JBBA NEWS

2024年3月号(VOL.614)

最新の第351便は「意地に乾杯!」烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 2024年1月11日のこと、横浜市港南区に住む久保田順二からハガキがきた。「ヒシミラクル、ファストタテヤマ以来の奇跡が起きました。1月7日のフェアリーステークスで、3連単⑬―③―①、15万7,970円を200円持っていました。西村淳也という騎手がいるなあ。妻の淳子の淳。命日が平成13年3月1日。墓まいりする気持ちで買いました。西村淳也のイフェイオンが勝ってくれました」ウインズ横浜で知りあった競馬仲間の、久保田順二の呼び名はクボジュンさん。横浜の大きな病院の清掃係として、73歳の今も働いている。(中略)「どうしてそんなに競馬が好きなんですか」と私がクボジュンさんに聞いたことがある。「60歳で定年退職するまでは、不動産会社のサラリーマンで、ま、普通に馬券好きでしたね。遊んでいたら馬券が買いにくいなあって、清掃の仕事だったけど、病院の募集を見た。どんな仕事でも、真剣にやらないと面白くないから、ボクは手を抜きません。そういう毎日をおくりながら、おれには競馬があるんだという思いが強くなってきたというのかなあ。病院ではたらく人のほとんどが知らない世界を、おれは愛しているんだ、という気持ちなんですかねぇ。ステイゴールドに会った時も、ヒシミラクルに会った時も、どんなに凄い馬でも、孤独に生きてるよなあと思ったんです。競馬って、孤独と意地のぶつかりあいだなあって思うことがありますね」(略)

第168回は 「人生半世紀の節目の前に ~お酒、税金、保険、理解することで認識変わる~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 今月で49歳。同級生たちは50歳ですから、生まれて半世紀ということになります。人生の折り返し地点も過ぎたことに加え、まわりで移住し始める同世代や、計画をされている方も存在し、私もそろそろ余生をどう過ごすか?漠然とではありますが、考え始めています。振り返ると、騎手としては悩むことばかりで、精神的にも肉体的にも常に限界を抱えながら過ごしていましたが、引退後、馬と1番長い時間を過ごす厩務員さん方の話が面白く、馬のことをもっと知りたい気持ちが強まり、取材や記事を書くことに多くの時間を費やしてきました。しかしながらこの数年は、現場から足が遠のき、昔ほどの熱量が自分の中にあるのか?疑問に思う時も…。
 その一方で、今は頭の中で競馬以外のことを考えるスペースも生まれ、様々なことに対して無知すぎた自分に気づきはじめています。その1つがお酒。製造過程の違いや種類、割り方など知れば知るほど面白く、歴史的な背景や国によっての文化の違いなど知識が広がり、更に面白みが増すのです。お酒に限らず、税金や保険制度なども、しっかりと中身を理解できるような説明が教育の一環としてあれば、お酒を呑むから嗜むに変換されるように、税金も、取られるという認識から、納めるという誇りに変わるようにも思えると筆者。

第156回は「伊国」第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 2024年2月4日、小倉競馬場で行われた第12レースは波乱の結末になった。主役を演じたのは14頭立ての12番人気だったバラードインミラノ(ITY)(牡6歳、美浦・小野次郎厩舎)。4コーナー最後方から直線一気の追い込みを決めて鮮やかに勝利した。バラードインミラノは父Danon Ballade(JPN)(ダノンバラード)、母Epica(IRE)というイタリア産馬だ。手元の資料によると、バラードインミラノは1990年以降、中央競馬で勝利を挙げた唯一のイタリア産馬だ。イタリアで生まれたバラードインミラノは2020年、2歳の時に来日した。同年12月の中山競馬場でデビューし、新馬戦で1番人気になったが2着。その後9戦未勝利、兵庫の長倉功厩舎に移籍し、26戦4勝、再び中央競馬に戻ってきた。バラードインミラノが輸入された理由は父がダノンバラードだったからだ。ダノンバラードはデビュー戦を武豊騎手で白星、3戦目のラジオNIKKEI杯2歳Sの勝利は、父ディープインパクトにとって産駒の重賞初勝利だった。通算26戦5勝、2015年から種牡馬になった。国内で2年間供用、欧州の馬主グループに購入され、イタリアに渡り、2018年には英国で供用された。日本に残してきたコスモス賞勝ちのナイママやウィンターフェルが、父ダノンバラードの名を上げた。岡田繁幸氏が英国にいたダノンバラードを買い戻し、再び日本で種牡馬復帰することになった。バラードインミラノは波乱万丈の馬生を送る父ダノンバラードだからこそ誕生した貴重なイタリア産馬なのだと筆者。

