JBBA NEWS

2017年12月号(VOL.539)

最新の第276便は 雨の南武線で 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 10月29日、朝、目をさますと6時半。ベッドで横になったままカーテンをあけると、雨。止みそうもない雨。夜には台風22号が関東上陸の予報。「天皇賞なんだよ。かんべんしてくれよ。おい、先週の菊花賞も大雨じゃないか。いったい、誰のせいでこんなことになるんだ」がっかりして眺めている窓ごしのネズミ色の空に、雨に打たれて耐えている東京競馬場のケヤキの木が映った。(中略)競馬場に着いて、通路で声をかけあったターフライターの鶴木遵さんと、コーヒーショップに座った。「競馬って、馬券を100円でも買っていないと、他人事になっちゃうのがシャクだよね」と鶴木さんが笑った。「ほんと。馬券買わないと、ヒトゴトという名の馬がレースをしている」そう私は言いながら、鶴木さんの「シャクだよね」は名ゼリフだと思った。(中略)鎌倉へ6時すぎまでに戻らなければならない用事があり、最終の三峰山特別の馬単を3点だけ買い、府中本町駅から川崎行きの南武線に乗った。吊革につかまっていたが、運よく登戸駅で空席にありついた。「出遅れましたよね。キタサンブラック。勝てないと思いましたよ。ところが武豊、いつのまにかうまい位置につけて、早目に抜けだした。武豊が天才と言われるけど、よく判らなかったのに、その意味が、今日は自分にも判ったような気がした」と私のとなりにいる青年が、連れの老人に言った。そうか、この青年、びっくりしたのだと、そう私は思った。(略)

第81回は「ミルコ」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 エリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップ。京都競馬場で2週続けて、ミルコ・デムーロ騎手(38)の「神騎乗」を目の当たりにしたと筆者。スローペースになったエリザベス女王杯では騎乗馬モズカッチャンを先行させ、逃げ込みをはかるクロコスミアをゴール寸前で差し切りクビ差の勝利。翌週のマイルチャンピオンシップでは一転して後方待機策。大外18番枠という不利な枠からスタートしたペルシアンナイトを序盤は馬群の後方に置き、最後の直線で末脚を爆発させハナ差勝ち。接戦をものにした。
 「ミルコは大レースに強い」と言われている。これで、歴代最多勝記録と並ぶ中央競馬のGⅠ年間6勝目をマークした。また5月のオークスに始まったGⅠレースでの連続複勝圏内ゴールという記録も10レースに伸ばした。M.デムーロ騎手の短期免許時代は2,378戦354勝、2着296回、3着232回、4着以下1,496回。勝率14.9%、連対率27.3%、3着内率37.1%という成績。それが通年免許になった2015年3月以降は、1,983戦406勝、2着279回、3着223回、4着以下1,075回。勝率20.5%、連対率34.5%、3着内率45.8%となる。いずれの数字も大幅なアップを示している。更に中央競馬のGⅠ通算24勝のうち10勝は2着馬と同タイムの決着。今年のミルコは手がつけられないと筆者。

第93回は「日本人騎手派? or 外国人騎手派?
      ~現在の流れに、原点に戻るベテラン騎手の姿も~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 今年の競馬を振り返ると、予測はしていたが、M・デムーロ騎手&ルメール騎手の活躍が非常に目立つ、いや際立つものだったと筆者。マイルCSを終えた時点で、18回行われた平地GⅠのうち、デムーロ騎手が6勝、ルメール騎手が4勝と、半分以上を2人でものにしている。一昔前は、栗東馬vs.美浦馬が話題の中心だったが、今では日本人騎手vs.外国人騎手という視点に変化したと筆者。多額のお金を託されるオーナーや馬に近い距離で生活をしている人ほど、優れた騎手に騎乗してほしいと思うのは当然のこと。ましてや現在の日本人騎手は、厩舎に所属して毎日の調教に携わりながら、スタッフと共に食事をするというスタイルではなくなってきているので、陣営の日本人騎手に対する思い入れが生まれないのも当然であり、今後は、現場からも外国人騎手を懇願する声が増える気さえすると筆者。」しかしそんな中、今年の秋、昆厩舎を軸とし火曜日から金曜日まで調教に携わっているのが、横山典弘騎手。しかもエージェントをつけず、騎乗馬を自分自身で交渉している。変わりゆく競馬社会のしくみに疑問を抱き、原点に戻って過ごしている姿には、見失ってはいけない大切なことを教えられている気がすると筆者。

