JBBA NEWS

2018年2月号(VOL.541)

最新の第278便は 手帳、昔のひと 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 戸崎騎乗のアーモンドアイが第52回シンザン記念を勝った日の夜、「大野です。大野きよの息子です」と電話がかかってきた。大野きよが息を引きとっていたのだった。八十八歳だった。その晩、私はひとりで「大野きよ」の通夜をすることにした。私が大野きよの家へ遊びに行ったとき、きよさんが私にしてくれたように、コップに半分、一升瓶から酒を注いだ。(中略)忘れられない大野きよの手帳がある。大判で黒い表紙だ。私が忘れられないのは、その手帳に、「昭和三十七年三月五日、ガーサントの展示会がおこなわれる」と書かれていたからだ。ノーザンテースト、サンデーサイレンスと、吉田善哉の種牡馬購入は記憶されるが、それまでの、先ず吉田善哉を支えた種牡馬はガーサントなのだ。「ファックスのある今では考えられないけどね、わたしたちは、大至急の用件は電報を使う時代に育ってるのよ。電話だって北海道と千葉では、いちいち申しこみでやらなきゃならない。どんな用事だって、だいたい3分以内の電話で済まさなければならないの。善哉社長のことだもの、あれはどうなってるって、白老の牧場から、しょっちゅう聞いてくるわけ。すらすら答えられなかったら、それこそ北海道から石が飛んでくる。だから千葉にいる馬のことも、こまかく手帳に書いてないとダメ。(略)

第83回は「独占」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 2017年のJRAのリーディングサイアーには、産駒が251勝を挙げ、58億3,915万9,000円の賞金を獲得したディープインパクトが輝いた。6年連続の首位というのは、1995~2007年まで13年連続で首位に立ったサンデーサイレンス(USA)、1982~92年まで11年連続で1位になったノーザンテースト(CAN)に次ぐ史上3位の「長期政権」となった。首位になった回数でも13度のサンデーサイレンス、11度のノーザンテースト、7度のヒンドスタン(GB)に次ぐ単独4位になった。ただこの6年間、ずっと2位の座を守っているキングカメハメハもすごいと筆者。13年続いたサンデーサイレンスの天下で2位になった種牡馬は数少ない。当時、「御三家」といわれたのがサンデーサイレンス、ブライアンズタイム、トニービンの3頭で、1996年から2002年まで7年続けて、この3頭が上位を独占、「御三家」の壁は高く厚かった。2018年、現3歳が初年度産駒となるロードカナロアにも期待がかかる。昨年は30頭が勝ち上がり、計37勝を挙げた。1年目に30勝以上を挙げたのは、2010年のディープインパクト(41勝)以来となる好成績。ロードカナロアの父はキングカメハメハ。父が越えられないディープインパクトの壁を息子が一気に崩すようなら「血のドラマ」としては面白いと筆者。

第95回は「印象に残る北島・佐々木両オーナーの人間力~職人的調教師の早期勇退に思うこと~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 小学生の頃、大人に対しての疑問が子供心に2つあったと筆者。1つは、何かし終わった後に必ず、「じゃぁ、コーヒーでも飲もうか」と一息つく行動。そしてもう1つは、「寝起き直ぐに体が動かない」と言う母親の発言と、冬は特にストーヴの前で数分間体を温めてから着替え始めるスローな行動。しかし今年で43歳を迎える私は、既に自然とこの2つの行動を日常に取り入れており、今では、子供の頃に疑問に思えたことが疑問となっているような感覚…まさに歳をとった証と筆者。少し前に公表された角居師の早期厩舎解散の件や、人と馬と向き合いながら国内外で素晴しい実績を作った二ノ宮調教師の早期勇退報道も重なり、心にポッカリ穴があいてしまったような寂しさを感じると筆者。
 「正直なところ、馬の息づかいと相談しながら、15-15から始めていく馬作りができない状況に自分自身の仕事への疑問を感じるし、このままではトレセンで人も馬も育っていかない。意味があるのだろうか…」と感じている調教師もいると筆者。去年の競馬で特に印象深かったのが、キタサンブラックの北島オーナー・シュヴァルグランの佐々木オーナーに共通する、現場を直接見ているかのような判断と、現場の人を大切にする心の温かさだったと筆者は言う。

