JBBA NEWS

2018年7月号(VOL.546)

最新の第283便は ヌマさんのなみだ 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 5月の初めだったか、晴れた日の夕方、ピンポーンと玄関が鳴って出てみると、植木屋のヌマさんが笑い顔で立っていた。七十歳。まだ元気に仕事している。私とはウインズ横浜の古い仲間で、去年の暮れには、私の家の小さな庭もやってもらった。横浜の戸塚の造園会社に勤めている。「こっちに現場があってさ、帰り道に通りかかったもんで寄らしてもらった。急で悪いと思ったけど、顔見て行こうかなって」(中略)6月3日、安田記念の日の夜、ヌマさんが電話をしてきて、アタっちゃったの、安田記念。それも馬単。たまげた。500円だけど、1万5,290円ついたから、気が変になった。たまげた。頭も身体もシビれた」と言うのだ。「よく買えたね、モズアスコット。凄い」「GIレースでルメールがさ、人気のない馬に乗るなんてあんまりないことだから、それが穴だって思ったわけさ」「そう思ったのが凄いよ。ほんと、その発想、凄いよ」「相談があるの」「何?」「ほら、よく、大レースを勝ったらホテルでパーティーとかやるって話を聞くけど、あのさ、わたしの穴馬券なんて、そういう人たちからしたらチッポケなことかもしれないけど、わたしにしたら大事件で、馬の仲間で乾杯をしたいって思ったわけなんだ」「いいね、いいね」「でね、リョウさんにも来てほしいわけよ。うちの近くの居酒屋で、わたしのおごりで、わたしにしたらパーティーをしたいの」(略)

第88回は「19回」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 5月27日に行われた東京優駿(日本ダービー)では、5番人気のワグネリアンが優勝し、第85代ダービー馬になると同時に、手綱を取った福永祐一騎手(41)が68人目の「ダービージョッキー」になった。1996年にデビューした福永騎手は3年目の1998年にダービー初騎乗を果たした。コンビを組んだのはキングヘイロー、しかし結果は14着。福永騎手の初めてのダービーは悔しいものとなり、ワグネリアンでの初優勝まで19回の騎乗を重ね、これは1993年にウイニングチケットで優勝した柴田政人騎手と並ぶ初勝利までの最多騎乗記録となったと筆者。福永騎手の父洋一氏は数々の名騎乗により「天才騎手」と呼ばれた。その洋一氏は落馬事故で騎手引退に追い込まれた。この天才騎手はダービーと縁がなく、ダービー制覇は親子2代にわたる「福永家の悲願」だったと筆者。
 かつて中央競馬で華麗なテクニックを披露し、「ミスター競馬」と呼ばれたのが野平祐二騎手である。その野平騎手もついに日本ダービーを勝つことができなかった。挑戦すること25回。1度4着になったことがあるだけで、残る24回はいずれも6着以下という結果だった。今年の日本ダービーで蛯名正義騎手も野平祐二騎手と並ぶ25回目のダービー出場で初優勝を狙っていたが7着、蛯名騎手の悲願は来年に持ち越されたと筆者。

第100回は「2018上半期を振り返って ~競馬学校12期生それぞれの活躍~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 2018年上半期の競馬を振り返ると最も印象深かったのは宝塚記念のミッキーロケットだったと筆者は言う。鞍上の和田竜二騎手は競馬学校同期生、人一倍の努力家で、わずかな休み時間さえもトレーニングに時間を費やし、その姿に私たち同期は感化されたほどだったという。デビュー後、直ぐにテイエムオペラオーとの出会いがあり数々のGⅠ勝利をおさめたのち、17年あいての今回。「テイエムオペラオーの時は自分が若すぎた。今の自分ならば、もっと出来た事があったのに、あの時はオペラオーにふさわしい騎手になろうと必死で…。だからこそ、あの経験を生かせるようにしていきたい」と常々話していた和田騎手。そんな和田騎手の勝利を誰よりも嬉しそうにウイナーズサークルで喜んでいたのが、同期の常石勝義元騎手。2度の大きな落馬事故で、高次脳機能障害と左半身麻痺となり、騎手を引退。生死をさ迷うほどの大怪我から驚異的な回復を見せた常石君ですが、当初は左足をひきずりながら歩く姿が…。2014年から乗馬に取り組み、パラリンピックでの乗馬選手としての出場が常石君の新たな夢となり、今年は、その夢の実現に向けて全て自己負担で海外へと足を運んでいる。常石君をここまで突き動かすものが、和田騎手、福永騎手、古川騎手、柴田大知騎手、柴田未崎騎手、高橋亮調教師といった同期の活躍。「僕も12期生の一員として恥ずかしくない自分でいたいから」と、ともに歩み、今も戦い続ける同期生たちの姿が原動力となっているばかりか、逆に12期生の私達が常石君に生きる強さを学んでいるように思うと筆者。

