JBBA NEWS

2018年4月号(VOL.543)

最新の第280便は 諏訪湖とユッコ 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 2017年の師走のこと、仕事部屋で本の探しものをしながら、ふと目にとまった一冊を手にした。仕事先の京都から帰ったばかりで、この本、たしか、若いときに京都で暮らしていたときからあったよなぁと思ったのだ。ヘルマン・ヘッセ著作集、詩集・孤独者の音楽、高橋健二訳である。ひらくと、ぽち袋がはさんであって、おどろき。小さな端正な字で、「ま、一生懸命に働いていると、思いがけずにうれしいことが生まれ、不思議な幸せの日になるの。しっかりね。奈美」と書いてあった。私はぽち袋と向きあった。奈美というのは、大昔に私が、京都の四条大宮の近くのバーで働いていた時のママである。店をやめて東京に帰る私に餞別をくれた。そのぽち袋にちがいない。(中略)諏訪市に住む医師の市瀬章さんから手紙がきた。年に一度、社台グループの共有馬主クラブの牧場ツアーで会う市瀬さんは、10人で1頭を持つ中央競馬オーナーズの会員で、30戦6勝のGI馬ロゴタイプと出会い、さらにG1レーシングにも出資して、名付け親となったペルシアンナイトがマイルCSで1着という運の持ち主である。「ところで吉川さんの誕生日は2月24日のようですが、ぼくも2月24日生まれです。来年の2月24日は、いかがでしょう、諏訪湖畔の温泉にでもつかって、一杯やりませんか」というのが市瀬さんからの手紙だった。市瀬さんからの誘いは、奈美ママが書いてくれた、「思いがけずにうれしいことが生まれ」だと私は感じた。(略)

第85回は「継承」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 名競走馬で名種牡馬だったサウスヴィグラス(USA)が3月4日、この世を去った。22歳だった。1月26日に腸閉塞による疝痛を起こしたため開腹手術を行ったが、高齢だったこともあり、その後、回復することはなかったという。2017年はサウスヴィグラスにとって素晴らしい1年だった。産駒のヒガシウィルウィン(牡、船橋・佐藤賢二厩舎)がジャパンダートダービーでJRA所属馬を相手に優勝し、地方競馬の表彰式であるNARグランプリでは、年度代表馬と3歳最優秀牡馬に選ばれた。地方競馬において、産駒の獲得賞金の合計は10億1,007万5,000円にのぼり、3年連続通算4度目のリーディングサイアーに輝いた。出走頭数の307頭、出走回数の2,723回、勝ち馬頭数の185頭、勝利回数の411勝、そして前述の獲得賞金はすべて自己最多を記録した。2018年の種付料は200万円に達していた。そんな絶頂期での急死だった。
 サウスヴィグラスの父エンドスウィープ(USA)は、日本に輸入されて2000年から急死する2002年まで3年間種付けを行い、この数少ない産駒の中からスイープトウショウ(秋華賞、宝塚記念、エリザベス女王杯)、ラインクラフト(桜花賞、NHKマイルC)、アドマイヤムーン(ドバイデューティーフリー、宝塚記念、ジャパンカップ)と3頭のGⅠ馬を生んだ。「エンドスウィープ系」はその後も日本で枝葉を伸ばしている。サウスヴィグラスもそんな父エンドスウィープから受け継いだ種牡馬としての才能を見事に花開かせた。急死は惜しまれるが、その走力は必ず子孫につながるはずだと筆者。

第97回は「「競馬語辞典」で監修に初チャレンジ」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 今年に入ってから、自分でも想像もしなかった新たな仕事の依頼が舞い込み、2018年は、変化の年なのかなぁ…と感じていると筆者。例えばその1つが、「競馬語辞典」の監修。辞典のタイトル通り、競馬にまつわる言葉を50音順にならべ、650語を解説していくというもの。辞書で監修を調べてみると、「著作物の著述や編集などを監督・指揮すること」と記載。イメージとしては、井崎脩五郎先生のような広い視野と視点が必要な仕事。荷が重いとは思ったが、せっかくの縁に加え、本のコンセプトに共感を得たところもあり、参加させてもらうことにしたと筆者。例えば「佐々木の馬」。皆さん、わかりますか?これは持ち馬の名に「ヴ」がつく、大魔神・佐々木主浩オーナーの馬たちを総称して、ファンの方々がそう呼ぶのとか。この辞典は、オールドファンにとっては過去の名馬や歴史に触れられる懐かしさだけでなく新鮮な気持ちにもなれ、一方、ビギナーの皆さんにとっては、今抱いている疑問の答えを見つけたり、競馬の奥深さに触れられる1冊になっていると筆者。

