JBBA NEWS

2018年12月号(VOL.551)

最新の第288便は ちまちま 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 JR桜木町駅に近いコーヒーショップで競馬新聞を読んでいると、「ここ、いいですか」と若い男が私と相席になった。小さなテーブルをはさんで彼も、競馬新聞を持っている。このひと、誰かに似ている。ずいぶん、似ている。そう、ジャニーズのグループ、嵐の二宮和也に顔も体型も似ている。「まさか、あなたは、嵐のニノじゃないよね」コーヒーを買ってきた彼に私が笑いかけた。「ときどき、似てるって言われる」そう言って彼は、「はたらいてる工場でも先輩が、ぼくをニノミヤくんなんて呼んだりするんですよ」と笑顔になった。「これから、ウインズ?」「ハイ、ほんとうは福島へ行きたかったんだけど、ちょっと金かかるし、横浜でガマン」「どうして福島へ行きたかったの?」「ノルマンディーというクラブに入ってて、今日の福島11Rに、自分の出資馬のカルヴァリオが走るんですよ」(中略)カルヴァリオが勝ったのだ。2着がアマルフィコースト。えっ?そうすると、おれの馬単も当たっているのだと、私はうれしくてニノミヤくんの背中をド突いてしまった。私はニノミヤくんと、伊勢佐木町へ抜ける吉田町通りのカフェバーへと歩いた。こんな日が、人生のうれしい日というのだよ、と私は心のなかで誰かに言っている。「カルヴァリオの単勝を2千円買ったけど、やっぱり、1万円ぐらいは買えなければな」と大岡川の橋を渡りながらの、ニノミヤくんのひとりごとだ。「おれ、競馬のことを文章にしてきたんだ」とカウンターでニノミヤくんとビールで乾杯してから、私は自己紹介をした。(略)

第93回は「悲願」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 11月11日に京都競馬場で行われた第43回エリザベス女王杯はリスグラシュー(牝4歳、栗東・矢作芳人厩舎)が優勝し、ついにG1タイトルを手にした。チャレンジすること8戦目での悲願達成となった。リスグラシューは2014年1月18日、北海道ノーザンファームで父ハーツクライ、母リリサイド(FR)との間に生まれた。G1初挑戦は2歳女王を決める阪神ジュベナイルフィリーズだった。メンバー中最速の上がりで最後をまとめたものの、1番人気のソウルスターリングに1馬身4分の1及ばず2着に終わった。これがG1での苦戦の始まりだった。桜花賞2着、オークス5着、秋華賞2着、エリザベス女王杯8着。善戦はするのだが、あと一歩が足りなかった。4歳になったリスグラシューに少し変化が見られた。輸送をすると体重を落とすなど牝馬ならではの繊細さが弱点になっていたが、その弱点は徐々に解消されていたと筆者。そして迎えた2度目のエリザベス女王杯、パドックでははち切れんばかりの体を披露し、最後の直線では、ただ1頭抜群の末脚を繰り出し、G1勝利の壁をようやく乗り越えた。リスグラシューはまた母の無念も晴らしたかっこうだと筆者。母リリサイドも2010年5月16日、パリロンシャン競馬場の仏1000ギニーのプールデッセプーリッシュにおいて先頭でゴールしたものの6着に降着となり、G1勝利はならなかった。つまり母娘2代にわたる不運を打破したのだと筆者。

第105回は「進化し続けるC.ルメール騎手 ~年齢と経験を重ねた上で広がりを持てるか~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 この秋のG1レースにおけるクリストフ・ルメール騎手の活躍には、凄まじいものがあると筆者。よくぞ追い出しをあそこまで我慢できるなぁ~と思うレースでの勝因もあれば、逆に掛かりそうな馬でも果敢にポジションを取りにいった上で見事な折り合いをつけての勝利、はたまた狙いを定めたレース運びの末、ゴール手前でライバルをしとめる形など、実に多種多様な手綱捌き。4週連続G1勝利となったJBCスプリント後は、「ルメールやばすぎ」とジョッキールームから声が飛び交ったという。「なぜ大舞台で、あそこまで追い出しのタイミングを我慢できるのか?」という質問をルメール騎手に投げかけると、「それは、ラスト1ハロンまで追わない形も多いイギリスやフランス競馬での経験が活きている」と説明。また「日本の競馬はゲートを開けてみないと、スロー・ミドル・ハイペースのどれになるのか分からないところがあり、求められる臨機応変さが、海外で活かされることもある」とのこと、結局のところは、全て経験ということだと感じたと筆者。
 今、競馬界で魅了ということではトップに君臨するのは牝馬アーモンドアイ。ジャパンカップで見せた破格のタイムもさることながら、年齢とレースを重ねた中で、冷静さを増し、折り合い面の難しさが解消されているあたりに、厩舎と牧場の両陣営、そしてジョッキーの素晴しさを感じると筆者。人も馬も大事なことは、年齢と経験を重ねた上で広がりを持てるかどうか?ではと筆者。

