JBBA NEWS

2018年3月号(VOL.542)

最新の第279便は 恋の12着 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 寒い朝、家から徒歩で20分ほどの病院へ、9時に予約の健康診断へ歩いている途中、通りかかりの小さな公園に目が行った。砂場で2歳ぐらいの男の子が遊び、砂場のへりに腰をおろした母親だろう若い女がぼんやりしている。私は少し立ち止まって、その小さな公園の光景をひとつの絵のように眺め、砂場にいる男の子が、これから幼稚園へ、小学校へ、中学校へ、高校へ、大学へ行き、それから社会へ出て行くんだよなあと、そんなふうに感じ、つきそっている若い女も、だんだんと変わっていくんだよなあとか思った。(中略)2007年4月のこと、ムラさんが40分の1口馬主だったフローラルカーヴが桜花賞出走となり、ムラさんの親友で、横浜でコーヒーショップを営むヤマさんと私の3人で阪神競馬場へ行ったのだった。1着が安藤勝己騎乗のダイワスカーレット、2着が四位洋文騎乗のウオッカ、3着が藤田伸二騎乗のカタマチボタンだった。むろんムラさんはフローラルカーヴが18頭立て15番人気でも単勝を買っていて、11着でも桜花賞出走ということで満足だったわけだが、ヤマさんと私をおどろかせたのは、7番人気カタマチボタンの複勝510円を3,000円、買っていたからだ。どうしてカタマチボタンの複勝を3,000円も買ったのか不思議なヤマさんと私は、「カタマチボタンはアンカツに惚れていて、必死に追いかけたのよ。恋の3着」とムラさんの返事を聞き、ヤマさんと私のあいだでは、ムラさんの神話として、「恋の3着」は碑のように刻まれた。(略)

第84回は「隔世」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 2月11日に東京競馬場で行われた第52回共同通信杯は6番人気のオウケンムーン(牡3歳、美浦・国枝栄厩舎)が優勝し、父のオウケンブルースリにJRA重賞初勝利をプレゼントした。2008年の菊花賞馬オウケンブルースリだが、産駒は数少ない。種牡馬1年目の2013年には23頭に種付けし、翌年13頭が誕生した。その後の種付頭数は12頭、9頭、8頭と少しずつ減り続け、昨2017年はついに1頭になった。その父は2001年のダービーを制したジャングルポケット。2002年の有馬記念を最後に現役を引退するまで13戦5勝。その5勝のうちの1勝が共同通信杯である。ジャングルポケットとオウケンムーン。17年後に孫が祖父と同じ重賞レースを制したことになる。父子3代同一重賞制覇としてはメジロアサマ→メジロティターン→メジロマックイーンの天皇賞の例が有名だが、このように祖父と孫は勝っているが、間に入った父は勝てなかった、出走していなかったという例はあるのだろうか。懸命に調べた結果、共同通信杯以外のケースを2例見つけることができた。1件目はAJC杯で、1982、83年に2連覇したアンバーシャダイが息子のメジロライアンを挟んで1998年にメジロブライトの優勝に結びつけたケース。もう1件は有馬記念で、1998、99年に連覇したグラスワンダー(USA)がスクリーンヒーローを挟んで2015年の優勝馬ゴールドアクターにつないだ例。完全とはいえないが、以上の2例は確かにオウケンムーンと同じ[隔世」パターンだった。

第96回は「菅原隆一騎手 ~1鞍・1勝の重みを感じて~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 ローレルクラブの新年会のパーティーの司会を依頼され、会員の皆様、馬を提供されている牧場関係者の方々、関東の調教師や騎手の皆さんと数時間共に過ごすことができた。
 「ホソエさん、今日、競馬場で声をかけて頂け、急ですがお邪魔しました」と、騎手9年目を迎える菅原隆一騎手が司会台の私のもとへときてくれた。1人1人の騎手とのトークの際には、「僕は勝利から遠ざかって騎乗チャンスも少なくなっている状況ですが、その分、1頭にかける思いは強く、1勝の重みは誰よりも分かっています。よろしく御願いします」と挨拶。自らの状況を客観的に捉えるとともに、騎乗に際して感じている自分の思いを壇上で言葉にできる姿には、心底立派な青年だと、心動かされるものがあったと筆者。昨年は自身最多となる5勝をマーク。そして今年は新馬から騎乗しているカグラヤルージュで2回の2着、そして2月25日には同馬と共に今年の初勝利をおさめた。騎手9年目の25歳、今年はどんな騎乗をし、どんな歩みをしていくのか?彼が感じる「1勝の重み」を、私も画面を通して見ていきたいという思いになったと筆者。