第108回は『草ばん馬大会 PartⅡ』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 北海道・北斗市で毎年のように開催されている(株)田山産業運輸の主催するばん馬競技大会の会場にたどり着いたものの、いったいどこに行っていいのか、何をしていいのかさえも分からなかったと筆者。大会本部の受付をしていたTさん、TTさんが参加するレースはポニーばん馬。最も軽い1歳馬だけのレースではおもりの重さは30㎏でしか無いのだが、高重量戦となるとその重さは250㎏にもなる。身体(体高)の大きさで、重量区分されるので時には、「俺の馬はそれほど体高が無いべや!」と食ってかかる参加者も出てくるとのこと。K夫妻も会場へ姿を見せ、外に繋がれたばん馬を指差して、「あの馬は昨日のばんえい競馬のレースに出ていた馬ですよ」と衝撃の事実を教えてくれる。レースに使ったばん馬が「放牧」という形でそのまま馬運車へと乗り込み、明くる日は「調整」という名の草ばん馬に参加。その後、競馬場で検疫期間を過ごした後、再びレースを使うのだという。そもそも草ばん馬に参加される方の多くがばんえいのオーナーでもあり、草ばん馬をみんなで盛り上げようという気運があり、現役馬をレースに使うという流れになっているのだと思います」と教えてくれた。草ばん馬を支えているのは、道内の関係者だけではなく、「東北でも『馬力』という形のばん馬が行われていて、馬と騎手の前に、馬を引っ張る助手がいるスタイルでの参加も多いとのこと。 (次号に続く)

第108回は『第17回JBC』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 11月3日、大井競馬場で第17回JBCが開催された。さすが特異日らしく今年も快晴だった。JRA京都、福島競馬との同日開催で行われた今回、いわゆる「2003年の悪夢」を思い起こすと筆者。ちなみに、本場の入場者数は28,147名で、前年比98.0%と伸び悩み、売上はレディスクラシック763,865,300円(前年比89.7%)、スプリントが1,079,040,900円(前年比106.3%)、クラシック1,812,368,300円(前年比112.1%)、JBC当日の1日4,640,685,830円(前年比95.2%)と案の定こちらも伸び悩んだと筆者。一方、京都競馬は入場19,304人、売上8,447,766,500円、福島競馬は入場10,122人、売上5,311,722,400円で、2歳牝馬のGⅢファンタジーステークスは2,567,867,200円の売上をあげている。豪華メンバーによるJpnⅠ同日3レースをもってしても、JRAのブランド力にはかなわないのが現実。奇しくも来年はJBC初のJRA京都開催、来年のJBCには注目していると筆者。

協会会議

平成29年度JBBA/JRA第2回生産等に関する協議会

海外ステークスウイナーズ

BCクラシック 2人気 Gun RunnerドバイワールドC2着後 G14連勝, ペガサスWC後引退予定
BCディスタフ 3人気 Forever Unbridled 前年3着後今季 Gレース 3連勝
BCダートマイル ケンタッキーダービー3着7人気3歳 Battle of Midway 叩き合い制し初 G1 勝ち
BCターフ フォワ賞G2 3着5人気 Talismanic 初 G1 制覇
BCフィリー&メアターフ 3人気 WuheidaがMブサック賞 G1 以来1年ぶりの勝利
BCマイル 1人気 World Approval G1 3連勝で兄弟制覇成る
BCジュヴェナイル 前走シャンペインS2着6人気Good Magicが G1 で未勝利脱出
BCジュヴェナイルターフ ‘16 米1歳せり最高価格愛調教 Mendelsshon 1人気に応える
BCスプリント 5歳で急成長3人気Roy H西海岸で G1 連勝
BCジュヴェナイルフィリーズ 7人気 Caledonia Road 捲くり圧勝
BCジュヴェナイルフィリーズターフ 2人気 Rushing Fall デビュー3連勝
BCフィリー&メアスプリント 12人気 Bar of Gold が8人気Ami’s Mesa捕らえ,PIDマスターズS G2 2,1着馬が上位占める

トピックス

◆JRAからのお知らせ
  ・繁殖に供される引退競走馬への馬鼻肺炎ワクチン無料接種について
◆2017年 軽種馬後継者研修報告

種牡馬事業

STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

生産対策関連

平成29年度JBBA/JRA生産等に関する協議会 協議結果の概要

地方競馬ニュース

2017年10月・地方競馬場の売り上げ
平成30年 地方競馬開催日程(1月~3月)
地方競馬所属別在籍頭数(2017年11月1日現在)

生産関連ランキング

2017年11月各種ランキング
注目の2017年ファーストクロップサイアーズランキング掲載

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2017.10.23~11.10)

2017総索引  2017 JBBA NEWS 総索引

カラーグラビア

オーロカップ(L) ヨハネスブルグ(USA)産駒トウショウピスト
2017年生産全国馬名簿

表紙

JBBA新種牡馬ザファクター(USA)
ザファクター(USA)紹介
ザファクター(USA)5代血統表
2018JBBAサラブレッド種牡馬配置表

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナル) etc

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