第115回は『日高厚賀IC開通 PartⅡ』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 日高自動車道の日高厚賀ICが開通したのが、ゴールデンウイーク前となる4月21日。日高厚賀ICすぐ近くの日高町の庄野牧場の代表である庄野宏志さんに、ゴールデンウイークの様子を聞かせていただいた。「日高門別IC開通してすぐのゴールデンウイーク期間に比べると交通量は思った程でも無かったかな。」と庄野さん。開通まもない頃の映像には長い車列が出来上がっていることもあったが、ゴールデンウイーク期間の日高地方は天候もぐずつき、イベントへ向かう車の数も少なくなってしまったのかもしれない。「みんなからはすぐ目の前にICができていいでしょう、と言われますが、日高門別ICで降りられないことや、これからも様々なトラブルが起こるのではと考えると、メリットはそこまで大きくも無いですね」と庄野さん。いずれにせよ、日高管内に住む人や、そして自分のように仕事で使う人にとっては、この延伸が便利となったのは間違い無い。それだけに庄野さんの抱える懸念が取り越し苦労となることを、庄野ICを通り過ぎる際に祈っておきたいと筆者。

第115回は『ダービーシリーズ』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 今年も毎年恒例のダービーシリーズが、現在行われている。トップバッター佐賀の「九州ダービー栄城賞」は佐賀皐月賞を勝ったリンノゲレイロが1番人気に推されたが、レースは後方待機から徐々に位置取りを上げた別路線組のスーパージェットが、直線で二の足を使い勝利した。スーパージェットは次走の高知優駿にも勝ち、「ダービーのハシゴ勝利」となった。第2弾は金沢の「石川ダービー」、北日本新聞杯で2着に2秒1の大差を付けて圧勝したノブイチが1番人気に推されたが、アルファーティハが最後まで脚色衰えず、3馬身の差をつけ勝利。3戦目は名古屋で「東海ダービー」。ここまで1番人気(=1冠目を制した馬)は敗れていたが、「さすがにサムライドライブは負けないだろう」という、単勝1.0倍。デビューから無傷の10連勝。しかし、「負けるはずがない馬が負ける」のがダービーなのだろうか。3馬身のリードを保って向いた最後の直線で飛んできたのが、4番人気のビップレイジングだった。そして翌日は東京ダービー。羽田盃を快勝し1番人気で臨むヤマノファイトには、やはり魔物がいたかスタート直後の不利が影響しハセノパイロの7着に敗れる。さらにその翌日は兵庫ダービー。兵庫チャンピオンシップで地方馬最先着のクリのヒビキが1番人気も波乱含みの様相、勝ったのはコーナスフロリダ。ここまで1番人気5連敗。岩手ダービーダイヤモンドCの1番人気チャイヤプーン、気性の難しさをみせたが、能力の違いは断然でついに『連敗ストッパー』となった。

協会会議

2018(平成30)年度第4回理事会

せり市場成績

九州市場 サラ1歳

海外ステークスウイナーズ

英ダービー 英2000ギニー1人気3着 Masar 雪辱果たす Galileo 系父子3代制覇(Mill Reef 系以来)
仏ダービー 2人気 Study of Man トライアルGⅡ から連勝
ベルモントS ヨハネスブルグ系 Justify 2月デビュー6戦無敗で3冠達成(13頭目)
英オークス クールモア5頭出し4人気 Forever Together が1人気 Wild Illusion 抑えGⅠで初勝利
仏オークス Nureyev 系5人気 Laurens 英1000ギニー2着後連勝で GⅠ3勝目
メトロポリタンH Gone West 系1人気 Bee Jersey 今季4戦4勝で初の GⅠタイトル

トピックス

2018(平成30)年度 地方競馬と生産に関する協議会
JRAからのお知らせ 今年も『軽種馬生産地関連研修』がスタート
BOKUJOB2018メインフェア

海外流通促進

海外競馬で活躍中の日本産馬(市場取引馬)

生産対策関連

2018(平成30)年度 所管事業の概要紹介 公益社団法人日本軽種馬協会 生産対策部

地方競馬ニュース

2018年5月・地方競馬場の売り上げ
2018年ダービーシリーズ開催成績
地方競馬場別サイアーズランキング(1〜6月)

生産関連ランキング

2018年6月各種ランキング
早々と「2歳ランキング、ファーストクロップランキング」掲載!

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2018.5.17 ~ 2018.6.17)

表紙

第59回宝塚記念(GⅠ)優勝 ミッキーロケット
ミッキーロケット紹介
live jbis.or.jp
北海道市場セレクションセール

カラーグラビア

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JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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