第120回は『リアル「馬産地ファイターズ」の夜に』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 11月1日、今年最後の交流重賞である北海道2歳優駿が行われた門別競馬場にイベントのゲストとして呼ばれた筆者。予想ステージのゲストは、元日本ハムファイターズの稲田直人選手とファイターズファンを公言している筆者だった。また、胆振東部地震の復興支援競走として行われた「門別グランシャリオジョッキーズ」には、G1で3連勝のC・ルメール騎手、地方競馬通算最多勝記録となる7,152勝を達成した的場文男騎手も顔を見せていた。稲田さんは全くの競馬初心者ということで、新聞などで目に付いた馬をピックアップ、その馬の競走成績や血統などのバックボーンを記者が説明、筆者が違った観点から予想をしていくという流れになった。稲田さんは、◎○▲といった印を自ら予想の通りに書き記し、自分の印通りの三連単と三連複も購入していた。筆者も稲田さんと同じように◎→○→▲△の印通りに流す三連単を購入してみたという。レースはイグナシオドーロとウィンターフェルが、最後の直線で馬体を合わせての大接戦。着順で1着に掲示されたのはウィンターフェル。その瞬間、場内にはどよめきも起こったという。次の日の誤審の報道を見て、やっぱりかと思ったと筆者。その時に払い戻された10,650円は、まだ財布の中にあると筆者。

第120回は『平成最後のJBC』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 11月4日、17回目のJBCが行われた。今回の開催地は京都競馬場。JBC初となる中央競馬主催のレースとして行われた。京都開催決定の際、地方競馬全国協会は「JBCの永続的な発展を図りたい。JRAのファンには地方競馬にもっと目を向けてほしい。連携を進めるためにも主催者の総意でJRAでの開催をお願いした」と説明している。額面通りに受け止めれば、JBCは、当時売り上げ不振で存廃の危機に瀕していた地方競馬の窮状を打破し、競馬全体の発展を図るためにダートのチャンピオンデーを生産者が主体となって設けた、さらに、JBCが永続的な発展をするために、もっと地方競馬に目を向けてもらうためにJRAでの開催を行ったということになると筆者。
 今回、スプリントが39億3,487万4,700円、クラシックが75億2,690万4,700円、レディスクラシックが42億6,908万9,200円。JBC3競走でトータル157億3,086万8,600円を売上げたが、この秋の菊花賞、天皇賞・秋がいずれも180億円台と好調。JBC3競走いずれも好メンバーが揃っただけに、仮に3週に分けて開催すればもっと売れただろうし、成功か失敗かは関わり方によって違うので何とも言えないと筆者。新元号最初のJBCは浦和競馬場で行われる。「肩が触れ合う程度で、新聞が楽に読める」くらいの混雑率なら「永続的な発展」に寄与するものと思われ、結局ファンが楽しめたかどうか、そこしかないと筆者。

協会会議

・2018(平成30)年度JBBA/JRA生産等に関する協議会

海外ステークスウイナーズ

BCクラシック 西海岸 G1 4連勝Accelerate1人気に応える '19 米レインズエンドで供用($20,000)
BCディスタフ 1人気3牝 Monomoy Girl 余裕でG1 5勝目
BCダートマイル 2人気4牡 City of Light 逃切りでG1 3勝目 '19 米レインズエンドで供用($35,000)
BCジュヴェナイル G1連勝1人気 Game Winner 発馬不利克服
BCジュヴェナイルフィリーズ 4人気 Jaywalk 前走 G1 に続き逃げ圧勝7人気
BCジュヴェナイルフィリーズターフ オッズオン1人気 Newspaperofrecord 前2走同様6馬身差以上で楽勝
BCマイル 2人気 3牡英調教Expert Eye初 G1制覇 英で種牡馬(£20,000)
BCフィリー&メアターフ 2人気 Sistercharlie(今季米で G1 3勝、'17 仏オークス2着)が英仏 G1 連勝
アスコットヴェイルS 豪春季最高賞金3歳スプリントG1、Fairy King系新種牡馬 Zoustar 産駒1-3着独占

トピックス

・2018年 軽種馬後継者研修報告
・第20回獣医師生涯研修のご案内

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

生産対策関連

・2018(平成30)年度JBBA/JRA生産等に関する協議会 協議結果の概要

海外流通促進

・海外競馬で活躍中の日本産馬(市場取引馬)

地方競馬ニュース

2018年10月・地方競馬場の売り上げ
2019(平成31)年 地方競馬開催日程(1月~3月)
地方競馬所属別在籍頭数(2018年11月1日現在)

生産関連ランキング

・2018年11月各種ランキング
・注目の2018年ファーストクロップサイアーズランキング掲載

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2018.10.20 ~ 11.13)

2018総索引  2018 JBBA NEWS 総索引

カラーグラビア

・アイビーS(L) バゴ(FR)産駒 クロノジェネシス
・福島2歳S(OP) ヨハネスブルグ(USA)産駒 ジャカランダシティ
・観月橋S(1600万) ケイムホーム(USA)産駒 インティ
・2018年生産全国馬名簿

表紙

・JBBA新種牡馬デクラレーションオブウォー(USA)
・デクラレーションオブウォー(USA)紹介
・デクラレーションオブウォー(USA)5代血統表
・2019JBBAサラブレッド種牡馬配置表

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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