JBBA NEWS
2019年4月号(VOL.555)
最新の第292便は ユクエフメイ 烏森発牧場行き
吉川 良/よしかわ まこと
新聞に哲学者の鷲田清一の連載コラム「折々のことば」があり、2019年3月8日には、「人間には、行方不明の時間が必要です」という茨木のり子の詩の書きだしが引用されていた。「自分を大切に思うのも大事だが、ときに自分に厭きる、自分をチャラにすることも必要だ」と引用の理由も書いてある。私には寝酒と同じように、ベッドで子守歌のように読む本が何冊かあり、文庫本の茨木のり子の詩集「倚りかからず」もその一冊で、46行の詩、「行方不明の時間」が引用されたことにうれしさも感じた。そのコラムを読んで私に、横浜の旧根岸競馬場の近くに住んでいる神西さんの顔が浮かび、コラムを切り抜いて絵ハガキのようにし、「あはは、あはは」とだけ書いてポストに入れようと、いたずらを思いついた。(中略)3月12日の夕方、私と神西さんは鎌倉駅で会い、海辺まで歩いて、うるさくない酒場に座った。「どうしてウインズや競馬場に行くのか、それを知らない人に説明するのは困難だし、それに、説明したいとも思わない。わたしの感じるところでは、ウインズにいる人、競馬場にいる人の大半は、行方不明者なんじゃないですかね。そんなことを考えていたら、ユクエフメイという名の馬がいてもいいなあって思ったんですよ。でも、ユクエフメイというの、馬名として許されますかね」ビールをのみながら神西さんは、とても楽しそうな顔になっていた。「行方不明といえば、馬券を買った自分の馬が、全然レースになっていなかったときなんか、おれが買った馬、行方不明になっちまったと思うことがあるなあ」(略)
第97回は「同着」 第5コーナー ~競馬余話~
有吉 正徳/ありよし まさのり
3月10日に阪神競馬場で行われた桜花賞トライアルの第53回フィリーズレビューは1着同着となった。優勝を分け合ったのは12番人気のノーワンと3番人気のプールヴィルだ。中央競馬の重賞レースで1着同着が記録されたのは、これが10度目だったと筆者。1955年のクモハタ記念(廃止)でヨシフサとマサハタが同着になったのを皮切りに、1961年の日本経済新春杯(現日経新春杯)でタイカンとキオーガンヒカリが同時にゴールし、1976年の愛知杯(ハードラークとトウカンタケシバ)、1979年の福島記念(ファニーバードとマイエルフ)、1988年の阪神大賞典(タマモクロスとダイナカーペンター)、1997年の平安S(シンコウウインディとトーヨーシアトル(USA))、2002年の京成杯(ヤマニンセラフィムとローマンエンパイア)、2007年の阪急杯(エイシンドーバー(USA)とプリサイスマシーン)と続いた。2010年のオークスはアパパネとサンテミリオンが優勝を分け合い、過去のクラシック、8大レースも含め、史上初めてG1レースでの1着同着が実現した。1874(明治7)年にハンガリーで生まれた牝馬キンツェムは5歳まで走り、生涯54戦54勝というパーフェクトな成績を残した。そのキンツェムが危うく負けそうになったレースがある。1878年のドイツ・バーデン大賞で、ゴール前、プリンスジャイルズという馬が猛然と追い込んできて、並んで入線。同着と判定された。当時のルールで2頭は再戦を行った。再戦ではキンツェムが5馬身差をつけて快勝し、実力を見せつけた。アパパネといい、キンツェムといい、もし1着同着がなければ、名馬としての価値は半減していただろうと筆者。
第109回は「柴田未崎騎手 変わらぬ実直さと新たな顔 ~失ったからこそ、再び手にしたからこそ~」
ホソジュンのウマなりトーク
細江 純子/ほそえ じゅんこ
先日、関西の元女性騎手3人で食事をした筆者。1つ下の13期生だった押田純子ちゃんは清水調教師の奥さんとなり今や3児の母。16期生だった西原玲奈ちゃんは、調教助手として働き、3年前に持ち乗り助手の旦那さんと結婚。今は主婦業もしながら、梅田調教師の右腕となって厩舎を支えている。そんな3人の共通の話題となったのは、先月の小倉競馬1700メートルのダート未勝利戦をスナイプで勝利した柴田未崎騎手の話。というのも、スナイプの管理調教師は清水調教師。また普段、玲奈ちゃんが所属する梅田厩舎の調教を未崎騎手が手伝っていること、そして私の12期生の同期でもあることから、3人が口を揃えて、「ほんとに良かったね」と。
未崎騎手といえば、柴田大知騎手と双子の兄弟ジョッキーとして1996年に美浦所属でデビュー、その15年後の2011年に騎手を引退。その後、美浦の斎藤誠厩舎で調教助手として働きますが、2013年に騎手免許試験を再度受験し、2014年から再デビュー、復帰後の3年振りの初勝利での感涙は印象的だったと筆者。2015年9月からは、栗東を拠点としての生活、今回も久々に手にした勝利に、「乗せてもらえて感謝しかない。ほんとに、ありがたくて」と。失ったからこそ、気づけたこと。そして再び手にしたからこそ、大事にしたいこと。未崎騎手は変わらない実直さに加え、以前とは違う新しい顔を持つと筆者。
