は9月の中山の平場。このレースに勝ち、収得賞金は2650なので、なんとギリギリ900万クラス。休養明け初戦は8か月後の福島競馬、松島特別に勝ち、900万クラス5勝の偉業?を達成している。88年の夏番組から「6歳上」(現5歳)の条件がなくなった。今回の降級の廃止により、地方への転入が増えたかどうかを検証すると、大井競馬における2018年の1回~7回開催のJRAからの転入馬は36頭だった。それが2019年は51頭。大井競馬だけで15頭の増となっている。地方競馬全体だと3ケタの増加にはなるのではないかと筆者。しかし、今年の上半期は番組に対してほぼ適正な在厩頭数で競馬が行われており、余波はほとんどないようだがと筆者。

せり市場成績

・セレクトセール サラ1歳・当歳
・北海道セレクションセール サラ1歳
・八戸市場 サラ1歳

海外ステークスウイナーズ

愛ダービー 英ダービー10着6人気 Sovereign が 英ダービー 1,2,4 着馬相手に逃切り勝ち
パリ大賞 英ダービー3着1人気 Japan が ロイヤルアスコットG2に続き初G1 制覇、凱旋門賞前売り3人気に浮上
独ダービー ジャパンC勝馬Landoの直孫1人気 Laccario 4連勝で戴冠
ジュライC ヨハネスブルグ系No Nay Never初年度産駒2人気Ten Sovereignsレース史上2位のタイムで前走コモンウェルスC (4着)の雪辱果たす
ジャンプラ賞 デューハーストSG1等4戦4勝欧2牡チャンピオン1人気 Too Darn Hot今季4戦目距離短縮で初勝利
ベルモントダービー 今季創設NY3歳芝3冠(Turf Trinity、7-9月)初戦。13人気 Henley’s Joy、10人気 Social Paranoia の好位組決着

トピックス

・2020年(第42期)生産育成技術者研修生募集案内
・JBBA軽種馬生産技術総合研修センター便り 九州地区で肢蹄管理に関する研修

海外流通促進

・海外競馬で活躍中の日本産馬(市場取引馬)

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・2019年6月 地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

・2019年7月各種ランキング
・2019年ファーストクロップサイアーズランキング掲載

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2019.6.15 ~ 2019.7.22)

カラーグラビア

・JBIS for Tablet

表紙

・JBBA種牡馬マクフィ(GB)
・JBBA種牡馬マクフィ(GB) クリエイターII(USA)
・live jbis.or.jp 北海道サマーセール生中継
・北海道サマーセール

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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