第112回は『マス対コア PARTⅡ』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 国民的スターホースとなったキタサンブラック。社台スタリオンステーションにおけるスタッドインの際には、競馬マスコミのみならず、北海道内の新聞や民放局といった一般マスコミも駆けつけていた。「マスマーケット」である世間からすると、競馬はまだ「コアマーケット」である。「先日、このような話を、競馬に精通しているアナウンサーと交わした。そのアナウンサーもまた、ニュースなどで競馬のことが取り上げられる際には、担当記者やディレクターから意見を求められることもあるというが、「例えば、キタサンブラックの今の姿についても、この二人の会話なら『種牡馬』で通じるけど、競馬のことをあまり知らない人に伝えるには、『お父さんになります』と伝えなければいけなくなる。もっと説明をすると、お父さんとして、これからどんな暮らしをして、どんな仕事をしていくかを分かりやすく伝えるのは、なかなか大変なことなんだよ」と「マス」と「コア」の双方に立ち位置があるからこその難しさを話してくれた。自分自身、「コア」に足場を置きながらも、「マス」に届くような仕事をして行かなければいけないし、「マス」である一般マスコミとも近い「コア」な存在として、その関係性を取り持つ「通訳」のような存在にならなければとの思いを強く持ったと筆者。

第112回は『まさかの通年ナイター』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 昨年のこの号で「寒くない冬のナイター」という題で船橋競馬ハートビートナイターについて触れた。その中で「さすがに通年はほぼ望み薄だろう。」とも述べた。ところがどっこい、1年後にまさかの通年ナイター開催実現である。日程は昨年の11月14日に発表され、「南関東初の通年ナイター開催」と大きく報道された。今年のナイター競馬開幕となった3月16日。寒かった前週とは打って変わって好天に恵まれ、日中の最高気温は15度。ナイター競馬を楽しみにしていた2,073名の本場入場者で賑わった。2017年同開催との比較で、入場109%、売上112.8%と、厳密にはその次の開催からなのだが、南関東のナイター開催最初の開幕と、通年開催スタートのアナウンス効果もあり、さらに数字を伸ばしていると筆者。地方競馬の売上回復はほぼ全主催者にわたり、船橋競馬の売上回復も同じ流れの中での出来事であり、特にナイターが功を奏したとまでは断言は出来ないのだが、一部で「ネット専業競馬場」と揶揄されるような「入場減、売上増」ではなく「入場増、売上増」となっているところからも、ナイター効果は否定できないだろうと筆者。

協会会議

平成30年度通常総会
河野会長挨拶(要旨)
第3回理事会
第2回理事会

トピックス

JBBA2017年(第39期)生産育成技術者研修修了式
BOKUJOB「牧場で働こう」見学会 in 関東2018レポート
BOKUJOB「牧場で働こう」見学会 in 関西2018レポート

生産対策関連

2歳未売却馬実態調査(2016年生産馬)

海外流通促進

海外競馬で活躍中の日本産馬(市場取引馬)

地方競馬ニュース

2017年地方競馬開催の概況(1月~12月)
第19回JBCは生まれ変わる浦和競馬場で開催
2018年2月・地方競馬場の売り上げ
2018年度ホッカイドウ競馬スタリオンシリーズ競走
2018年度ホッカイドウ競馬重賞競走日程

生産関連ランキング

2018年3月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2018.2.21 ~ 2018.3.23)

表紙

JBBA種牡馬マクフィ(GB)
マクフィ(GB)産駒ボヌヴァル2017年ニュージーランド年度代表馬に輝く
2018年 千葉サラブレッドセール 2歳トレーニングセールポスター
2018年 北海道市場ポスター

カラーグラビア

live.jbis.or.jp JRAブリーズアップセール生中継
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JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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