JBBA NEWS

2024年2月号(VOL.613)

最新の第350便は「アレ馬記念」烏森発牧場行き

吉川 良/よしかわ まこと

 2023年12月23日の夜、柏市に住む88歳の義姉が、「テレビのコマーシャルで分かったけど、明日、有馬記念なのね。タケシさん、有馬記念のことをオカメ記念って言ってたのを思いだしちゃった」と電話してきた。タケシさんというのは10年前に死んだ私の兄、義姉の夫である。「弟の奴、ふざけん坊だから、満員のスタンドで馬群が通過するとき、オカメ、オカメって何度も絶叫しやがって、まわりがみんな笑ったんだ。おれ、それから何年しても、競馬場で有馬のスタートが近づくと、あいつのオカメオカメを思いだすから、なんだかオカメ記念になっちゃう」と兄は競馬仲間によく言って笑っていた。義姉との電話のあと、私は何度かオカメと呟くうち、オカメのことをしっかり思いだしたくて、有馬記念全史のページをめくった。(中略) いない。新聞を手にしている人は、ほんとうにいない。中山競馬の開催日の船橋法典駅のホームにいる人は、誰もが新聞を手にしているというのが私の、数十年にわたる景色だ。嘘じゃなくて、本当にひとりもいない。うーん、私には、今日、第68回アレ馬記念だ。

第155回は「絆」第5コーナー ~競馬余話~

有吉 正徳/ありよし まさのり

 産駒デビュー5年目の種牡馬キズナが2023年の中央競馬で2歳リーディングサイアーに輝いた。これまでは産駒デビューの2019年に3位になったのが最良の成績だった。2020年4位、2021年10位、2022年8位からの鮮やかな巻き返しとなった。サンデーサイレンス(USA)、ディープインパクトに次ぐ父子3代にわたっての2歳リーディングサイアーは、JBISに記録が残る1974年以降では初めてのケースだ。キズナは母キャットクイル(CAN)が20歳の時に出産した息子だ。日本ダービー馬としては1942年優勝のミナミホマレ(母フロリスト)と並ぶ最高齢出産の馬による優勝記録だ。また姉のファレノプシスとは15歳差。これは1984年のグレード制導入以降ではもっとも年の差の大きなGⅠきょうだいである。
 2016年に種付けを始めたキズナは現7歳が初年度産駒になる。1年目に269頭もの種付けを行うほど馬産地の期待を集めた。2018年と2019年には種付数が152頭、164頭と100頭台に落ちたが、2020年は再び242頭まで戻った。この世代が頑張り、父親を2歳のリーディングサイアーに押し上げたと筆者。

第167回は 「ターフ・言葉の魔術師たち ~思い出される志摩直人さんと競馬中継~」
ホソジュンのウマなりトーク

細江 純子/ほそえ じゅんこ

 石川県能登地方を中心とした大地震が元旦に起こり、多くの命が失われ、今もなお行方不明の方や日常が戻らない状況…。あまりにも無情すぎる1年の始まりに、未だに心が重くなります。祈ることしかできませんが、1日も早い復興を願います。
 作家・島田明宏さんの小説「ブリーダーズ・ロマン」は、寺山修司さんが亡くなられて40年の記念認定事業の1つとして、寺山さんの本籍地でもある三沢市を舞台に繰り広げられていました。解説文を書いたことで、小説もさることながら解説文にも興味を抱くようになった筆者。特に印象的だったのが、何気ない日常の中に小説が組み込まれた形で解説をなさっていた高橋源一郎さんの文。武豊騎手は「ターフの魔術師」と表現されるが、高橋さんをはじめ、小説家と言われる方々は、まさに言葉を扱う「言葉の魔術師」。そして一昔前の関西テレビでの競馬中継では、詩人・志摩直人さんの詩が、発走直前や番組の冒頭で詠われ、その日のレースの深みと風情がぐっと増していました。いまだに、ふとした瞬間に思い起こされ、映像がよみがえると筆者。

