JBBA NEWS

2017年2月号(VOL.529)

最新の第266便は 自分で 烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

年の瀬の夜おそく、ひとり忘年会みたいな気分でウイスキーをのみながら、テレビの「ドキュメント72時間」というのを見ていた。雨が降っている日のガソリンスタンドに寄る人たちに、「これからどちらへ」とかインタビュアーが何気ない口調で声をかけ、その人の現実をなんとなく探ろうというのが番組の狙いなのだろう。40歳ぐらいの女が軽自動車にセルフで給油している。「これからどちらへ?」「高校生の娘が部活でバレーボールの試合があるので見に行くの。娘は補欠で試合に出ないらしいけど、母親として娘の部活に関心があるよというのを見せておこうと思って」と女は少し笑った。「お仕事してるんですか?」「してるわよ。今日は休みだけど、昼も夜も。わたし、娘が4歳のときに離婚しちゃったんで、働かなくちゃ育てられないし、だいいち、食べていけない」「大変ですね」「大変よ。わたしの姉も離婚して男の子を育ててたんだけど、三年ぐらい前、41歳で死んじゃった、自分で」給油が済み、軽自動車は走りだした。女が言った「自分で」にインタビュアーは反応しなかったが、私には石ころをのみこんだように、その言葉が残った。(中略) 人間は何をするにしても結局は自分で決めるもので、こうしてトシくんが中山競馬場へ行ってみたいと遠方から出てきたのも、リュウさんの昔話などに影響されながら、自分で決めたのだろうと、そんなことを思いめぐらせた。(略)

第71回は「7億円」 第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

2016年の中央競馬の年度代表馬には、歌手・北島三郎さんが所有するキタサンブラック(牡4歳、栗東・清水久詞厩舎)が選ばれた。記者投票291票のうち134票を獲得し、90票を集めて2位だったモーリスに44票の差をつけた。キタサンブラックは昨年、国内で6戦、獲得賞金は7億1,193万円に達し、年間の獲得賞金が7億円を超えた史上5頭目となった。初めて獲得賞金が年間7億円を超えたのは1994年のナリタブライアン(牡3歳)で、史上5頭目の3冠馬になるとともに、7億1,280万2,000円の賞金を稼いだ。2000年のテイエムオペラオー(牡4歳)は8戦8勝のパーフェクトな成績で、10億3,600万4,000円を獲得し、これが現在も史上1位。3頭目は2006年のディープインパクト(牡4歳)、国内の5レースを全勝し、獲得賞金は7億7,148万8,000円。4頭目の2011年の3冠馬オルフェーヴル(牡3歳)は、スプリングSから皐月賞、ダービー、神戸新聞杯、菊花賞、有馬記念まで6連勝して、8億552万4,000円を手にした。レースの賞金は少しずつ上昇しており、ジャパンカップと有馬記念の増額は大きい。ジャパンカップと有馬記念を連勝すれば、それだけで賞金は6億円になる。史上6頭目、7頭目の年間7億円馬が出現する可能性は高くなっていると筆者。

第83回は「代替競馬、生徒、そして親心は…」 ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

1月は大雪の影響で4日間開催となり、大変だったと思うと筆者。騎手時代の冬の開催時の朝の調教は過酷な上、大雪が加わると、調教時間の変更や使用馬場の限定など、混雑で馬も落ち着かず、普段以上に気を遣わねばならなかったと筆者。今回の代替競馬において印象に残ったのが、武豊騎手のコメント。「天候だから仕方のないことですが、夜も大掛かりで除雪をする姿を調整ルームから見ていたので、その人たちの為にも開催してほしかった」と。仕事とはいえ寒い中、必死で雪かきをされた方々の心は救われ、温かくなられたのではと筆者。競馬学校といえば、騎手課程生徒の公開模擬レースから数か月、デビュー目前に1名の名前が存在していませんでした。留年も経験していただけに、4年近く競馬学校で過ごし騎手を目指していた生徒とあって、あの模擬レースの日、彼のお母さんとおばあちゃんが必死にカメラを回し喜んでいた姿が思い起こされ、ご家族の気持ちの切り替えも大変だっただろうなぁ…と、切なくなったと筆者。

第98回は『マークシートを塗るだけの簡単なお仕事です』 北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

