JBBA NEWS

2018年8月号(VOL.547)

最新の第284便は どうして? 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 1983(昭和58)年5月のこと、東京の港区六本木の交差点ですれちがった常盤新平さん(翻訳家。1986年に「遠いアメリカ」で直木賞受賞)が、いい時に会ったと足を止めた。今夜、この近くで、社台ファームのアンバーシャダイの春の天皇賞を勝った祝いの会があり、招かれているのだが、急用が発生して行けなくなり、社台の人に電話しておくから、代わりに出席してほしいと常盤さんが言うのである。代理でいいのかなと思いながら、面白そうだなと思い、あつかましいかなとも感じつつ、ビルの地下の、ピアノがあるサロンへ行った。10数人の集まりだった。社台ファーム社長の吉田善哉さんがいて、その両どなりの席が空いていて、私はそこに案内された。あとで知ったが、ボスのとなりを、誰もが敬遠していたのだった。(中略)長い年月、会員が何人かで作るグループに出席したり、会員たちとの手紙のやりとりが続いたり、年に三度の牧場ツアーの夜に苫小牧で酒をのんだり、競馬場やウインズで会ったりと、無数の会員たちとのつきあいが生まれた。人は当然、老いて、衰えたり病魔におそわれたりして、人生を閉じる。すると故人の家族の誰かしらが、「お願いがあるんですけど」と私に電話をしてくることが多い。どうして故人があんなにも競馬が好きだったのか、通夜での弔辞か、告別式のあとの食事のときとか、親類の人たちとかに、うまく伝えてもらえないだろうか、という頼みなのである。(略)

第89回は「単勝」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 7月22日に今夏の福島競馬が終わった。もっとも注目を集めたのは7月7日に行われた開成山特別だった。現役最強の障害馬オジュウチョウサン(牡7歳、美浦・和田正一郎厩舎)が4年8か月ぶりに平地レースに参戦したからだ。2016年4月16日、中山グランドジャンプを制した以降、オジュウチョウサンは不敗の白星街道を歩み続け、重賞ばかり9連勝。丸2年間負け知らずできた。長山尚義オーナーは平地再挑戦の理由を「有馬記念に出走させたいと思ったのです」と語る。最低でも平地で1勝しないことには有馬記念出走は夢のまた夢となってしまう。そのため芝2600メートルとスタミナが要求される長距離レース「開成山特別」が選ばれた。今回の件で一番驚いたのは、オジュウチョウサンの「集票力」だったと筆者。開成山特別で売れたオジュウチョウサンの単勝は5,073万8,100円で、夏の福島8日間、96レースで出走した延べ1,384頭の中で、3番目の高い数字となった。単勝の売り上げは人気のバロメーターだ。私案だが、有馬記念や宝塚記念のファン投票に過去1年間の単勝の売り上げもポイントとして加えれば、より正確に出てほしい馬が分かるのではないだろうかと筆者。

第101回は「オジュウチョウサンの挑戦 ~ファンの求める競馬を示唆するかのよう~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 この夏、最も注目を集めたのは福島競馬で平地競走に出走したオジュウチョウサン。当日の競馬場はグッズを求めて長蛇の列となり、前年比138%超えとなる1万4千人以上のファンが詰め掛けての一戦になり、その光景と現実に、(え?こんなに人気があったの?注目されていたの?)と、驚きと同時に、勝ち負け、配当、売り上げが中心の昨今の競馬において、こういった歩みや話題を皆が心待ちにしてところもあるのかと感じ、心温まる思いにもなったと筆者。オジュウチョウサンは、7歳にして平地初勝利を挙げたのだが、障害馬へ転向しなかったらこの1勝はなく、耳メンコをとった方がいいと石神騎手がオジュウチョウサンの心理面に気づかなければ5つの障害GⅠ勝利も成しえなかったことで、人と馬が根気強く対話をし、歩んだからこそ繋がった道のりだと筆者は言う。グラスワンダー(USA)を育てた尾形充元調教師に当時の話を伺ったところ、「あの時代は、レースの瞬間だけの勝ち負けではなく、そこに至るまでの勝負師としての視点や、携わる人々の心理面を読んでの采配、そしてお互いが敬意を払いながら、それぞれの持ち場でベストを尽くしてきたのだ」という。競馬全体の魅力を感じ、感慨深いものがあったと筆者。