第182回は『オフシーズンの利用法』PartⅡ北海道馬産地ファイターズ

村本 浩平/むらもと こうへい

 開催期間を終えた競馬場は、「パークウインズ」として、場外発売が行われている。札幌競馬場も例外ではなく、馬券の購入エリアこそ限定されていたものの、フードコートや売店はオープンしている。有馬記念当日には、ファンファーレホール内にステージが設置されていただけでなく、そのステージを取り囲むように学生や家族連れがイべントのゲストであるYouTuberのFischer'sの登場を待ち構えていた。その賑わいを見た時に、これが競馬に興味を持ってもらったり、今後も継続して競馬場に来てもらえるきっかけになればと考えたと筆者。
 2028年にはFビレッジ内に北海道医療大学が移転してくる。新駅の設置も進んでいるだけでなく、学生たちが引っ越してくることで、ショッピングモールとまではいかなくとも、新たな商業施設も作られていくはずだ。その核となる「エスコンフィールドHOKKAIDO」は、更に生活に密着した場所となり、多くの人が足を運ぶ場所になるに違いない。競馬の楽しさを更に広める場所としても、競馬場やウインズが、開催期間以外に立ち寄りたくなるような場所になってほしいと思っていると筆者。

第182回は『優秀馬選定委員会』馬ミシュラン

小山内 完友/おさない ひろとも

 1月12日(金)、NAR GRANDPRIX2023優秀馬選定委員会が開催された。今年も気になった部門について触れていきたい。2歳最優秀牡馬のサントノーレはすんなりと選定。事前の想定では続く2歳最優秀牝馬部門が最初の山だった。ダートグレード競走は1200mのエーデルワイス賞で、実質的な決定戦が1600mの東京2歳優駿牝馬。エーデルワイス賞の勝ち馬モズミギカタアガリが東京2歳優駿牝馬に出走しローリエフレイバーの8着という結果。格か、それとも直接対決の成績か。採決の結果9対6でモズミギカタアガリが選出された。3歳最優秀牡馬のミックファイアは当然。3歳最優秀牝馬もメイドイットマムですんなり。4歳以上最優秀牡馬のイグナイターは文句なし。そして4歳以上最優秀牝馬部門である。候補馬は2頭に絞られた。東京シンデレラマイル1着のスピーディキック(浦和)と、兵庫サマークイーン賞など年間重賞7勝、平地重賞勝利記録となる重賞21勝を挙げたハクサンアマゾネス(金沢)。その議論の中である委員から、「仮に0勝でも、こういった馬こそが評価されなければならない。本来あるべき姿だ」という意見も出され、結果はスピーディキック。ばんえい、短距離、ターフもすんなり選定。注目の年度代表馬の選定だ。候補馬は2頭。ミックファイアとイグナイター。採決は14対1という結果で、イグナイターが2年連続年度代表馬に選定されたと筆者。

特別寄稿

・シャープアステカ(USA)についての考察 山田 康文

繁殖牝馬セール成績

・2024年ジェイエス冬季繁殖馬セール

海外情報

2023 北米サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・2歳・ブルードメアサイアー
2023 英愛サイアーズランキング(獲得賞金順) 総合・2歳・ブルードメアサイアー
2023 仏サイアーズランキング(獲得賞金順)  総合・2歳・ブルードメアサイアー
2023 独サイアーズランキング(獲得賞金順)  総合・ブルードメアサイアー

トピックス

・2023年度JRA賞
・NARグランプリ2023/2023ダートグレード競走特別賞
・2023年度JRA生産者団体表彰成績
・JBBAからのお知らせ 2024年産駒報告のオンライン受付を開始しました
・2024年世界のせり日程
・2023年JRA外国産馬の競走成績
・2023年トレーニングセール取引馬の2歳競走成績
・2024年サラブレッドせり市場日程(予定)

種牡馬事業

・STALLION NEWS ARCHIVE(スタリオンニュース・アーカイヴ)

地方競馬ニュース

・地方競馬場別サイアーズランキング 2023年1月~12月
・2023年12月 地方競馬場の売り上げ
・地方競馬 世代別牝馬重賞シリーズ GRANDAME‐JAPAN 2024

生産関連ランキング

・2023年各種最終ランキング掲載!
・2024年1月各種ランキング

From 競走馬のふるさと案内所・連絡センター

レポート(日高案内所・胆振案内所(連絡センター)・十勝案内所(連絡センター)・東北案内所(連絡センター)・千葉案内所(連絡センター)・南九州案内所(連絡センター))

The First Win
 JBBA 会員生産の初勝利馬一覧(2023.12.10 ~ 2024.1.8)

表紙

・ドウデュース 第68回有馬記念(GⅠ)優勝
・ドウデュース紹介
・マクフィ(GB)産駒 ヴァルツァーシャル紹介
・JBBA種牡馬 新種牡馬シャープアステカ(USA) カラヴァッジオ(USA)

JAIRSコーナー((公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナルコーナー)etc

刊行物注文へ

※ JBBA NEWSのほかに、全国馬名簿、軽種馬統計などの定期刊行物のご注文もできます。