昨年の有馬記念当日は、ウインズ札幌A館の1階フロアで、普段は競馬場で開催している「ビギナーズセミナー」の講師を務めた筆者。セミナーの参加者にも、ウインズに来た理由を聞いてみたが、やはり有馬記念を買いに来たというのがほとんどだった。スタッフから、「ちょっとお願いしてもいいですか?」と声をかけられた。年齢は自分の母親ほどの、女性から「今日、家族に有馬記念の馬券を頼まれたのだけど、どう買っていいのか分からなくて…」と言われて差し出されたメモには、「枠連○-○」「三連複○-○-○」という組み合わせが幾つも書かれていた。由々しき事態だと考え、「今日は中山競馬場でレースが行われているので、ここを塗って、有馬記念は10レースだから、次はここを塗って…」と誘導し、女性はメモに書かれた幾つかの組み合わせを一緒に塗り上げた。「来年からは自分で書けるかも」と笑顔を見せてくれたが、初心者が戸惑うことはまだまだ多いだろう。エスカレーターの方に向かって行った。「マークカード塗ります!(ただし、馬券の購入は自己責任で)」というたすきをかけて、ウインズや競馬場をうろつくしか無いとも思っていると筆者。

第98回は『年度代表馬』 馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

「NAR GRANDPRIX2016」の選考委員を務めた筆者が選考経過を振り返る。2016年のダートグレード競走で、地方競馬所属馬は2勝。さきたま杯(JpnⅡ)のソルテ(大井)と、兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅡ)のローズジュレップ(北海道)の2頭。一方、地方競馬所属馬のJRAでの勝利は札幌2歳ステークス(GⅢ)に勝ったトラストの1勝。2歳最優秀牡馬は兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅡ)に勝ったローズジュレップ、札幌2歳ステークス(GⅢ)に勝ったトラスト、北海道2歳優駿2着のヒガシウィルウィン等が候補に上がり、結果はローズジュレップが満票(12票)選出された。「トラストは最優秀ターフで」という流れになったと筆者。2歳最優秀牝馬はエーデルワイス賞(JpnⅢ)2着のアップトゥユーと同3着ビンクドッグウッドの争いに。この2頭はホッカイドウ競馬在籍時から勝ったり負けたり、大晦日の東京2歳優駿牝馬を最後の直接対決で勝ったピンクドッグウッドが選ばれた。、今回もっとも議論が白熱すると予想された4歳以上最優秀牝馬部門。レディスプレリュード(JpnⅡ)2着のトーコーヴィーナス(園田)、JBCレディスクラシック(JpnⅠ)3着のトーセンセラヴィ(浦和)、マリーンカップ(JpnⅢ)・スパーキングレディーカップ(JpnⅢ)2着のブルーチッパー、クイーン賞(JpnⅢ)3着のタイムビヨンド。各委員の意見でトーコーヴィーナス、トーセンセラヴィ、ブルーチッパーの3頭に絞られ、最終的には採決となり、トーコーヴィーナスが選定された。毎年のことではあるが、勝った馬で選びたい。2着、3着で甲乙を付けるのは、やはり何とも言えない寂しさが残ると筆者。

海外情報

2016 エクリプス賞(アメリカ競馬年度表彰)
2016 北米サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・2歳・ブルードメアサイアー
2016 英愛サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・2歳・ブルードメアサイアー
2016 仏サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・2歳・ブルードメアサイアー
2016 独・伊サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合

トピックス

2016年度JRA賞
2016NARグランプリ/2016年ダートグレード競走特別賞
平成28年度JRA生産者団体表彰成績
馬鼻肺炎の生ワクチン〝エクエヌテクトERP(日生研㈱)″が繁殖牝馬に接種できるようになりました
軽種馬生産技術総合研修センター便り 馬の上部気道疾患に関する講演会等を開催
2017年世界のせり日程
2015年軽種馬の全国農業産出額は370億円
2017年サラブレッドせり市場日程
2016年JRA外国産馬の競走成績
2016年トレーニングセール取引馬の2歳競走成績

種牡馬事業

STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

海外流通促進

海外競馬で活躍中の日本産馬(市場取引馬)

地方競馬ニュース

主なトピックス Dec ~ Jan
地方競馬場別サイアーズランキング 2016年1月~12月
2016年12月・地方競馬場の売り上げ

生産関連ランキング

2016年の各種ランキング(確定版)
2017年1月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2016.12.11~2017.1.13)

表紙

第57回京成杯(GⅢ)優勝 コマノインパルス
JBBA種牡馬バゴ(FR)産駒 コマノインパルス
JBBA種牡馬マクフィ(GR) エスケンデレヤ(USA) ケープブランコ(IRE) バゴ(FR)(2017 Stallion Template Calendarより作成)
2017JBBAサラブレッド種牡馬配置表

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナル) etc

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