JBBA NEWS
2019年2月号(VOL.553)
最新の第290便は 5GとかRTとか 烏森発牧場行き
吉川 良/よしかわ まこと
60歳を過ぎたころから、自分だけの行事が二つ生まれた。ひとつは、3月10日か11日に、東京の葛飾区小菅あたりを歩きに行き、食堂を見つけてビールをのむ。私は8歳のとき、小菅にある東京拘置所のすぐ近くの、伯母の家にあずけられていた。戦争で疎開をし、その成り行きである。1945(昭和20)年3月10日、B29爆撃機約110機の空襲で空が赤くなり、伯母の家の近くの防空壕でそれを見ていた。夜が明け、私は伯母の家に戻らず、うろうろ、うろうろ、ほとんど一日、歩きまわり、たくさんの死体を見た。年齢を重ねるうち、だんだんと、その一日の記憶が、自分の人生の原風景となってきて、還暦の記念という気分で小菅を歩きに行き、それから私の行事になった。もうひとつは、年の瀬に、自分が生まれ育った東京の千代田区神田紺屋町あたりを歩きまわり、その辺の店で酒をのむことだ。(中略)。1月6日の午前、ウインズ横浜に近いコーヒーショップにいた。私と相席のカネダさんは74歳。去年の夏までは個人タクシーを営んでいたが、体調を崩して廃業した。「ゴジイって、何?」スポーツ紙から目をはなしてカネダさんが私に聞いた。「ゴジイ?」「数字の5に英語のG。5G」「ああ、5Gか。何だか、わからない」「記事を書く仕事をしてるのに知らないのかい」「まったく、わからない」そう言う私に、「ダメだコリャ」とカネダさんはつぶやいた。(略)
第95回は「豊作」 第5コーナー ~競馬余話~
有吉 正徳/ありよし まさのり
2018年12月23日に行われた第63回有馬記念は3歳のブラストワンピース(牡、美浦・大竹正博厩舎)が優勝した。16頭の出走馬の中でブラストワンピースは唯一の3歳馬だった。1頭だけ出走した3歳馬が有馬記念を制したのは、1975年のイシノアラシ、2016年のサトノダイヤモンドに続く3度目のケースになった。2018年は2015年に生まれた「3歳馬の年」になったと筆者。現在、JRAの平地G1で出走条件が「3歳以上」なのは9レースで、日付順に安田記念、宝塚記念、スプリンターズS、天皇賞・秋、エリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップ、ジャパンカップ、チャンピオンズカップ、有馬記念。3歳馬が一連のG1レースで年間4勝を挙げたのは史上初めての快挙だったと筆者。
1999年生まれと2008年生まれの2世代はそれぞれJRAの平地重賞で97勝、94勝という数字を残している。1999年組のダービー馬タニノギムレットはダービーを最後に現役を引退してしまったが、同レースで2着だったシンボリクリスエス(USA)が他の世代を相手に天皇賞・秋と有馬記念で2連覇を果たすなど大活躍。46頭が重賞勝ちを収めた。ワインの世界でぶどうの出来がいい年をビンテージイヤーと呼ぶそうだ。サラブレッドにもビンテージイヤー、当たり年があるとしたら、日本では1999年産だ。2015年産がどこまで1999年産に近づけるか、そして追い越せるのか。じっくりと観察したいと筆者。
第107回は 女性騎手に関する取材 ~これまで、そしてこれから~
ホソジュンのウマなりトーク
細江 純子/ほそえ じゅんこ
先日、女性騎手の物語を書きたいので、当時のことなど、取材に応じて頂けませんか?との問い合わせを受けた筆者。このような依頼は今までも少なからずあり、引退直後の数年間は自分自身の気持ちの整理がつかないまま取材を受け、その後の1~2日間は気持ちが落ち込むことも多かったと筆者。引退直後、母に言われた「あなたはJRAによって騎手にさせてもらえのだから、別の形であれ恩返しをすべき」との言葉もあり、なるべく引き受けてきたと筆者。確かに女性騎手としてデビューさせてもらえたにもかかわらず、わずか数年での引退は申し訳なく思うとともに、女性騎手の門戸を閉ざしてしまう形にもなってしまい、心のどこかで負い目を感じながら過ごしてきたところもあったと筆者。女性騎手の減量制度の変更が発表され、「ホソエさん、この点についてどうお考えですか?」「コメントをお願いします」との問い合わせが数件入ったが、この件は、競馬に関係する女性という枠だけではおさまらない問題も含んでおり、また、世界各国のトップジョッキーたちが短期免許で来日し、JRA生え抜きの騎手を取り巻く環境も年々厳しさを増しており、ジェンダーという側面だけでは判断できない状況にもあり、その旨を伝え、初めてコメントを断ったと筆者。
第122回は『BNN(馬産地ニュースネットワーク)』北海道馬産地ファイターズ
村本 浩平/むらもと こうへい
いきなりだが、これをお読みの皆さんは、「競走馬のふるさと案内所」のホームページをご存じだろうか?ページを開くと、まず目に飛び込んでくるのが、「あの名馬は今~馬産地からお届け~」と書かれた画面で特集ページのコンテンツギャラリーの紹介となっている。更に画面を下にスクロールすると、絞り込みと書かれた右側から、「すべて」「馬産地ニュース」「重賞ウイナーレポート」「馬産地コラム」と表記されおり、その文字の下には主に「馬産地ニュース」や「重賞ウイナーレポート」へのリンク先が載っているかと思うが、今回、注目していただきたいのはここであると筆者。手前味噌で申し訳無いが、この「馬産地ニュース」や「重賞ウイナーレポート」は、筆者も執筆をさせていただいている。