第183回は『労働讃歌』北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 最近、筆者と同じ50代前半、もしくは40代のホースマンと話す機会が増えてきた。共通のテーマとして盛り上がるのが、この世界に飛び込んだ頃の労働環境である。筆者も20代の頃にわずかながら育成牧場で働いた時期があり、そこは週休一日の勤務体系だった。当時そこまで休みがあった牧場は珍しく、「ウチの牧場の休みは2週間に1日だけ。時としてそれも半休」、「休みは月に1日だけ、牧場で身体を休めていたら呼び出されて、気付いたら仕事を手伝っていた」という労働環境がごく当たり前だった。労働基準法の第41条には、動物の飼育やその他の畜産の事業に従事する者は、休日や労働時間といった、労働基準法の一部の規定が適用除外となっている。とはいえども、そのころの牧場の労働環境は過酷過ぎた。牧場や競馬場に拘束されている時間が、とんでもなく長かった。それだけの時間を馬と向き合い、様々な経験を重ねてきているからこそ、今では、各牧場で責任のある立場を任されているホースマンとなっているのだろう。昔は大変だった、という言葉では済ませたくない。少子化に歯止めがかかっていない現状からしても、未来のホースマンが働きたいと思えるような環境作りは、生産界において必要不可欠となってきたと言えると筆者。

第183回は『フェブラリーステークス』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 2月18日、東京競馬場で第41回フェブラリーステークス(GⅠ)が行われた。JBCスプリントの勝ち馬で、NARグランプリ2023年度代表馬のイグナイター(兵庫)、昨年のジャパンダートダービーに勝った南関東三冠馬ミックファイア(大井)、昨年の6着馬スピーディキック(浦和)と3頭の地方競馬所属馬が出走。いずれも短距離、3歳、古馬牝馬のトップクラスだけに今年は地方馬にチャンスといやが上にも期待は高まったと筆者。フェブラリーステークスは、1995年から地方馬の参戦が可能になり(当時はGⅡ)、のべ36回(30頭)出走している。地方競馬所属馬初の中央競馬GⅠ制覇となった99年の勝ち馬メイセイオペラ(岩手)、2002年2着トーシンブリザード(船橋)や、2011年2着のフリオーソ(船橋)など。地方競馬所属で中央競馬の重賞に勝った馬は20頭いるが、うちダートの重賞を勝ったのは1997年東海ウインターS(GⅡ)のアブクマポーロ、前述のメイセイオペラ、2002年ユニコーンS(GⅢ)のヒミツヘイキ、2003年東海S(GⅡ)のゴールドプルーフの4頭だけというのは調べていて意外だったと筆者。地方勢は好結果とはならなかったが、今後も積極的に挑戦して欲しいと思うと筆者。

特別寄稿

・繁殖馬セールと優良繁殖牝馬導入事業について 山田 康文

協会会議

・2024年(令和6)年度第1回理事会

海外情報

2023 エクリプス賞(北米競馬年度表彰)

種牡馬事業

・JBBAからのお知らせ エスケンデレヤ(USA)の死亡について
・2024JBBA種牡馬配置表(3月10日現在)

トピックス

・2024年 JBBA種牡馬展示会
・JBBAからのお知らせ 2024(令和6)年度通常総会の開催と委任状、議決権行使書面について
・JBBAからのお知らせ ユニバーサルドナーの導入について
・2023 JPNサラブレッドランキング
・2023 生産関連統計
・2024 海外主要競走日程
・2022年軽種馬の全国農業産出額は712億円
・2024年せり市場開催日程(予定)
・2023年生産全国馬名簿訂正掲載

地方競馬ニュース

・2024年1月 地方競馬場の売り上げ
・地方競馬開催日程 2024年【4月~6月】
・2023年地方競馬で実施されたダートグレード競走の年間レースレーティング

生産関連ランキング

・2024年2月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振連絡センター・十勝連絡センター・東北連絡センター・千葉連絡センター・南九州連絡センター)

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2024.1.9 ~ 2024.2.11)

刊行物紹介

・種牡馬DVD『STALLIONS IN JAPAN 2024』
・『2023軽種馬統計』

表紙

・第41回フェブラリーS(GⅠ)優勝 ペプチドナイル
・ペプチドナイル紹介
・JBBAの種馬事業に関するアンケート
・2023軽種馬統計

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

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