第111回は『マス対コア』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 現代のスターホース、キタサンブラックが日本国民の多くに認知された理由は、「分かりやすさ」だと筆者。まずはオーナーが紅白歌合戦で史上最多となる13回の「トリ」を飾った北島三郎氏(馬主名義は(有)大野商事)。そして、全盛期を迎えた古馬となってからの鞍上を務めたのが、競馬界では随一の知名度を持つ武豊騎手。そのキタサンブラックが、競馬ファンはもちろんのこと、多くの日本人にも「年末の大一番」として認知されている昨年の有馬記念に出走、引退レースを見事に逃げ切った。1月7日に京都競馬場で行われた引退式には、全レース終了後にもかかわらず、1万8千人のファンが競馬場に残ったと。12日の社台スタリオンステーションでのスタッドインの取材には、ディープインパクト以来となる多くの取材陣が集まった。マスコミの北海道の民放TVにとっても充分なニュースソースとなり得た。同局のアナウンサーは、感動的な馬との再会を我が子と会ったときのような感動になぞらえた。また、キタサンブラックにどんな馬になって欲しいか?といった質問を、(有)ヤナガワ牧場の関係者や社台スタリオンステーションのスタッフに向けていたが、競馬に対する知識を持っていなかったゆえであろうと筆者。(次号に続く)

第111回は『紙への愛着』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 2月19日、都内ホテルに於いて全国公営競馬専門紙協会の年次総会が行われた。筆者は協会事務局の事業・編集局の局長であり、事務局としての仕事のひとつに協会会報「APS通信」の編集業務があり、毎年NARグランプリに合わせて発行しているという。今年度の総会時点での加盟社は20社。中津競馬が廃止された平成13年度の総会時点の加盟社は41社だったから、この17年間で我々の仲間21社がこの業界を去ったことになる。(未加盟の会社が3社、1社で複数発行していた社もあったので、合計で25紙が廃刊となっている)その多くは競馬場の廃止に伴うものだが、業績不振や、悪化する前に手を引いてこの業界を去ったところもあったと筆者。ここ数年、紙の部数減が止まらず、紙媒体は本格的な末期を迎えている。ネット物販は進化のスピードが恐ろしく速く、すでにダウンロード販売は時代遅れになりつつある。専門紙のネット版もいずれ定額ダウンロードの波が来るかもしれない。協会加盟社でまとまれば、全国の競馬場の新聞が読めるようになるかもしれない。しかし競馬新聞の編集作業は変わらない。早朝からトラックマンが時計を採り、厩舎を回り、データを入力して、編集部が膨大な文字を校正し、そして各々予想し、紙面を組み上げる。恐らくネット新聞になってもその手順は変わらない。紙への愛着を捨てられないのも我々のネックでもあると筆者。

協会会議

平成30年度第1回理事会 (書面決議)

海外情報

2017 エクリプス賞(アメリカ競馬年度表彰)

トピックス

JBBAからのお知らせ 平成30年度通常総会の開催と委任状、議決権行使書面について
2018年JBBA種牡馬展示会開催
2017年生産関連統計
 ◆2017年種付牝馬頭数*
 ◆2017年地域別種付牝馬頭数*
 ◆2017年生産頭数*
 ◆2017年地域別生産頭数*
 ◆年次別サラブレッド輸入頭数
 ◆2017年産地別・月別サラブレッド輸入頭数
 ◆産駒頭数順(上位30位)
 ◆内国産種牡馬種付頭数順(上位30位)
 ◆外国産種牡馬種付頭数順(上位30位)
 ◆供用場所別種付頭数順(上位15位)
2018年海外主要競走日程
2017年JPNサラブレッド・ランキング

地方競馬ニュース

2018年1月・地方競馬場の売り上げ
地方競馬開催日程 2018年【4月~6月】
地方競馬所属別在籍頭数/サラ系 再掲(2017年11月1日現在)
地方競馬 世代別牝馬重賞シリーズ GRANDAME-JAPAN 2018

生産関連ランキング

2018年2月各種ランキング

刊行物紹介

種牡馬DVD『STALLION IN JAPAN 2018』 (一社)日本競走馬協会発刊
『2017年軽種馬統計』(公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナル/(公社)日本軽種馬協会 発行

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2018.1.9 ~ 2018.2.20)

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナル)etc

表紙

JBBA新種牡馬ザファクター(USA)
JBBA新種牡馬ザファクター(USA)紹介
2017 軽種馬統計
2018 九州市場ポスター

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