第116回は『馬の聖地』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 ライターになって間も無い20代前半の頃、先輩の競馬ライターと一緒にアメリカへトレーニングセールの取材に行き、1週間ほど、生まれて初めての海外旅行&海外取材を経験した。いつしかパスポートも失効し、プライベートで海外に行くこともなく過ごしてきたが、ホースマンたちが、海外に研修に出かけて来た話を聞くと、羨ましいと思う自分がいた。最近は海外ロケの番組が増えてフランケルのようなトップサイアーの姿を見ると、画面越しにも日本で活躍する産駒たちとの共通点を探し出すようになっていた。また、そこで働いているスタッフたちの仕事ぶりにも目を凝らすようにもなり、管理されている種牡馬や繁殖牝馬が食べている飼い葉の中身も知りたいし、普段、スタッフが仕事で使っている道具までも映像で見てみたいと思う。ここまで来ると、自分は「馬オタク」というよりも「馬仕事オタク」なのではという気もしてくると筆者。今年に入ってから日本生産馬、あるいは、日本で供用された種牡馬の産駒の活躍が目覚しい。イギリスではディープインパクト産駒のSaxon Warrior(JPN)が英2000ギニーを、フランスではStudy of Man(IRE)が仏ダービーを優勝。ハーツクライ産駒Yoshida(JPN)は、アメリカターフクラシックSを優勝した。ある牧場の主任の「今の日本馬が結果を残しているのは血統だけでなく、そこで働いているホースマンのレベルも上がっているからだと思っている。研修とまではいかなくても、それを見に来てくれてもいいのにね」「ゆくゆくは日本の馬産地が、海外のホースマンにとってのケンタッキーのような『馬の聖地』となってくれるのが理想かな。」との言葉を聞いて、自分も時間を見つけてこの牧場へ研修に行くべきなのではと思ったと筆者。

第116回は『マトメーター』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 「マトメーター」というのを聞いたことがあるだろうか。正式名称「MATO-METER」という、的場文男騎手の地方競馬通算7,000勝までのカウントダウンを大井競馬場の正門前に掲示していたものである。2017年5月17日、川崎競馬場の川崎マイラーズをリアライズリンクスで制し、地方競馬通算7,000勝を達成。初代は一旦お役御免となったが、佐々木竹見元騎手が持つ地方競馬通算7,151勝の記録更新が迫り、再び「MATO-METER2」として、現在、大井競馬場の正門内に掲示されている。地方競馬通算7,000勝達成から約10か月後の今年3月15日に地方競馬通算7,100勝を達成。月20勝ペースなら7月ぐらいには7,152勝の記録達成間違いなしと思われたが、好事魔多しというか、6月15日の川崎競馬第2競走で落馬し、左膝下を20針縫う負傷をし、しばらく療養のため休むことを余儀なくされた。しかし、23日後の7月8日から始まった大井開催で復帰。本稿執筆時点で地方競馬通算7,145勝、7,152勝まであと7勝に迫っていると筆者。地元で記録達成を狙うのであれば7月30日からの開催か、その次となるとお盆開催になる。いずれにせよ東京ダービーを勝つまでは辞めないと思われるので、さらなる記録更新は確実。同時に終わりのない取材の始まりでもある(笑)と筆者。

せり市場成績

セレクトセール サラ1歳・当歳
北海道セレクションセール サラ1歳
八戸市場 サラ1歳

海外ステークスウイナーズ

愛ダービー 英2冠馬 Camelot 初産駒 Latrobe 優勝で Montjeu 系父子3代制覇
パリ大賞 1人気 Kew Gardens 英ダービー9着後ロイヤルアスコット GⅡ から連勝
独ダービー 2人気 Weltstar が2年連続兄弟制覇達成
エクリプスS 英ダービー3着1人気 Roaring Lion が 同4着2人気 Saxon Warrior 下し2歳時Rポストトロフィ GⅠ の借り返す
ジャンプラ賞 仏ダービー馬 Intello 初産駒 5人気 Intellogent 父に初 GⅠ 贈る
ベルモントダービー 3人気 Catholic Boy 同コース芝 GⅢ から連勝, 2歳時はBCJターフ GⅠ 4着後ダートのレムゼンS GⅡ 勝ち

トピックス

2019年(第41期)生産育成技術者研修生募集案内
JBBA 馬伝染性子宮炎(CEM)PCR検査法の検体の採材法と治療法の講習会を開催

海外流通促進

海外競馬で活躍中の日本産馬(市場取引馬)

種牡馬事業

STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

2018年6月・地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

2018年7月各種ランキング
2018年ファーストクロップサイアーランキング掲載

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2018.6.22 ~ 2018.7.23)

カラーグラビア

JBIS for Tablet

表紙

JBBA種牡馬エスケンデレヤ(USA)
JBBA種牡馬エスケンデレヤ(USA) 注目の初年度産駒 北海道セレクションセールにおいて高価格で取引!
北海道サマープレミアムセール
北海道市場サマーセール

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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