第124回は『ホースメッセ Part II 』北海道馬産地ファイターズ
村本 浩平/むらもと こうへい
第3回ホースメッセが開催されていた、横浜港警察署(横浜赤レンガ倉庫1号館です)の捜査課(社台スタリオンステーションブースです)に、軽やかなステップで向かったムラとコウ(村本浩平です)。そのブースでは「社台スタリオンステーション」という存在を、競馬を全く知らない人に伝える取り組みが行われていた。その一つがアンケートである。アンケートには競馬との関わりなどを記入する欄だけでなく、社台スタリオンステーションからどのような形式で、情報を発信していくべきかについての質問も書かれていた。今回取材に来た最大の理由は、社台スタリオンステーションの筒井裕司主任と、ホースクリニシャンで、カウボーイアップランチの代表でもある宮田朋典氏のトークショーであると筆者。競馬ファンがほとんどいない会場で、一般的認知度の高いであろう、2頭のスターホース種牡馬、ディープインパクトとキタサンブラックを取り上げたことは効果的で、「種牡馬」としての2頭の姿を、分かりやすく説明した素晴らしいトークショーだったと筆者。(詳しいトークショーの内容については、EQUUSONLINE(https://www.equus.co.jp/)
第124回は『夕刊便』馬ミシュラン
小山内 完友/おさない ひろとも
2月上旬、1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の競馬新聞前日(金曜、土曜の午後)配送地域が縮小された。実は1月に北関東4県(茨城県、栃木県、群馬県、山梨県)の配送地域が大幅に縮小されたばかりだった。それによって北関東の多くの地域で競馬新聞が前日に届かなくなっていて、それに追い打ちをかける格好だ。配送経費と比較して合わなくなってきているからに他ならない。我々版元にとってこれは大損害である。2月の1都3県の縮小は大ダメージである。なにせ東京都約170店舗、神奈川県約260店舗、千葉県約690店舗、そして埼玉県約960店舗。合計約2,000店舗以上の売店が前日配送されなくなるのだ。ざっくり毎週4,000部減ったと勘定すると、もう立っていられないぐらい眩暈がすると筆者。ただし、北海道・東北・信越方面はこれまで通り前日配送されている。代替手段として今イチオシなのが、コンビニプリントである。コンビニエンスストアにあるマルチコピー機で、競馬新聞が購入できるのである。スタートは地方版で数年前から徐々に部数を伸ばしてきていて、中央版もスタートさせていると筆者。商品としてみればまだまだ改善の余地は多いのだが、冊子的な使い方も出来、可搬性も高く、電源や通信が必要ないだけに、在宅だけでなく、競馬場、場外のファンにも広がれば、と思っていると筆者。
協会会議
2019(平成31)年度通常総会
河野会長挨拶(要旨)
第2回河野洋平賞は田上徹氏が受賞
役員・顧問一覧
トピックス
・JBBA2018年(第40期)生産育成技術者研修修了式
・BOKUJOB「牧場で働こう」見学会 in 関東2019レポート
・2018年北海道2歳優駿(Jpn3)の競走成績修正後の各種成績・ランキング
生産対策関連
・2歳未売却馬実態調査(2017年生産馬)
海外流通促進
・海外競馬で活躍中の日本産馬(市場取引馬)
地方競馬ニュース
・2018年地方競馬開催の概況(1月~12月)
・第20回JBCは大井競馬場で開催 新たに2歳カテゴリーを創設
・2019年2月・地方競馬場の売り上げ
・2019年度ホッカイドウ競馬スタリオンシリーズ競走
・2019年度ホッカイドウ競馬重賞競走日程
生産関連ランキング
・2019年3月各種ランキング
・2018年2歳・ファーストクロップサイアーズランキング(再掲)
From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター
レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)
The First Win
JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2019.2.14 ~ 2019.3.21)
表紙
・第66回毎日杯(G3)優勝 ランスオブプラーナ
・JBBA種牡馬ケープブランコ(IRE)産駒 ランスオブプラーナ
・2019年度 千葉サラブレッドセールポスター
・2019年度 北海道市場ポスター
カラーグラビア
・live.jbis.or.jp JRAブリーズアップセール生中継
・JBIS for Tablet
JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc
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