第110回は『マスターズセミナー』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 中央競馬の北海道シリーズ、そして、ホッカイドウ競馬の当年度の開催が終了すると、馬券に集中できる時間が増える仕事が馬産地ライター。しかし昨年は札幌、函館といった道内の競馬場だけでなく、秋の東京競馬場でもビギナーズセミナーの仕事で、馬券購入を忘れる程に忙しく働かせていただいた。札幌競馬場では「教えて!GⅠデスク登場!」という初めての仕事もさせていただいた。同じ時期、札幌競馬場では「来賓室でファンミーティングin札幌競馬場」というイベントも行われており、講師を務めた岡田牧雄氏は「自分もファンの方には、より競馬を深く知ってもらいたいと思っていたし、こうしたイベントはどんどんやるべきだよね」と話されていた。実際にイベントでの岡田氏の話は、普段から取材などで話を聞かせてもらっている自分でも非常に興味深く、開催日以外は使用されない来賓室でファンミーティングが行われれば、熱心なベテラン競馬ファンの方も、一度は足を運んでみたいと思うはずだと筆者。

第110回は『NARグランプリ』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 1月15日、「NAR GRANDPRIX 2017」の各優秀馬が発表された。そして今年も選考委員の末席に加えさせて頂いた。今年の選定委員会は1月11日、地方競馬全国協会に於いて行われたが、いつもと違ったのは、そこに山野浩一さんの姿がなかったことだ。もちろん亡くなられたことは分かってはいるのだが、実際議事進行に入ると、その存在感が大きかった事を改めて感じたと筆者。毎年優秀馬の発表があると様々なご意見、ご感想が直接寄せられる。ある方には「JBBA NEWS楽しみに読んでいます」とまで言われる始末(笑)だと筆者。
 今回最も反響を頂いたのは年度代表馬だった。ジャパンダートダービー(JpnⅠ)に勝ったヒガシウィルウィンと、JBCレディスクラシック(JpnⅠ)に勝ったララベルの候補馬2頭は、甲乙付けがたかった。2頭同時受賞が選択できるものなら、そうしたかったと筆者。今回、十分に意見を交わせなかったのが最優秀ターフ馬部門で、ダブルシャープは2頭目の重賞未勝利での受賞で、個人的には重賞勝ちがラインと考えており、採決でも「該当馬なし」に1票を投じたのだが…と筆者。

繁殖牝馬セール成績

2018年ジェイエス冬季繫殖馬セール

海外情報

2017 北米サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・2歳・ブルードメアサイアー
2017 英愛サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・2歳・ブルードメアサイアー
2017 仏サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・2歳・ブルードメアサイアー
2017 独サイアーズランキング(獲得賞金順)  総合・ブルードメアサイアー

トピックス

2017年度JRA賞
2017年度NARグランプリ/2017年ダートグレード競走特別賞
2017年度JRA生産者団体表彰成績
2016年軽種馬の全国農業産出額は405億円
2018年サラブレッドせり市場日程
2018年世界のせり日程
2017年JRA外国産馬の競走成績
2017年トレーニングセール取引馬の2歳競走成績

種牡馬事業

STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

海外流通促進

海外競馬で活躍中の日本産馬(市場取引馬)

地方競馬ニュース

地方競馬場別サイアーズランキング 2017年1月~12月
2017年12月・地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

2017年の各種ランキング
2018年1月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2017.12.9 ~ 2018.1.8)

表紙

ジュニアC(L)勝馬 テンクウ
ヨハネスブルグ(USA)産駒 テンクウ
ヨハネスブルグ(USA)産駒 クリスマスローズS(OP)勝馬 タイセイプライド
エンパイアメーカー(USA)産駒 愛知杯(GⅢ)勝馬 エテルナミノル

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナル) etc

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