このコラムの速報性とスクープを可能にしているのは、ひとえに執筆者の勤勉さであり、そして、様々な情報を提供してくれる、牧場関係者の皆さんの協力に他ならない。重要性が高いと判断されたニュースは情報を得た人間から、執筆者の多くにその内容が一斉配信される。それはまさに、BNN(馬産地ニュースネットワーク)と言えると筆者。いつしか、BNNが「馬産地界の共同通信」となり、数年後には世界からも注目を集めるようになった日本生産界の情報を「競走馬のふるさと案内所」が発信するようになるかもしれないと筆者。
第122回は『NARグランプリ 2018』馬ミシュラン
小山内 完友/おさない ひろとも
1月16日、「NAR GRANDPRIX2018」の各優秀馬が発表された。今年の選定委員会は1月10日、地方競馬全国協会に於いて行われた。我々専門紙協会推薦の2名は、委員会の前日、東京に集まり各地の意見を聞く会議を開催している。今年の選考の最大のヤマ場は最初にやってきた。2歳最優秀牡馬・せん馬である。候補馬は10頭だが、ほぼ3頭に絞られていた。コスモス賞に勝ち、札幌2歳ステークス(G3)2着のナイママ(北海道→川崎)、そして北海道2歳優駿(Jpn3)の1、2着ウィンターフェル(北海道→現船橋)とイグナシオドーロ(北海道→川崎)。起こったことについては皆さんご存知の通り。それをどう評価するか各委員も筆者も頭を悩ませてきた。会議の流れを変えたきっかけは「着順変更の可能性」を示唆されたことが大きい。仮に変わった場合、ウィンターフェルは北海道2歳優駿(Jpn3)2着で、おもな勝ち鞍はウイナーズチャレンジ、ターフチャレンジになる。レーティングは着順に関係なく、イグナシオドーロ103、ウィンターフェル102。この結果が将来に残ることも考えると、会議の講評にもあったように「パフォーマンスを重視して」筆者はイグナシオドーロを選んだ。イグナシオドーロ10票、保留1、棄権1という結果が、各委員の胸の内の苦しさを表していた。ある委員からの「ブラックタイプが付くか付かないで、馬の人生が変わる」という意見が印象に残った。イグナシオドーロの父ヴィットリオドーロ(USA)にも、正当な評価を与えたいと意見であり、そういう意味でもこれで良かったのではないかと、個人的には思っていると筆者。
繁殖牝馬セール成績
・2019年ジェイエス冬季繁殖馬セール
海外情報
2018 | 北米サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・2歳・ブルードメアサイアー |
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2018 | 英愛サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・2歳・ブルードメアサイアー |
2018 | 仏サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・2歳・ブルードメアサイアー |
2018 | 独サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・ブルードメアサイアー |
トピックス
・2018年度JRA賞
・NARグランプリ2018/2018年ダートグレード競走特別賞
・2018年度JRA生産者団体表彰成績
・2017年軽種馬の全国農業産出額は478億円
・2019年サラブレッドせり市場日程
・2019年世界のせり日程
・2018年JRA外国産馬の競走成績
・2018年トレーニングセール取引馬の2歳競走成績
・JBBA種牡馬展示会のお知らせ
海外流通促進
・海外競馬で活躍中の日本産馬(市場取引馬)
地方競馬ニュース
・地方競馬場別サイアーズランキング 2018年1月~12月
・2018年12月・地方競馬場の売り上げ
生産関連ランキング
・2018年の各種ランキング
・2019年1月各種ランキング
From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター
レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)
The First Win
JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2018.12.8 ~ 2019.1.11)
表紙
・第36回東海テレビ杯東海S(G2)優勝 インティ
・JBBA種牡馬ケイムホーム(USA)産駒 インティ
・JBBA新種牡馬デクラレーションオブウォー(USA)紹介
・2019年JBBAサラブレッド種牡馬配置表
JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc
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